1.はじめに
Web 上には初学者向けの Azure 学習の進め方を説明する記事がありますが、どの記事も最低限の IT 知識を持っていることを前提とした説明になっており、「真」の初学者の方には学習するハードルが高く、学習を断念するケースもあるのではないかと考えています。
ここでの「真」の初学者は以下のような人物の方です。
- これからクラウド(Azure)を学んでいきたい方
例:高校の普通科卒や大学の文系卒の社会人1年目 - 未経験からクラウド(Azure)エンジニアへ転職予定または転職済みの方
例:異業種からクラウドエンジニア(Azure)へ転身し IT 業界歴1年目
上記のような方は、今後エンジニア(エンジニアではない場合も含む)としての業務に期待を膨らませる一方で何から学習を始めれば良いのかイメージが湧いていない方も多いのではないでしょうか。
そこで、本記事ではタイトルの通り、IT 知識ゼロから始める Azure 学習の進め方について説明を行います。
大前提になりますが、読者ご自身の現在のスキルや経験、性格などにより、最適な学習方法は異なります。そのため、本記事は学習方法の一例としてご参照ください。
2.本記事の投稿目的
まずは、読者の皆さんへ問いかけです。
「クラウドサービス」と聞いて、最初に思い浮かべるサービスは何ですか?
クラウドサービスとは、簡単に言えば「インターネット経由で使える IT サービス」のことです。
企業が自社でサーバーなどを用意せずに、必要な分だけ借りて使える便利な仕組みで、「パブリッククラウドサービス」と呼ばれることもあります。
たとえば、Amazon Web Services(AWS) や Microsoft Azure(Azure) がその代表です。
さて、皆さんが思い浮かべたのはどのサービスでしたか?
おそらく、AWS ではないでしょうか?
もちろん、Azure を思い浮かべた方もいると思います。
ただ、実際には AWS の方が知名度が高いため、「クラウド= AWS」と認識している方も多い印象です。
本題に戻りますが、本記事は少しでもパブリッククラウドサービスの一つである Azure に興味を持ってもらい、クラウドエンジニア(Azure)の仲間を増やしつつ、Azure を盛り上げることを目的にしています。
私も2020年に未経験のクラウド(Azure)を業務で担当することになり、何から学習を始めたら良いのかと思い、まずは Google 先生に聞いてみたのですが、ほとんどが AWS 向けの学習方法になっており、全然 Azure ないじゃん..
結局何から始めるのが正解なの?と考え込んでしまい、悶々としていた時期がありました。
2024年現在はどうかというと、Azure も初学者向けの学習方法の記事や公式ドキュメントが充実しており、学習は非常に進めやすくなりました。一方で、学習が進めやすくなったのは、あくまでも基礎的な IT 知識を持っているクラウド初学者が前提だと思っており、「真」の初学者の方には変わらず学習を進めるのが難しい状況ではと考えています。(あくまで個人的主観です)
今回の記事の投稿により、少しでもこれからクラウドエンジニア(Azure)を目指す(既になっている場合も含む)方の一助になれば幸いです。
3.で何から始めれば?
まずは、自身の現在の実力(スキルレベル)を把握しましょう。
以下は、一例になりますが、Azure 学習サイト(MS Learn > Azure 仮想ネットワークの概要)になります。
画像内の学習の目的欄に複数の説明文がありますが、記載の文章から皆さんは何を思い浮かべますか?
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/modules/introduction-to-azure-virtual-networks/
ここでは前半の3文を抜粋します。
基礎的な IT 知識がある方はこの記事を文章を読むと、クラウド未経験でもこんなことを思い浮かべるのではないでしょうか。
「#」は筆者自身がぱっと思い浮かべたことです。
-
仮想ネットワークを実装する。
#仮想ネットワークだけだとイメージがつかないな。でも、クラウドもネットワークの概念はあるはずだから、TCP / IP の仕組みは使うんだろうな。 -
パブリック IP サービスを構成する。
#パブリック IP ってなんだろう。聞いたことないけど、IP というと IPv4、IPv6 があるよね。よく利用される IPv4 の場合は、プライベート IP、グローバル IP の大きく2種類があるけど、似たようなものかな。 -
名前解決を設計し実装する。
#名前解決だと DNS のことかな。当然クラウドも名前解決の概念があるってことだよね。
上記の各説明文について、皆さんも似たようなことを思い浮かべましたか?
