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入学以来の情勢変化とC3の存在意義

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Last updated at Posted at 2025-12-08

これは「C3 Advent Calendar 2025」シリーズ1の9日目の記事です.

目次

1.はじめに
2.LTで話すには余白が狭すぎる
3.追懐
4.将来
5.時間の使い方
6.おわりに

1.はじめに

6回生,修士2年のKouichiです.
この度は本稿に興味を持ってくださりありがとうございます.
おそらくこの記事が公開される頃,皆さんはKKK(共通教育科目)の出来に一喜一憂しているか,いきなり始まる4Q科目の予習に手を焼いているか,あるいは全てを忘れて羽を伸ばしていることでしょう.
私はとにかく修論・修論・修論です.これを書き終えなければ入社予定企業の内定はなくなり,大学の授業料をもう1年分払うことになり,1学年離れた後輩からは先輩と呼ばれなくなります.

今年のAdvent Calendar執筆予定者のうち,非社会人46人の平均は2.02(回生),標準偏差は1.19(回生)です.
だいたい(2.02±1.19)回生くらいが中心に書いていることが分かるかと思います.
ただし○回生というのは大学の在籍年数であり,部活動に所属している年数とは一致しません.
※ちなみに私を除くと45人の平均は1.93(回生),標準偏差は1.04(回生)になります.あ゛あ゛私がいなければ!
昨年の執筆者23人の平均が2.65(回生),標準偏差が1.52(回生)であったことからも,
今年はかなり新参者の割合が上がっているとわかります.
それだけでなく今年は既卒の社会人にも筆を執っていただいているため,例年以上にバラエティに富んだカレンダーとなるのではないでしょうか.

2.LTで話すには余白が狭すぎる

今年は「入学以来の情勢変化」および「C3の存在意義」,また「将来におけるAIの在り方」,「人生全体を俯瞰した時の大学生という期間」をテーマとして執筆しております.
来年4月から就職することとなり,大学生の身分とお別れする前の最後の心境を吐露したものと認識していただいても構いません.
これから長々と文章が続きますが,

  • 人生における視野の広さ
  • 自分に足りないもの
  • 限られた時間の使い方

などがキーワードなので,そのあたりに注目してお読みください.

3.追懐

3−1.C3入部前

さて,私は2020年度から大学に在籍しており,諸行無常の響きを感じてきました.
初めに,学部の入学式がなかったため私は学士課程に入学していません
その後2021年度まで,ほぼ全ての授業がZOOMで行われました.
そのため,隙間時間に自動車学校やアルバイトの予定を入れることが容易でした.
一方,外出自粛の政策により多くの課外活動は制限され,旅行も満足に行けませんでした.
大学は学部1〜2年の夏休みと春休みが最も時間を確保しやすいため,今そのあたりのフェーズの人は悔いがないような長期休みにできると良いですね.
(学部3年は企業見学や研究室訪問が立て込み,学部4年以降は長期休みなど関係なく年中研究漬けになります.研究室にもよりますが…)

3−2.コロナ禍のサークル活動

そんな私がC3を初めて訪れたのは2021年の途中でした.
人気(ひとけ)のないキャンパスに入り,部室棟に向かうにつれて静けさは増し,ようやく部室の前まで来ると,室内はマスクをつけた少数の部員で賑わいを見せていました.
「Game,CG,Hack,Media art」という4項目が書いてある紙を見せられ,高校でわずかに触ったexcelのマクロ(例えばhttps://www.clas.kitasato-u.ac.jp/~ogawa/Excel2021/VBA04/VBA04.html のようなもの)の経験を思い出し,とりあえずHackとGameを選んでみることにしました.

部会は週に1回,土曜日の15時からオンラインで行われました.
当時土曜日はアルバイトが入ることが多かったため,部会に出られる機会もあまり多くありませんでした.
また部会とは別にコミュ会という週1回のコミュニティ別での集まりが平日夜にオンラインでありました.
オンラインの授業等を受けた経験のある方ならお分かりかと思いますが,コミュ会という「ある程度改まった場」である以上,対面と比べて他愛のないやり取りや複数人での会話が難しく,どうしてもインプットするだけの状況になってしまっていた覚えがあります.

