Similarly, $\phi_3(z)$, $\phi_4(z)$, $\phi_6(z)$, $\phi_7(z)$, and $\phi_8(z)$ can also be expressed using $\phi_1(z)$ and $\phi_5(z)$. Substituting these into the first and fifth equations and rearranging yields the following form.
$$
\left(\begin{array}{ll}
\overline {H(E)} _{11} & \overline{H(E)} _{15} \\
\overline{H(E)} _{51} & \overline{H(E)} _{55}
\end{array}\right)\binom{\phi_1(z)}{\phi_5(z)}=0
$$
It can be easily shown that $\overline{H(E)} _{11}=\overline{H(E)} _{55}$. By doing so, the original 8$\times$8 matrix can be reduced to a 2$\times$2 matrix containing only the $\left | {\rm CB}\uparrow,\;\downarrow\right >$ (conduction band). To obtain the eigenenergy $E$ most accurately, one must further reduce it once more, and then numerically solve the equation:
$$
\left(\overline{H(E)} _{11}-\overline{H(E)} _{15}\;\; \overline{H(E)} _{11}^{-1}\;\; \overline{H(E)} _{51}\right) \phi_1(z)=0
$$
By the way, from the perspective of deriving the Rashba term, it is better not to perform this final reduction and leave it as a 2×2 matrix for $\left | {\rm CB}\uparrow,\;\downarrow\right >$ (conduction band).
For simplicity, assuming that $k_{\parallel} \equiv \sqrt{k_x^2+k_y^2}$ is very small and setting $k_\parallel ^2=0$, $\overline{H(E)} _{11}$, $\overline{H(E)} _{15}$, $\overline{H(E)} _{51}$ are written as
$$
\overline{H(E)} _{11}= \frac{\hbar^2 \hat{k} _z^2}{2 m}
$$
$$
+\frac{1}{3} P(z) \hat{k} _z
\left\{ 2 \left(E-E _{\Gamma 8}(z)-\frac{\hbar^2 \hat{k} _z^2}{2 m}\right)^{-1}\right.
$$
$$
\left. + {
\left(
E-E _{\Gamma 7}(z)-\frac{\hbar^2 \hat{k} _z^2}{2m}
\right)^{-1} } \right\} \hat{k} _z P(z)
$$
$$
+E _{\Gamma 6}(z)-E
$$
$$
\overline{H(E)} _{15}= \overline{H(E)} _{51}^{\dagger}
$$
$$
= \frac{P(z)^2}{3 i}
\left[\frac { \partial } { \partial z } \left\{
\left(E_{\Gamma 8}(z) + \frac{\hbar^2 \hat{k}_z^2}{2 m} -E\right)^{-1}\right.\right.
$$
$$
\left.\left. -\left(E _{\Gamma 7}(z) + \frac{\hbar^2 \hat{k} _z^2}{2 m}-E\right)^{-1} \right\} \right] k _{-} \;\;\;.
$$
Here, note that the operation of $\partial/\partial z$ inside $\overline{H(E)} _{15}$ and $\overline{H(E)} _{51} $
is only effective to the terms within the brackets $[$ $]$. By the way, the effective mass at the band edge obtained from the bulk $H_{\rm Kane}$ is,
$$
\frac{m}{m^*} = 1+\frac{2 P^2}{3 \hbar^2}
$$
$$
\left{ 2 \left( E _{\Gamma 6} \right. \right.
$$
$$
\left. \left.-E _{\Gamma 8}\right)^{-1}
+\left(E _{\Gamma 6}-E _{\Gamma 7}\right)-1\right}
$$
file:///C:/Users/taka_/Downloads/overleaflink.txt
file:///C:/Users/taka_/Downloads/%E5%9B%BA%E4%BD%93%E3%81%B6%E3%81%A4%E3%82%8A.pdf
https://note.com/simaneco/n/n764bddbf71ab
https://snip.mathpix.com/
(H(E) 11 H (E) 15
・中1 (2)
√2
=0
\H (E) 51 H (E) 55/
の形を得る. ちなみにH(E) 11=H (E) 55 であるこ
とは容易に示せる. このようにすると, もともと
の8×8の行列を CB↑, ↓ (伝導帯)だけの2×2
の行列に reduction できる. 固有エネルギーEを
最も厳密に得るためには, さらにもう一度 reduc-
tion を行い,
1
11
(H(E) 11-H (E) 15 H (E) , H (E)31) 中(z)=0
を数値的に解けばよい.
