今回は話題沸騰中のおすすめスキル
obra/superpowers:https://github.com/obra/superpowers
について内容とさらにその思想について紹介します。
👤 作ったのはこんな人
このスキルobra/superpowersのGitHubは
なんとスター数134,000を超えている、大人気スキルです。
作者はJesse Vincent(obraさん)。経歴はこんな感じです。
- 📋 Request Trackerを1994年に作成 → 世界中の企業・政府機関が使うチケット管理システムに
- 🐪 Perlプロジェクトリーダーを3年間務める(5.12 / 5.14)
- 📧 K-9 Mailを開発 → Mozillaに買収されThunderbird for Androidとして継続
- ⌨️ Keyboardioを共同創業 → エルゴノミクスキーボードを78カ国に出荷
- 💉 VaccinateCAを共同創業 → COVID禍で数百万人のワクチン接種を助ける
凄い経歴です。
この方が2025年10月に公開したスキルが superpowers。
AIコーディングエージェントに「ちゃんとした開発プロセス」を強制するAgent Skillsフレームワークです。
📜 obra/superpowersの哲学
まず、このスキルがどんな言葉を使うか紹介します(ここが一番面白い)。
(以下ざっくり意訳)
「テストを書く前にコードを書いた?
消せ。最初からやり直せ。例外なし。」
「"シンプルだからbrainstormingは省略"は通らない。
todo listも、1行の修正も、全部同じプロセスを踏め。
シンプルなプロジェクトこそ、思い込みが一番無駄を生む。」
「スキルが使えるなら、選択の余地はない。必ず使え。
交渉の余地なし。任意でもない。言い訳は通らない。
1%でも使えそうなら確認しろ。」
AIに対してここまで強く書いたフレームワークが⭐134,000を超えです。
例えば、普通にコーディングエージェントに「ログイン機能作って」という指示を言うと
おそらく、いきなりコードを書いてしまいます。
また、指示の中に必要な情報が抜け落ちており、
思ったようなコードを書いてくれないこともあります。
そして気づいたら収拾がつかない事態になっていることも。
superpowersはそれを許しません。
次は各フェーズでその思想を追いかけていきます。
🔄 8つのフェーズ
① using-superpowers → 全スキルの使用を強制する番人
② brainstorming → 何を作るかを整理する
③ writing-plans → タスクに分解する
④ git-worktrees → 作業空間を隔離する
⑤ subagent開発 → タスクごとにAIが担当
⑥ TDD強制 → テスト→実装の順を守る
⑦ コードレビュー → 2段階でチェック
⑧ ブランチ整理 → PR作成まで完了
そしてこの8つは、自動でチェインします。
「~を作って」と言うと、まずusing-superpowersが発動し、さらにbrainstormingフェーズに自動移行。
そして、brainstormingが完了すると、AIが自律的に「writing-plansに進みますか?」と聞いてきます。承認すれば次のフェーズへ。
以降も同様に、各フェーズが終わるたびにAIが次を提案して進んでいきます。
「新しい機能を作りたい」と言った後は、自動でチェーンし、PRの作成まで完走します。
人間がやることは、各フェーズの成果物を確認してOKかの判断を下すことだけです。
ここからは主要な4つのスキルについて紹介しながら、このスキルの思想を掘り下げます。
🔥 ① using-superpowers:全スキルを強制する番人
superpowersの中核にあるメタスキルです。SKILL.mdにはこう書いてあります。
If you think there is even a 1% chance a skill might apply to what you are doing,
you ABSOLUTELY MUST invoke the skill.
IF A SKILL APPLIES TO YOUR TASK, YOU DO NOT HAVE A CHOICE. YOU MUST USE IT.
This is not negotiable. This is not optional.
You cannot rationalize your way out of this.
実施しようとしている作業にスキルが当てはまる可能性が 1% でもあるなら、
必ずスキルを呼び出すこと。
タスクに適用可能なスキルがあるなら、選択の余地はない。必ず使うこと。
これは交渉不可。任意ではない。理屈をつけて回避してはならない。
AIはも人間も賢いがゆえに、自分に都合のいい理由を作って手を抜こうとします。「今回はシンプルだからTDDは省略していい」「この程度なら設計書は不要」——using-superpowersはその抜け道を全部塞ぐ役割を持っています。
🧠 ② brainstorming:コードを書く前に要件定義せよ
You MUST use this before any creative work -
creating features, building components, adding functionality,
or modifying behavior.
Explores user intent, requirements and design before implementation."
機能作成・コンポーネント構築・機能追加・挙動変更など、
あらゆる創造的作業の前に必ず使う。実装前にユーザー意図・要件・設計を掘り下げる。
実際のやりとり例はこうなります。
あなた:「ユーザー管理機能を作りたい」
AI:「確認させてください。
1. ユーザーは何人くらいを想定していますか?
2. 管理者とユーザーで権限を分けますか?
3. 既存のデータベースはありますか?」
あなた:「100人くらい。管理者は別にしたい。DBはPostgres」
AI:「認証方式はどれがよいですか?