3−3.苦しみ

そしてコロナが明け始めた2022年度.ここが私にとって最も負担が大きいと感じる時期でした.
C3の学部3年同期はますます実力をつけ,サークルの中核を担う一方で,これからイベントに参加していこうと意気込んでいた私に立ちはだかったのは学年の壁でした.

C3部員が毎回20人ほど応募し,倍率が2倍程度の抽選に選ばれた人が参加できるハッカソンに私は参加希望を出し,希望者一同が某台湾料理店に集結し,出場経験者の主導によりチーム分けが行われました.
初めは各チームに1人以上出場経験者を配置する案が出ていたのですが,その後紆余曲折あって私たちの4人チームは全員が初出場という構成になりました.
チームの中では上回生という立場上,下回生を先導する任務があるとはいえ,私自身もハッカソンをほとんど知らないため,経験者にいろいろ聞こうと試みたものの,そのチームはそのチームの事前開発などで忙しく,なかなか取り合ってもらえません.
中間管理職としての不安を身をもって痛感する瞬間でした.

なんだかんだあってチーム内では制作案がまとまり,1つ1つの作業を苦しみながらこなしていきました.
下回生はそれぞれバックエンドやフロントエンドに注力してもらい,私はプロダクトのコンセプトやデザイン,全体の取りまとめや発表資料の作成などを担当しました.
会場にはメンターの方もいらっしゃるので,彼らの協力も得つつ苦しんで苦しんで開発を進めました.
最終的に発表したsnsアプリケーションはそれなりの評価を得られましたが,やはり技術力において経験者チームとは歴然とした差があるのが素人目にも分かりました.

3−4.「若さ」という武器

年少者(学年が低い,の意も含む)というのは,年少者であるだけで様々な容赦をしてもらえます.
塾であれば年少者には指導報告書とは別に連絡メール的なものを執筆します.
クレジットカードも学生のうちであれば会費が無料という例も多いです.
他にも年少者が優遇される場面はたくさんあります.

「何かを始めるのに遅すぎることはない」という言葉を聞いたことはあるでしょうか.
確かに何もやらないのに比べれば,時期が遅くても挑戦してみることはとても重要です.
しかし現実はそう甘くありません.
本学の話で言えば,1年生で開発やチームマネジメントができる人は憧憬の対象になりますが,3年生でそれと同じくらいのレベルの人はどうでしょうか.
単体で見れば立派かもしれませんが,2人を並べて見るとどうしても1年生側に注目が集まるのではないでしょうか.
採用活動の場においても,ほぼ同じ経歴のB4とM2を比べた場合,初任給において多くの企業は院卒が高くなることを踏まえても,どちらを取りたいかというのは一目瞭然でしょう.

社会は人間を「歳を重ねるほど経験豊かである存在」として認識しています.
例えば1年間何の経験も積まなかった人は,個人単位での経験量は横ばいですが,同じだけの期間を生きてきた人間と比較すれば,大きく差をつけられてしまったことになります.
若さが評価されるのは,これから先の期間で成長するポテンシャルを持った存在として見られているからです.

3−5.私に残された武器

どれだけ足掻いても,時間を取り戻すことはできません.
つまりこの時点で私ができる選択は
「今までやってきたことを活かす」か「今から新しいことに参入する」
のいずれかとなります.
私は数学と英語,また塾講師アルバイトを通じて得たコミュニケーション力に関しては,これまでの積み重ねに自信があったため,それらを活かして新たな武器を作ろうと試みました.

まず数学がどのような場面で活かせるか.
数学は言い換えれば「論理的思考力」に通ずる面が強いと考えます.
単純な計算というよりも,複数の条件が絡んだ問題に対し,どのようなアプローチで最適な解法に至るか,どのように隙のない証明を完成させるか.
こういった思考力が重要となる数理最適化・統計的解析に関するインターンシップや企業との共同演習に参加しました.
もちろんこれらを遂行するにあたって単に数学だけできれば良いということはありません.
元となるデータセットを収集した上で,解析するためのプログラム,解析手法,評価指標を適切に定める必要があります.