ところで, ラシュバ項導出の観点からは,この
最後の reduction は行わず, CB↑ ↓ 伝導帯)に
対する 2×2 の行列のままにしておいたほうが良
い. 話を簡単にするために,k==√3+k3が非
常に小さいと仮定し, k9=0 とすると, H (E) 11,
H (E) 15, H (E) 51, は
k
2m
H (E)11
m = H (E) 15=H (E)51+
m
+1/2P(2) {2(E-Ero(2) 196
2m
- (E-E1 (2))'},P(z)
E-Erz(z)
2m
+Er6(z)-E
=
21
What we want to do is to solve the eigenvalue equation for $\hat{H}_{\mathrm{Kane}} \vec{\phi}(z)=E \vec{\phi}(z)$ using the envelope function vector, $\vec{\phi}(z)=\left(\begin{array}{llllllll} \phi_1(z) & \phi_2(z) & \phi_3(z) & \phi_4(z) & \phi_5(z) & \phi_6(z) & \phi_7(z) & \phi_8(z) \end{array}\right)$
ただ
_P(4) [1/{(Env()+税)
Era(z)
3i az
2m
と書ける(ここで, H (E) 15, H (E) 51 の[ ]内に
あるa/azの演算は[ ]内にしか及ばないこと
に注意). ところで, バルクのHkane から求めら
れるバンド端での有効質量は,
=1+ -{2 (Er6-Ers) - 1+ (Ero-Erz) -1}
2P2
32
(6)
- (Ery (2) + ²)"}]₁.
(²
2m
と表わされ,これを使った有効質量近似
(H-E) (2)
hd 1 d
2dzm* (z) dz
+1/(2)) (2)
= 0
(ここでのV(z)はE16 (z)で与えられる) の(白。
-E) と H (E)11の差は微々たるものであるので,
H (E) を有効質量近似で置き換える. H (E) 15,
11
H (E) 51 に関しては, 関数
α(z)=
-I
P(z)=1/{(Eme(z) +12-E)
Er8
3 az
2m - (E
Erz(z) +
ただ
2m
E
I
を導入すると、H (E) 15=-ia(z)k_, H (E) 51=
ia(z) k+ と書け, 2×2 のとして
he d 1 d
+P/h (²)
2dzm* (z) dz
ia(z)k+
を得る.
ここでの非対角項を摂動
1=(-ial
―ia (2) k+ 0
として取り扱うならば,
(z)|a(z)(z)>
<(2) (z)>
a≡
<CB
<LH↑
として,
[式 (2)] を与える.
2.2 ディラック方程式との関連
前節で述べたラシュバ項の導出では, いわゆる
スピン軌道相互作用項
eħ
4m262
<CB↑| Ero
<LH↓
CB
ħ² d 1 d
2dzm* (z) dz
がラシュバ項HR
の1次摂動く〉
Hso= (Exp)・・
が明示的に出てこず, Kane のハミルトニアンか
ら得られる 「ラシュバ効果」 と, 「スピン軌道相
「互作用」との関係があまり明確ではない. これら
の関連を見るには, HKane の対角頃にあるんだ/
2mを無視し, CB↑↓>> LHT, > に関連する行
列要素のみを取り上げたハミルトニアン (Heake)
CB LH↑> LH↓>
ia(z) k_
0
Pk+
√6
0
)
Ero
Pk.
√一覧
・K2P
3
√
ia(z) k_
Pk..
√6
Ere
+V/6 (2)
Pk₂ 0
Pk.
Pk_
√6
√AP
0
Er8
と相対論を包含したディラ クのハミルトニア
ン HDirac を比べてみるとよい. HDirac は, kz =
(1/i) (a/az), k=k±i, などとして,
<電子
<電子↓
<電子
chkchk_
<陽電子川 chkchk.
電子電
mc²
H=
Kane
と書かれる41), Hikake と HDirac がほとんど同じ形
をしていることに驚く. さて, ディラックの 「ス
ピン軌道相互作用」 は, 実は、 HDirac の対角項に
スカラーポテンシャルーed (r) を入れ, 大川・植
村が行ったものと同様の reduction を行うことに
よって得られる。 計算の詳細は、 読者への演習問
題とし、結論のみを記すと, 電子↑、↓に対して
ハミルトニアン
pich
2m 4m262
0
mc2
c(光速)
電子〉 | 電子↓
chkz chk_
cħk + chkz - mc2
0
-mc2
(E・F) +
2
[注] 厚や店
3
eħ
4m262
(7)
を得る.通常, 「スピン軌道相互作用項」 と呼ば
れているものは、この式右辺の第3項である. さ
て, Hkate と HDirae を見比べると、 第1表のよう
な関係があることに気付く.
