こんにちは!
本日は1次検定の問題3に出やすい「空間ベクトル」「直線と平面」「空間図形の求積」の対策を行います.
3次元ベクトルの内積と外積
高校数学Cで既習なので根本的な話は省略しますが,ベクトルは向きと大きさをもつ量「ベクトル量」として取り扱います.それに対して向きを持たない単なる数のことを「スカラー量」と呼びます.
なす角がθである2本の3次元空間ベクトル
\vec{a} =
\begin{pmatrix}
a_1 \\
a_2 \\
a_3 \\
\end{pmatrix},
\vec{b} =
\begin{pmatrix}
b_1 \\
b_2 \\
b_3 \\
\end{pmatrix}
が上記のように与えられているとき,2つのベクトルの内積は
\vec{a} ・ \vec{b} = a_1b_1 + a_2b_2 + a_3b_3 = |\vec{a}| |\vec{b}| \cos \theta
となります.こちらは各成分をかけて足すだけでよく,結果もスカラー量なので単純です.特に2つのベクトルが垂直のときに内積が0になることが重要です.
続いて2つのベクトルの外積は,
\vec{a} \times \vec{b} =
\begin{pmatrix}
a_1 \\
a_2 \\
a_3 \\
\end{pmatrix} \times
\begin{pmatrix}
b_1 \\
b_2 \\
b_3 \\
\end{pmatrix} =
\begin{pmatrix}
a_2b_3 - a_3b_2 \\
a_3b_1 - a_1b_3 \\
a_1b_2 - a_2b_1 \\
\end{pmatrix}
というベクトル量になります.
行列式を理解している人であれば,互いに垂直な3方向の単位ベクトルを
\vec{i} =
\begin{pmatrix}
1 \\
0 \\
0 \\
\end{pmatrix},
\vec{j} =
\begin{pmatrix}
0 \\
1 \\
0 \\
\end{pmatrix},
\vec{k} =
\begin{pmatrix}
0 \\
0 \\
1 \\
\end{pmatrix}
として,余因子展開を用いることで
\vec{a} \times \vec{b} =
\begin{vmatrix}
\vec{i} \; \; \; \vec{j} \; \; \; \vec{k} \\
a_1 \; \; a_2 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_2 \; \; b_3
\end{vmatrix} =
\begin{vmatrix}
a_2 \; \; a_3 \\
b_2 \; \; b_3
\end{vmatrix} \vec{i} -
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_3
\end{vmatrix} \vec{j} +
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_2 \\
b_1 \; \; b_2
\end{vmatrix} \vec{k} =
\begin{pmatrix}
a_2b_3 - a_3b_2 \\
a_3b_1 - a_1b_3 \\
a_1b_2 - a_2b_1 \\
\end{pmatrix} (\vec{i} \; \; \vec{j} \; \; \vec{k})
と求めることもできます.
内積と外積の大きな違いは,交換法則が成立するか否かです.内積であれば2つのベクトルの順番に関わらず結果は一致しますが,外積の場合は
\vec{b} \times \vec{a} =
\begin{pmatrix}
b_1 \\
b_2 \\
b_3 \\
\end{pmatrix} \times
\begin{pmatrix}
a_1 \\
a_2 \\
a_3 \\
\end{pmatrix} =
\begin{pmatrix}
b_2a_3 - b_3a_2 \\
b_3a_1 - b_1a_3 \\
b_1a_2 - b_2a_1 \\
\end{pmatrix} =
- \begin{pmatrix}
a_2b_3 - a_3b_2 \\
a_3b_1 - a_1b_3 \\
a_1b_2 - a_2b_1 \\
\end{pmatrix} =
- (\vec{a} \times \vec{b})
となり,かける順番を逆にすると符号が入れ替わります.
外積の利用
数検1級では外積を求めるだけで点がもらえる回もありますが,そもそも外積というのは2つのベクトル両方に垂直なベクトルのひとつです.このことは外積の計算結果と元のベクトルそれぞれとの内積を計算することで明らかです.
また外積の大きさは,なす角がθの2つのベクトルによって作られる平行四辺形の面積と一致します(底辺をOA,高さをOBsinθと考える).すなわち
\begin{vmatrix}
\vec{a} \times \vec{b}
\end{vmatrix} =
\begin{vmatrix}
\vec{a}
\end{vmatrix}
\begin{vmatrix}
\vec{b}
\end{vmatrix} \sin{\theta}
です.導出も難しくないのでぜひやってみましょう.
(左辺または右辺を2乗して3次元成分で表し,途中で内積の公式を用いるのがポイントです)
平行六面体と四面体の体積
平行六面体とはすべての面が平行四辺形である立体のことです.
以下に示すような平行六面体があるとします.
画像元:https://www.yunimath.com/705/ より

まず底面の面積については,先ほど求めたように
\begin{vmatrix}
\vec{a} \times \vec{b}
\end{vmatrix}
となります.