英語力においても,ただ単に英検の級やTOEICの点数を持っているだけではあまり意味がありません.適切な時に運用できる人間こそが真に「英語力がある」と見なされるからです.
このことを検証するために,私はベトナム,台湾,フランスに留学し,他国からの留学生とも交流してそれぞれの国が持つ特色や発音の差異などを比較しました.
その結果,ヨーロッパの国に近づくほど言い回しが端的で聞き取りやすく,アジア方向へ離れるほど国特有の訛り(?)が強くなり聞き取るのが難しい傾向にありました.
私の英語は日本人の中ではあまりカタコト(如何にも日本人が喋るような発音)ではないつもりでしたが,世界の留学生と比べるとまだまだ未熟であると感じます.
英会話力の強化のためには,身近にある留学生交流スペース等を使えば良いという意見もありますが,そこにいる外国人から真に聞き取りやすい英語を学べるとは限りませんし,いわば彼らはボランティアなので英会話力を向上させねばならない義務もありません.結果として正しい英語を学ぶ機会は少なく,ただ日本語をちょっと教えただけで終わってしまいがちです.
ちなみに私の高校の頃の友人はフランス留学前,お金をかけて数ヶ月間フランス語レッスン教室でフランス語を特訓した結果,日常的な会話をほとんどマスターしていました.

3−6.成長の瞬間

前々節あたりからC3の色が消えかかっていたので,もはやC3とは関係なくないか?と思われた方もいるかもしれません.しかしいずれの節も,元を辿ればC3で味わった苦しみによって掻き立てられた私の思考と行動です.
もし当時C3に所属しておらず,ハッカソンにも参加していなければ,私は自らの境遇に満足し,努力もせず,成長もせず,改善もせず,何も得ることなく無為な日々を過ごしていたかもしれません.

人間が最も成長できる瞬間は大きな敗北や挫折を味わった後である,と私は思います.
「今日も課題出し忘れた,まぁいいか」くらいでは全く足りません.
「己の集大成ともいえる作品が落選だった」
「毎日血の滲むようなトレーニングを続けてきたのに敗北を喫した」
「家族や仲間の期待に応えられなかった」
といった大きなショックを受けた時,人間はこれまでの生き方を否定された気分になります.
そして過去の自分を振り返る中で,隠れていた自分の弱さや詰めの甘さに気づきます.

私はかつて,本章内で挙げたハッカソン以外にも,
❶部活動の地区大会(レース)で他校に敗れた時
❷大学入試の前期に敗れた時
❸1社目に受けた企業の最終面接に敗れた時
がだいぶ自分にとってショックの大きい出来事でした.
というのも,いずれも多くの方の協力や応援がある中でこのような結果となったため,彼らの期待を裏切ってしまったという罪悪感がショックをさらに増大させたのだろうと思います.
目を背けたくなるような事実ですが,少し落ち着いてからじっくり向き合うことにしました.
❶は単純に自身の基礎体力の欠如および練習不足に尽きます.
元々私は体育が得意とは言えず,中学までは文化部だったため,幼い頃から運動一筋で積み重ねてきた他校の学生が優位であることは誰が見ても明らかです.
それ以来彼らに再戦を申し込むことなどはしていませんが,現在もトレーニングは継続しています.
❷はこれまで勉強を主軸にしてきた私にとって納得するのにかなり時間がかかりましたが,結局のところは自らのコンディション調整不備に起因するものだと思います.
また,予備校の模擬試験に慣れるがあまり過学習してしまい,本番の製作陣が作る問題に対して汎化性能が低下してしまった可能性もあります.
私立を受けなかったため,1発目の受験を本命にしたのも良くなかったかもしれません.
それ以来,就職活動などでは1発目を第1志望にしないよう調整するようになりました.
❸はかなり面接で手応えがあった上での不採用通知だったので,結果を見た瞬間は信じられませんでした.
しかし,その後様々な人に相談していくうちに,不採用にされたのは能力の問題ではなく,個人の適性や性格が企業の社風と合わなかったという分析を得られたので,以降の就職活動からは面接官の急所を突く方法がわかるようになりました.