4×4
Kanc
(EX)・・
興味深いのは、HKXには、 光速 c が出てこ
ず,一見,非相対論的なハミルトニアンに見える
のに、ここから, ラシュバ項というスピン軌道相
互作用的な効果が出てくるところであろう. な
お,価電子帯として | LH↑, >のみを仮定したこ
とは,暗にスピン軌道分離エネルギーAso (Aso =
Ere-Ex) を無限大にしたことに対応している.
すなわち,この単純化されたモデルから出てくる
ラシュバ項は, 実際のものを過大評価する. ま
た, c(光速)に対応する固体での P/hは,文献に
よると106m/s程度である.
さて, (7)式で与えられる相対論補正を含むハミ
ルトニアンの第1項は, reduction の過程で 2621
第1表 HDirac と H... との関係,
Kane
HDiraç
He
2mc2
EB (バンドギャップ)
1
P
た
[注]
この係数は無視している.
Kane
2m2 を約分して得られるものであり, HDirac から
すると, これ自体が2次の摂動項であると言える。
固体 (Hake) でこれに対応するものは P262/2Egで
あり, 1/m*=2P2/12Egとすることで有効質量近
似が成立する [簡単のため,Hk.neでの√2/3や
1/√6の係数は無視している ( 1 とした)]. 最後
に,「Hkade を使った最も簡単な固体モデルでの
ラシュバ項 (零磁場スピン分離項) は, Hso = (eh/
4m²6²) (Exp).a (3 次の摂動項)に対して, m→m*,
c→P/hの置き換えをし, E = (00Ex) を代入する
ことで得られる」 ということが定量的にも大まか
に正しい. InGaAs の場合, m*はmの20分の
1 程度, P/hはcの100分の1程度であるので,
ラシュバ係数αの値を大まかに見積ると, (eh/
4m²2) の100万倍以上となる.
2.3 実験によるラシュバ効果の検証
さて,包絡関数近似で求めた線形ラシュバ項・
HR=a{kyox-ko} [式(2)] に話を戻す.ここで
のa = の計算の詳細は, Engelsら42),
Schaepersら43)の論文が詳しい. ここでは簡単の
ため、上のα (z)の表式中の2/2m を他の項と
比べて無視(m は有効質量ではない電子の質量)
し,Eは伝導帯に形成した量子井戸の閉じ込め
エネルギーであるので, E≈ Er6, {E-Era(z)}~
Eg(z), {E-E_(z)}=Eg(z)+Aso(z)の近似を用
いると,次式を得る.
a(z)=
P(z) 2
3
1
E2 (2)
a
az
1
a
{Eg(z) +Aso (z)}2 az
P(zcEz(z) 1
{E-Ere(z)}
{E-E1 (2) } ]
1
(エ)]
Eg(z) {Eg(z)+Aso (z)}2_
P(z) 「AEr8 {8(z-22) -8(z-z3)}
[Emais
3
Eg(z) 2
AE1{8(z-22) -8(z-23)}
{ Eg(z) + Aso (z)}2
(8)
ここでは, InAlAs/InGaAs/InAlAs ダブルヘテロ
量子井戸を想定しており,22,73, はヘテロ界面
のある場所である (第1図) α (z)の期待値を考
えるとき, 波動関数の大部分は量子井戸内 (くえ
<23) にあるため, (8) 式右辺第1項でのP(z),
Eg(z), Aso (z)は定数 (InGaAs の値) としてよい.
また、 「障壁層への波動関数の浸みだしが無視で
きる場合」という条件付きだが、第2項=△Ers/
(Er+AErg) ×第1項という関係が成り立つ44)
(AEro, AEre は T6, T's バンドのヘテロ界面でのバ
ンドオフセット)ので, 非常に良い近似で
1
an
P2 1
[
3 Eg (Eg+ Aso) 2
× 1+
)= 080
AErs
Er6+AEr8/
(9)
が得られる. つまり, (8) 式に表わされるように、
半導体ヘテロ構造で発生するラシュバ効果の起源
は、電荷分布に由来するバンドの曲りに起因した
「電場」と,材料の切り替えによる急峻な 「バンド
オフセット」 の2つに分けられるが, 実際のラシ
シュババ効果への寄与は,どちらの起源からのものも
に比例する形になるのである [ (9) 式] 別の
視点から (9) 式を見てみることにする. (9) 式で
Aso の値を零とすると αは零となる. このことは,
「ラシュバ効果」 と 「スピン軌道相互作用」が直接
的な関係で結びついていることを意味している.