また,底面に関与しないcベクトルと底面に垂直な外積ベクトルとのなす角をαとおくと,この平行六面体の高さは
\begin{vmatrix}
\vec{c}
\end{vmatrix} \cos{\alpha}
と表せます.
よって,この平行六面体の体積は(内積の公式も利用して)
\begin{vmatrix}
\vec{a} \times \vec{b}
\end{vmatrix}
\begin{vmatrix}
\vec{c}
\end{vmatrix} \cos{\alpha} =
\begin{vmatrix}
\begin{vmatrix}
\vec{a} \times \vec{b}
\end{vmatrix}
\begin{vmatrix}
\vec{c}
\end{vmatrix} \cos{\alpha}
\end{vmatrix} =
\begin{vmatrix}
( \vec{a} \times \vec{b} ) ・ \vec{c}
\end{vmatrix}
となります.この絶対値の中身をスカラー三重積とよび,
(\vec{a} \times \vec{b}) ・ \vec{c} =
\begin{pmatrix}
a_2b_3 - a_3b_2 \\
a_3b_1 - a_1b_3 \\
a_1b_2 - a_2b_1 \\
\end{pmatrix} (c_1 \; \; c_2 \; \; c_3) =
\begin{vmatrix}
a_2 \; \; a_3 \\
b_2 \; \; b_3
\end{vmatrix} c_1 -
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_3
\end{vmatrix} c_2 +
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_2 \\
b_1 \; \; b_2
\end{vmatrix} c_3 =
\begin{vmatrix}
c_1 \; \; c_2 \; \; c_3 \\
a_1 \; \; a_2 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_2 \; \; b_3
\end{vmatrix} =
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_2 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_2 \; \; b_3 \\
c_1 \; \; c_2 \; \; c_3
\end{vmatrix}
と変形することもできます.
以上を利用して今度は四面体の体積を求めましょう.数検1級では四面体の体積の方が頻出です.
平行六面体の図において,ベクトルa,b,cで構成される四面体を考えると,底面は三角形となるので面積は平行四辺形の1/2です.また,錐体なので三角柱と比べて体積は1/3になります.
以上を踏まえると,四面体の体積は平行六面体の1/6となります.したがって
\frac{1}{6}
\begin{vmatrix}
( \vec{a} \times \vec{b} ) ・ \vec{c}
\end{vmatrix} =
\frac{1}{6}
\begin{vmatrix}
a_1 \; \; a_2 \; \; a_3 \\
b_1 \; \; b_2 \; \; b_3 \\
c_1 \; \; c_2 \; \; c_3
\end{vmatrix}
により計算することができます.
平面の方程式,点と平面の距離
2次元座標において,直線の方程式を表現する方法には以下のようなものがありました.
y = ax + b , \ ax + by + c = 0 , \ y-y_1 = m(x-x_1)
同様に,3次元座標で平面の方程式を表現する方法もいくつかありますが,最もわかりやすいのが平面の法線ベクトルn=(a,b,c)と通る点A(x₁,y₁,z₁)を利用した以下の式です.
a(x-x_1)+b(y-y_1)+c(z-z_1)=0
画像元:https://hiraocafe.com/note/plane_equation.html より

他にも,上記の式の定数部分をdとおいてまとめた一般形
ax+by+cz+d=0
や,3頂点が偶然x,y,z軸上にある場合は切片形
\frac{x}{p}+\frac{y}{q}+\frac{z}{r}=1
の式を用いることもあります.これら3種類の方程式を覚えておけば十分でしょう.
点と平面の距離
2次元座標での点と直線の距離の公式は,直線の方程式をax+by+c=0,点の座標を(x₀,y₀)とおくと,以下のように表せるのでした.
\frac {|ax_0+by_0+c|} {\sqrt{a^2+b^2}}
同様に,3次元座標での点と平面の距離は.平面の方程式をax+by+cz+d=0,点の座標を(x₀,y₀,z₀)とおくと,以下のように表せます.
\frac {|ax_0+by_0+cz_0+d|} {\sqrt{a^2+b^2+c^2}}
練習問題
1.xyz空間の4点O(0,0,0),A(2,1,-3),B(-3,2,1),C(1,1,4)について次の問いに答えなさい.
① \; 外積 \; \vec{OA} \times \vec{OB} \; を求めなさい.
② \; 四面体 \; OABC \; の体積を求めなさい.
2.xyz空間において2点(3,-6,2),(-11,-4,6)を通る直線をl,方程式5x-3y+4z-11=0で表される平面をPとします.lとPのなす角をθ(0≦θ≦π/2)とするとき,cosθの値を求めなさい.ただし,直線が平面に含まれるとき,両者のなす角はπ/2とします.
3.xyz空間内の3点(0,-1,1),(3,-2,-3),(6,3,5)を通る平面をαとします.点(-2,5,6)とαとの距離を求めなさい.