3−7.私にとってC3とは

苦しみを味わい,自分の弱さや広い世界を知るきっかけとなる場所」だと考えます.

元からコンピューターに深い造詣があった人はそう感じないかもしれません.私も幼い頃は「大学では数学の作問サークルに入ろう」と考えていました.しかしそのような道を歩んでいた場合,数学以外のあらゆることに目を向けなかったかもしれません.目を向けても耐えられずにすぐやめてしまう性格になっていたかもしれません.
苦しい時期は誰だってつらいです.しかしその苦しさに慣れてしまえば,きっと他のことは苦しいと感じなくなり,無敵の人生に一歩近づけるのではないでしょうか.

4.将来

これまでは私とC3に関する過去について述べてきました.
ここからは私の将来について書き綴っても良いのですが,今回はC3のアドベントカレンダーとして執筆させていただいているので,私の専攻である知能情報工学と切っても切れないAIに関して,とりわけ将来のさらなる進化が見込まれる生成AIを中心とした章にさせていただくことにします.

4ー1.生成AIの概要

AIに関する研究は1950年代のチューリングテスト(テキストベースの人間との対話)に端を発すると言われています[第1次ブーム].
その後は計算量の膨大に対応できるコンピューターがないなどの理由でしばらくブームは去りますが,パソコンが普及するにつれてルールベースの知識表現やビッグデータの処理ができるようになり,チェスやクイズで人間のチャンピョンに勝てるようになります[第2〜3次ブーム].
2010年代頃になると,GAN(敵対的生成ネットワーク)の登場によってリアルな画像生成が可能になり,またLLM(大規模言語モデル)の基礎となるTransformerが開発され,2020年代にはStable DiffusionChatGPTとして公開され,一般のユーザーが使える形になりました.

4ー2.生成AIの構造

今やAIにさえ頼れば何でも解決できるという風潮が広まっていますが,AIとはいえ人生,宇宙,全ての答えを知っているわけではありません.実際のAIの構造からその理由を探っていきましょう.
image.png
まず生成AIはインターネット上の膨大な情報から「言葉のつながり」や「一般的な知識」を吸収します.このプロセスを事前学習(Pre-training)と言います.

こうして読み込んだ言葉を「トークン」(単語や文字の一部)に分解し,各トークンはベクトル型の数値の列に変換されます.このベクトルは意味が近いもの(「絶起」と「寝坊」など)がなす角は小さく,逆に意味が遠いもの(「ミラノ風ドリア」と「ミトコンドリア」など)がなす角は大きくなるようにします.

次に各ベクトルはSelf-attention(自己注意機構)に入力されます.ここでは文章中のある単語が他の単語とどのくらい強く関連しているかを計算します.
image.png
例えば以下のような文があったとします.
「アドベントカレンダーを執筆してほしいと皆に頼んだのに,誰一人としてそれを完成させた人はいなかった」
従来のAIであれば,「アドベントカレンダー」「を」「執筆」...のように前から順に1つずつ処理していたため,文章が長くなると最初の方を忘れてしまうという難点がありました.よって「それ」とは何なのか,という質問に対してもうまく答えられません.
一方Transformerでは,文章全体を把握した上で各単語の重要度を計算します.例えば「それ」が該当するものの候補として
「アドベントカレンダー」:81%,「執筆」:9%,「皆」:3%,「誰」:3%,「一人」:4%
のようにAttentionが計算され,多くの場合で意図する解答を得ることができます.
私が普段mastodonでよくやる「会話の流れから適切な関連トゥートをブーストして提示する」行為に似ていますね.

さらに詳しい内容(キー,クエリ,バリューの関係性など)は以下の動画が参考になります.
https://www.youtube.com/watch?v=eMlx5fFNoYc

4ー3.注意点 (どこまで信用して良いのか?)

