以下は、Java SE 17.0.6(2023年1月リリース)と17.0.15(2025年4月リリース)の主な変更点を公式リリースノートからまとめたものです。セキュリティ強化、機能改善、非推奨化などが重点的に行われています。
⚠️ 1. セキュリティ関連の変更点
-
Camerfirmaルート証明書の信頼停止
- 2025年4月15日以降に発行され、特定のCamerfirmaルートCA(例:
Chambers of Commerce Root - 2008
)で署名されたTLSサーバー証明書は、デフォルトで信頼されなくなりました。影響を受ける証明書を使用する場合、TLS接続時に例外が発生します。 -
回避方法:
# 証明書チェーンの確認 keytool -v -list -alias <エイリアス名> -keystore <キーストアファイル>
jdk.security.caDistrustPolicies
プロパティからCAMERFIRMA_TLS
を削除することで元の信頼を復元可能。
- 2025年4月15日以降に発行され、特定のCamerfirmaルートCA(例:
-
複数の脆弱性修正
- 2025年4月のCPU(Critical Patch Update)として、CVE-2024-35195やCVE-2024-38357を含む50件以上の脆弱性に対処。リモートコード実行やサービス拒否(DoS)のリスクが軽減されています。
🔐 2. 暗号化/PKCS11関連の強化
-
SunPKCS11プロバイダーのレガシーメカニズムチェック改善
- 暗号化/復号のみをサポートするネイティブPKCS11メカニズムが、署名機能の不足により従来は完全に無効化されていました。17.0.15ではサービスタイプごとのチェックが導入され、暗号化機能は利用可能に(署名機能は依然無効)。
allowLegacy=true
設定で強制有効化も可能。
- 暗号化/復号のみをサポートするネイティブPKCS11メカニズムが、署名機能の不足により従来は完全に無効化されていました。17.0.15ではサービスタイプごとのチェックが導入され、暗号化機能は利用可能に(署名機能は依然無効)。
-
OCSP/証明書/CRL取得のタイムアウト設定強化
- 接続タイムアウト(
com.sun.security.ocsp.timeout
)に加え、読み取りタイムアウト(com.sun.security.ocsp.readtimeout
)プロパティが追加。単位を秒(15s
)またはミリ秒(15000ms
)で指定可能。
- 接続タイムアウト(
✨ 3. 新機能とツール改善
-
jarsigner
の検証機能強化- 署名済みJARからファイルが削除されたが署名が残るケースを検出可能に。
jarsigner -verify -verbose
で不一致の詳細を出力。
- 署名済みJARからファイルが削除されたが署名が残るケースを検出可能に。
-
IANAタイムゾーンデータ2025a
- パラグアイのタイムゾーン変更(-03固定化)、フィリピンの1991年以前のデータ改善などを反映。
⚙️ 4. その他の重要変更
-
内部APIの強力なカプセル化
-
--illegal-access
オプションが完全削除され、内部APIへのアクセスには--add-opens
の明示が必要に(Java 16から継続する方針)。
-
-
セキュリティマネージャの非推奨化
- 将来の削除に向け、引き続き非推奨ステータスが維持されています。
-
JarInputStream
の挙動変更- 複数の
MANIFEST.MF
を含むJARは未署名扱いになり、警告が出力されます(デバッグモード時)。
- 複数の
📅 5. リリーススケジュールとサポート
- 17.0.15のサポート期限: 次のCPU(2025年7月15日予定)までが推奨使用期間。
-
OpenJDKディストリビューション:
- Red Hat Build of OpenJDK 17.0.15はFIPSモード自動検出をサポート。
- Eclipse TemurinはmacOS/Windows/Linux用バイナリを提供。
表: 影響を受けるCamerfirmaルート証明書の一覧
識別名 (Distinguished Name) SHA-256フィンガープリント CN=Chambers of Commerce Root, OU=http://www.chambersign.org, O=AC Camerfirma SA...
0C:25:8A:12:A5:67:4A:EF:25:F2:8B:A7:DC:FA:EC:EE:A3:48:E5:41:E6:F5:CC:4E:E6:3B:71:B3:61:60:6A:C3
CN=Chambers of Commerce Root - 2008, O=AC Camerfirma S.A., SERIALNUMBER=A82743287...
06:3E:4A:FA:C4:91:DF:D3:32:F3:08:9B:85:42:E9:46:17:D8:93:D7:FE:94:4E:10:A7:93:7E:E2:9D:96:93:C0
CN=Global Chambersign Root - 2008, O=AC Camerfirma S.A., SERIALNUMBER=A82743287...
13:63:35:43:93:34:A7:69:80:16:A0:D3:24:DE:72:28:4E:07:9D:7B:52:20:BB:8F:BD:74:78:16:EE:BE:BA:CA
💎 まとめと推奨アクション
- 主な差分: セキュリティポリシー(Camerfirma証明書)・脆弱性修正・PKCS11/jarsignerの機能改善が核心。
-
アップグレード時の注意点:
- TLS証明書チェーンの再検証(Camerfirma影響の有無)。
- 内部API使用箇所の
--add-opens
設定追加。 - 署名済みJARの検証プロセス見直し。
-
次のステップ:
Oracle JDK 17.0.15リリースノート または Red Hat OpenJDK 17.0.15ドキュメント で詳細を確認できます。