A) メール+パスワード
B) Google OAuth
C) 両方対応」
あなた:「Bで」
AI:「設計書を作りました。確認してください。
---
対象:100名の社内ユーザー
認証:Google OAuth
権限:admin / user の2種類
DB:PostgreSQL
---
この内容でよろしいですか?」
あなた:「OK」
AI:「writing-plansに進みますか?」
設計書は自動で docs/plans/YYYY-MM-DD-<topic>-design.md に保存されて次フェーズに引き継がれます。
③ writing-plans:タスクに分解する
設計書が承認されたら、AIが実装計画を作ります。
タスク1:Postgresにusersテーブルを作成(3分)
タスク2:Google OAuth認証を実装(5分)
タスク3:セッション管理を実装(4分)
タスク4:管理者権限チェックのミドルウェア(3分)
タスク5:ユーザー一覧表示API(3分)
2〜5分で終わる粒度まで自動分解されます。
その設計書を人間が読み承認したら次のフェーズに移行します。
④ TDD:テストを書いていないなら消せ🔴🟢🔵
Write code before tests? Delete it. Start over.
No exceptions.
テストより先にコードを書いた?消せ。やり直せ。例外なし。
こうすることでAIはどんなときも必ずテストから先に書きます。
TDD(テスト駆動開発)、YAGNI(今必要でないものは作らない)、DRY(同じことを繰り返さない)。この3つをAIに強制することで「動くけど誰も読めないコード」を防ぎます。
コードを先に書いた場合を見てください。
# ❌ コードを先に書く場合
def add(a, b):
return a + b
# 後からテストを書く
def test_add():
assert add(1, 2) == 3 # → 即座にパス!
「テストが通った!」——でもこれは「コードが今この瞬間動いている」ことを確認しただけです。「コードが正しく動くべき」を定義していません。
テストを先に書く場合を見てください。
# ✅ テストを先に書く場合(TDD)
# Step 1: まずテストを書く → 当然失敗する(関数がないから)
def test_add():
assert add(1, 2) == 3 # 🔴 RED(失敗)
# この「失敗」を目撃してから実装に入る
# Step 2: テストが通る最小限のコードを書く
def add(a, b):
return a + b # 🟢 GREEN(成功)
# Step 3: コードをきれいにする
def add(a: int, b: int) -> int:
return a + b # 🔵 REFACTOR(整理)
🔴RED → 🟢GREEN → 🔵REFACTOR の順番を守ることで、「テストが本当に機能していること」を証明できます。後から書いたテストは即座にパスします。即座にパスするテストは、何も証明しません。
⚠️ 使う前に知っておきたいこと
どんな小さい修正でもTDDを要求してくる
「typoを直して」のような1行の変更にも、superpowersはTDDを適用しようとします。
Write code before tests? Delete it. Start over.
No exceptions.
例外なし、です。「小さいから大丈夫」という油断がバグを生む、という思想に基づいた意図的な設計です。
処理が増える分、時間はかかる
brainstorming → 設計書 → 計画書 → 実装というプロセスを踏む分、「とにかく早くコードを出したい」場面には向いていません。小さなプロトタイプより、ちゃんと育てるプロダクトに向いているかもです。
ですが小さいプロダクトでもこっちの方が安心できますね。
🖊️ 実際に使ってみて
一番僕が助かったのはbrainstormingです。
指示したとたん、AI側が選択肢形式の質問をしてくれます。
また、答えていくうちに、自分でも気づいていなかったことが出てきます。
「あ、これどうするんだっけ」「この要素を考えてなかった」
——自分の頭の中にあった「なんとなくこういうもの」が、質問されるたびにはっきりしてきます。
要件定義を「やらされる」のではなく「一緒に引き出してもらえる」。
この体験が、使い続けている一番の理由です。
🚀 インストール方法
superpowersはClaude Code、Codex、GitHub Copilotで使えます。スキルの置き場所を指定するだけです。
# Claude Codeの場合(プラグインマーケットプレイスから)
/plugin install superpowers@claude-plugins-official
Codex/Github sopilotの場合でもskillsフォルダ配下に配置すれば使用可能です。
インストール後は特に何もしなくて大丈夫です。using-superpowers スキルが自動で動き、「新しい機能を作りたい」と言うだけでbrainstormingから始まります。
📝 まとめ
| 普通のコーディングエージェント | superpowers | |
|---|---|---|
| 最初にやること | いきなりコードを書く | 要件を質問する |
| 設計 | なし | 設計書を自動作成 |
| テスト | 後から(か省略) | 必ず先に書く |
| 作業単位 | なんとなく | 2〜5分タスクに分解 |
| フェーズの進行 | 人間が都度指示 | 自動でチェイン |
superpowersは「AIを賢くする」のではなく、「AIに正しいプロセスを歩ませる」フレームワークです。
⭐133,000という数字が、その価値の証明ですかね。
ぜひ試してみてください 🌸
参考リンク