勉強や研究などで日常的に使う分には大変お世話になる生成AIですが,流石にインターネットで調べてもわからない情報に対して解を示すのは難しいだろうと思い,次のような検証を行いました.

AIは福岡銀行の支店コード3桁の規則性を導くことができるか?

意味が分からない人がほとんどだと思うのであらかじめ解説しておくと,福岡銀行の各支店には以下の図のようにそれぞれ3桁の数字が割り当てられています.
image.png
このコードはランダムに割り当てられているわけではなく,例えば
 1 始まりは福岡銀行本店
2,3始まりは本店以外の福岡地区
 4 始まりは北九州地区
 5 始まりは筑豊地区
 6 始まりは筑後地区
 7 始まりは福岡以外の九州内
 8 始まりは九州外or仮想支店
のように地域によって分類されていることがわかります.
しかしながら,0始まりのものは筑後地区(久留米市庁内,朝倉,星野など)や福岡地区(福岡市庁内,樋井川,けやき通りなど)が混在しており,この謎はインターネットで調べても一向に判明しません.
そこで生成AIはこの0始まりの支店の謎を解き明かすことができるか検証しました.

まずはChatGPT(gpt-5.1-latest)による解答です.
image.png
001「福岡市庁内」に代表されるように,0始まりは特殊な支店のみに割り当てられているという解答でした.しかしそれだと439「北九州市庁内」が不自然なため,追加で質問してみます.
image.png
結果的には歴史的な背景があるのではと推測されるものの,支店開設年の情報は公開されていないためこれ以上の手がかりは得られませんでした.

続いてはGeminiによる解答です.
image.png
先ほどとは異なり,福岡銀行設立の歴史も含めた説明がなされました.
より踏み込んだ説明に期待を込めながら,さらに掘り下げていきます.
image.png
どうやら1945年を境に0始まりとそれ以外が分けられているとのことです.
一方で該当する支店の例には多く誤りが含まれており,その誤りを訂正しながらやり取りを進めていきましたが...
image.png
最終的にはGemini自身が考案したルールに伴って割り当てられている,という推測に収束するものでした.事実はどうなのか分からないままですが,もしご存知の方がいらっしゃれば教えていただけると幸いです.

流石に答えを導くのは難しかったとはいえ,与えられた問題に対して独自の推論やルールの構築ができる点では目を見張るものがあると感じました.

4ー4.AIの学力

2011年度に「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトが始動し,AIの「東ロボくん」が2021年度までに東京大学の一般入試に合格できるかどうか,世間の注目を集めました.
2015年のセンター試験型模試では5教科8科目(文系)の偏差値57.8を記録したものの,当時のビッグデータと深層学習だけでは読解力に大きな壁があり,東大合格は断念せざるを得ない結末となりました.
image.png
画像出典:https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1511/16/news061.html

それからしばらくAIと受験に関する話題は現れませんでしたが,今年に入って突如以下のニュースが飛び込んできました.
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/03078/?i_cid=nbpnxt_cheader_child_parent
image.png
OpenAI社の「o1」およびGoogle社の「Gemini 2.0」のモデルを用いて2025年度共通テストを解かせたところ(リスニングのスクリプトは直接入力),両者とも東ロボくんと比べて有意に高い成績を記録したことが明らかになりました.
image.png
さらに「o1」に解かせた東京大学の個別学力検査に関しても,(東京大学の教授による採点ではないものの)英語を中心に合格者と遜色ない成績を叩き出しており,最難関の理科Ⅲ類の合格最低点である368.67点を突破しました.
image.png

塾講師不要論

これほどまでの学力や説明力を誇る生成AIを前にし,研究室の先生からは「もう勉強のことは何でも生成AIに頼ればいいから,将来的に塾は要らなくなるんじゃない?」という言葉を(塾講師をしている)私に度々投げかけてくることがあります.
私は今年度の3月をもって塾アルバイトを卒業し,来年度からは塾講師ではない職業に就くためあまり関係ないかもしれませんが,私は塾がなくなることは(現時点では)ないと思います.というのも,そもそも塾を利用する人の大半は「自分で勉強する習慣がない」のであり,能動的に勉強できる人は生成AIがあろうとなかろうと自分で課題解決法を模索しているからです.