全く思い浮かばなかった!何を言っているのか分からない!という方は以降の記事も参考になるかもしれませんので、是非読み進めてみてください。
補足として、今回の問いかけは一例でしかないので、その他の MS Learn(レベル:初級)を見てみて、キーワードレベルで何を説明するコースか理解できるかを確認してみてください。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/training/browse/?levels=beginner
一方で、そんなことは知っているから、もっとクラウド(Azure)に焦点を当てた学習を進めたいんだよ!と思った方はやまぱん!さん(@aktsmm)の記事をご参照ください。
やまぱん!さんは Azure(Microsoft)の中の人になり、基礎的な IT 知識がある方は以下の記事を読み進めることで、効率よく学習が進められるかと思います。
4.「真」の初学者向け 学習の進め方
まずは、学習計画を立てて、学習を進めやすく(続けやすく)しましょう。
以降の学習に要する期間は3ヶ月、時間は65時間(1か月:約20時間)としました。
学習期間や学習時間というのは、個人差があるので、上記の数値は指標の一つとしてご理解ください。
また、学習の効率性を重視して、書籍や有料のコンテンツを対象した学習方法としています。私自身クラウドを経験して、4年半程度になりますが、数多くの書籍や公式ドキュメントやその他 Web 情報を見た中で特に学習に役立ったものを利用した学習方法になります。
以降の章末で各学習内容を説明します。
4.1 IT パスポート試験範囲の学習
こちらは IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の国家試験になります。
何で Azure の学習の進めるのに国家試験?いらなくない?試験に合格しても意味ないと思うんだけど..
と考える方もいらっしゃると思いますが、私がここで伝えたい点は、試験の合格が目的ではなく、この試験で問われる各要素を体系的に理解することが目的です。
ここで基礎的な IT 知識を体系的に理解することで、後続の Azure 学習が効率的に進められるか(実業務に活かせるかどうか)が変わってくると私は思います。
仮に本章の学習を飛ばし、クラウドサービス(例:Azure)に特化した学習を行っても、知識が頭に入りにくいもしくは根本的なことが理解できず、上辺だけの情報を頭に入れることになってしまい、結果的に実業務で活かすことが難しくなってしまう(場合があると思う)ためです。
各要素を体系的に理解する方法の一つに、IPA が提供する国家試験の学習があります。
学習方法としては、書籍を何度も繰り返し読み、各分野の用語や概念を「理解できるまで」しっかりと読み込むことをおすすめします。
大切なのは回数ではなく、内容を「理解できるまで」繰り返すことです。
※ここでは IT パスポート試験にしていますが、余裕がある方はその次の試験レベルである IT の登竜門と呼ばれる基本情報技術者試験の範囲も合わせて学習を進めてみてください。
書籍は多くの出版社から出版されているので、自身に合った書籍を1冊購入してみてください。
書籍によっては、試験対策に特化した問題集の書籍がありますが、今回試験に合格することが目的ではないので、各 IT 用語の教科書として利用できる書籍を選ぶと良いです。
▼本記事の筆者おすすめの書籍
書籍名 | 出版社 | 著者 |
---|---|---|
いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集 | SBクリエイティブ | 高橋 京介 |
いちばんやさしい 基本情報技術者 絶対合格の教科書+出る順問題集 | SBクリエイティブ | 高橋 京介 |
4.2 Azure の基礎範囲の学習
ここからは Azure の学習に入ります。
Azure は独自のキーワードが多く、座学だけではなかなかイメージが湧きにくいと考えています。
学習のアプローチとしては、座学も取り入れつつ、実際に Azure の実環境を触ってみて理解を深めることが重要ではないかと思います。
そのような方に向けた学習コンテンツは以下になります。
Udemy には数多くの Azure の学習コンテンツがあるので、自身に合ったもので学習を進めてみてください。
※Udemy コンテンツは定期的にセールが実施されるので、セールのタイミングで購入すると学習コストを抑えることが可能です。
▼本記事の筆者おすすめの学習コンテンツ
コンテンツ名 | 著者 |
---|---|
作りながら覚えるMicrosoft Azure入門講座(IaaS編) | Makoto Okada |
作りながら覚えるMicrosoft Azure入門講座(PaaS編) | Makoto Okada |
4.3 Azure 資格範囲の学習
最後は、Azure 資格(初級:AZ-900)の「試験範囲」の学習です。
最後に資格?となるかもしれませんが、対象資格の試験範囲が Azure 全体の基礎知識をインプットするのに最適なので、ここでは試験範囲の学習を行うこととしています。
AZ-900 は以下の図の通り、どの役割を持つ方にも役立つ Azure 資格の一つになります。
受験が必須ではないですが、IT パスポート試験とは異なり、今後実業務で利用する Azure 特化型の資格になるので、今回の学習の最終ゴールとして受験(合格)すると良いと思います。
但し、こちらも資格の合格が目的ではなく、試験範囲を網羅的に理解することが目的です。
▼本記事の筆者おすすめの学習コンテンツ
コンテンツ名 | 著者 |
---|---|
合格への近道!Azure Fundamentals AZ-900 試験対策講座 | Makoto Okada |
【9万人が受講】AZ-900 Microsoft Azure Fundamentals模擬試験問題集(7回分490問) | Makoto Okada |
もし、AZ-900 以外の Azure 資格も興味がある方は以下の記事を合わせてご参照ください。
5.おわりに
以上が IT 知識ゼロから始める Azure 学習の進め方(一例)の説明になります。
本記事は筆者自身がクラウド(Azure)の学習を始めた際に困ったこと、もし自身が IT 知識ゼロから始めるなら学習を効率的に進められなかっただろうなという点に対する、まとめ記事になります。
そのため、個人的主観が多く、万人受けする記事ではないと重々承知していますが、筆者と同じような境遇で世の中で困っている方の一助になれば、幸いです。
皆さん、快適な Azure ライフを!
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