4ー5.人間の人間離れ

近年,ニュースで「悩みの相談相手が生成AIとなる若者が増えてきている」という話題をたびたび耳にします.
https://news.yahoo.co.jp/articles/631e33958897fc14e702454350767a0b6d88de08?page=1
おそらくAIは悩みに対して相談者を傷つけない理想的な解答をしてくれるので,人間に相談するよりもリスクが少なく,また相手の都合を考慮せずいつでも相談できるというメリットがあります.
逆に言えば,そのメリットのせいで,生身の人間に相談するハードルは格段に上がってしまうことになります.これが慢性化すると,相談者は人間を頼ることができなくなり,社会的な関わりを一切絶ってしまう事態になりかねません.

他にも,「生成AIを結婚相手にする」という例も皆さんはご存知かもしれません.
https://news.yahoo.co.jp/articles/9aee30ad68a5b9e62d2faa52360e8aa10387273d
元々結婚するか否かは個人の自由のため,この事実によって他者に被害をもたらすわけでもなく,否定される理由はないと思います.現代ではAIと結婚することは特殊例に過ぎないでしょうが,もし今後さらに人間の人間離れが進めば...

幸いにも現在C3にはmastodonというカジュアルなサービスがあり,日頃から悩みや吉報,イベントのリマインド,飯テロなど多種多様な情報が交換されています.今後このサービスがどうなるか,そして展覧会など人間同士で直接交流できる機会が保たれるのか分かりませんが,少なくとも人間離れを加速させては欲しくないと願うばかりです.

5.時間の使い方

ここからはC3にとどまらず,人生全体を俯瞰した時間の使い方について考えていきます.

5−1.人生の制限時間

人間が一般的に制限時間を意識するのは,
・会合に遅刻しそうなとき
・テストを受けているとき
・課題やレポートを提出しなければならないとき
・仕事の納期が決まっているとき
のような,数分程度から数日後までくらいにとどまるものです.
逆に言えば,それ以上のスケールに渡るものはあまり意識することはないでしょう.
例えば2025年の元日に「今年はあと365日しかない」と思う人は滅多にいないでしょうし,たとえいたとしても,翌日に「あと364日…」その翌日に「あと363日…」と細かく刻むよりも,週単位くらいで考えた方が効率よく物事を進めやすいです.

ましてや,人生の制限時間などほとんどの人はわかりません.
病に倒れ余命宣告を受けた人や,生きては帰れないような戦地に駆り出された人以外は,来年,来月,あるいは明日命が終わるなど想像もできません.
ですから,とりあえず「自分は今のところ無限に長く生きられる」という仮定を無意識のうちにしています.

では,もしもあなたが本当に無限に生きられるとしたらどうしますか?
遅かれ早かれ,誰もが1度は「永遠の命を手に入れたい」などと思ったことがあるのではないでしょうか.
一見,永遠の命は非常に尊いものに思えますが,ずっと生き続けるということは,この世に対してずっと責任を負い続けなければならないということです.
世界の全てを知ってしまえば,ワクワクすることも少なくなり,次第に怠惰になり,いずれは何に対してもやる気が湧かなくなってしまうのではないでしょうか.

死は恐ろしいかもしれませんが,死が存在しないことの方がずっと恐ろしいものだと思えてきます.

5−2.マイルストーンの設定

前節の通り,(現時点では)ある程度のところで人間は死ぬように設計されています.
その前提を踏まえてか,最近私の研究室では「死ぬまでにやりたい〇〇のこと」の作成が流行しています.
私自身も,死ぬまでではなく学生生活が終わるまでに
・ヨーロッパの国へ渡航したい (2025-6達成済)
・アメリカへ渡航したい (2026-2予定)
・何らかの検定試験で1級を取得したい (2024-4達成済)
・富士山頂上からご来光を拝みたい (2025-8達成済)
・国際学会で研究発表したい (2024-11達成済)
・研究内容を雑誌に掲載したい
・教え子を第1志望に合格させたい
・週に1回程度真夜中のみ営業するラーメン店に1度は入りたい
・福岡銀行の支店コードを全て記帳し尽くしたい (残り11支店)
といったマイルストーンを設定しています.残り3か月しかないので全て達成できるかわかりませんが,目標があるだけで毎日の生活に意味を持たせることができます.

5−3.大学生という時間

今この記事を読んでいらっしゃる方のほとんどは大学生かと思われます.
大学生というのは,多くの人にとっては人生全体を通して最も自由度が高い期間ではないでしょうか.
長期休暇があるのはもちろん,体力的にもピークであり,また学生という特権を活かして様々な経験を安価で味わえるチャンスに溢れています.
例えば無料で参加できるハッカソンやSecHack等のイベント,企業のインターンシップ,大学の補助金で行かせてもらえる学会発表や海外留学,他にも学生なら無料で使えるアプリケーションやソフトウェアもたくさんあります.

もちろん学生の本分は勉強なので,単位の取得を怠ってはいけません.
しかしながら,講義を受けて単位を取るだけの大学生活というのは,あまりにも勿体無い気がします.
また,高校まではしっかり勉強さえしていれば大学入試でも高いパフォーマンスを発揮できる可能性がありますが,大学で勉強だけしていても就職活動の場において無双できるわけではありません.
就活の場には当然他の世界で生きてきた学生がおり,彼らもまた就職に向けて様々な準備をしてきています.
そこで求められるのが「独自の強み」と「企業側がこちらを採用するメリットの主張」です.
企業自体も成長を望みますから,できる限り互いの成長につながる人材を登用したいところです.

私は高校の頃から入りたいと思っていた企業があったのでそこに行くことになりましたが,就職することだけが大学後の進路とは限りません.
これまでにない事業を立ち上げて新たな価値創造に励んでもよし.
研究機関でひたすら研究に没頭するもよし.
人の営みがない地で仙人のような暮らしをするもよし.
ひたすら誰かのサポートをして生きていくもよし.
様々な考えを吸収できる機会に溢れているのも大学生ならではだと思います.

私自身は大学生の時間を
学業20%,研究20%,アルバイト25%,課外活動(C3含む)20%,その他(旅行や娯楽など)15%
くらいの配分で過ごしてきました.
アルバイトが他に比べるとやや多いように見えますが,これは学業が主に前半3年,研究が主に後半3年なのに対し,アルバイトの個別指導は6年間ずっと続けているからです.
アルバイトはお金を稼ぐためにするものだと思われがちですが,人間的な成長につながることもあります.
この場でアルバイトを語るには余白が狭いのでこちらをご覧ください (https://compositecomputer.club/blog/4X1fWgblOt2f8ncHotzsHR) .
正直なところC3に費やした時間が比較的少ない(とりわけ,部会にほとんど参加できていない)のが心残りではありますが,何かを得るためには犠牲はつきものです.
それよりも,C3の様々なメンバーと交流する中で,自分が常識だと考えていたことが常識ではなくなり,世界の広さを知れたのが大きな価値であると考えています.

6.おわりに

ここまで読んでくださりありがとうございました.あまりに話が広がりすぎて混沌とした記事になってしまいましたが,これから読者の皆様が苦しい局面に遭遇した際,少しでもこの記事が心の支え,あるいは生き方の指針の一つとなれば幸甚に存じます.

また,4−3節の謎について何か情報があればお寄せください.

宣伝になりますが,現在私が1人で執筆しているこちらもぜひお楽しみください.
https://qiita.com/advent-calendar/2025/suken_1stgrade_challenge
(25日分内容はあるのですが,果たして執筆が間に合うか...)

明日はush1さんの「酪農×YOLO×私の技術カ=」です.お楽しみに!🥛

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