さて,ここで述べているαの値は、材料系ご
とに異なるはずであり,また, 格子歪みの影響も
強く受ける. さらに,同一の材料でもの値
は試料ごとに異なる上に, の直接的な測定
も容易でない. その結果, α値は激しく試料依存
せざるを得ないものと一般には考えられてきた.
また、このことは, ラシュバ項の大きさを材料ご
とに定量的に定めようとする研究の努力を阻む原
因にもなっていた. そういった背景の中, われわ
れは,最近,(001) InP に格子整合した Ino.52Alo.48
As/Ino.53Gao.47As (10nm)/ Ino.53Alo.47As 量子井戸
(第1図) に関して, αx の関係が確かに成り
立っていることを確かめるとともに, a=aso
としたときの比例係数 aso (ディラックの場合の
eh2/14m²2 に相当)を材料固有の物性値として定量
的に (実験的に) 求めることに成功した45). これに
よって, 「ラシュバ効果は本当に存在するか?」
という「そもそも論」 に決着をつけることができ
たと言える。 具体的に得られた結果を一言でまと
めると, 「量子井戸周辺の構造は同一だが主にド
ーピングの異なる growth run で成長した20程度
のすべての Ino.52Alo.48As/Ino.53Gao,47As (10nm)/
Ino.52Alo.48As 量子井戸試料 (InP 基板に格子整合し
た無歪みの量子井戸)に対して、 (個々の試料に依
存しない) 材料固有の値として asom*/m=(1.46-
1.51 × 10-17Ns[m-2]) eÅ2 が得られた」というこ
とである.この値は、 純粋に実験的に求められた
もの (Ino.53Gao.47As の比誘電率を13.1とした以外
は、 何のバンドパラメータ値も利用していない)
であるが, 理論予測値[上述の (6) 式の逆数と (9)
式の積から得られる値] をほぼ再現した. ちなみ
に、 この値 (aso m*/m) は, 自由電子に対する Dirac
の値(eh2/4m2=3.72 ×10-6eÅ2) の40万倍 (aso
だけだと800万倍)であり, 固体効果がいかに劇的
であるかがわかる. さらに特筆すべきは, asom*
/m の値が, Ns に対する1次の補正までをも含め
て求められた点で, これは, 有効質量が非放物線
補正項までをも含めて求められたことに相当す
る.また,本稿では詳細を述べることができず,
また理論的にも未解決なことなのであるが, これ
らの試料 (InP 基板に格子整合した無歪み系)では,
ドレッセルハウス項は, 実験的には同定できない
ほど小さくなることも,これらの実験で明らかと
なった.
§3 半導体の価電子帯での
磁場スピン分離
Капе
前節で示したHDirae やHkake から明らかになっ
たことは,電子のエネルギーの大部分は,質量
やバンドギャップに相当する部分であり, 運動エ
ネルギーp2/2m (固体では有効質量を使ってp2/
2m*) に相当する部分は, 非対角項に入って
行列要素の2次の摂動として出てくるということ
である.このことは, 微細加工技術によるミクロ
な実験室を用いて量子力学基礎実験を行うことが
醍醐味であるメゾスコピック物理の対象が, 今
後,自然な形で, ディラックのスピン軌道相互作
用へと拡張可能であることを意味する.
さて, 固体中では, ディラックのスピン軌道相
互作用とは似ても似つかぬ形で零磁場スピン分
離効果が発生することも指摘されている. その
一つが冒頭の (4) 式で紹介した3次ラシュバ効
果である. 3次ラシュバ効果は, ゲルマニウムや
GaAs などの半導体ヘテロ系 (量子井戸) の価電
子帯に発生することが固体のk-p モデルとEFA
から導かれ,その先駆的研究は安藤によってな
された17,46) 価電子帯の特徴であるワーピング
構造を無視するという犠牲を払うが, 3次ラシュ
バ効果が等方近似により理論的に見通しのよい
(4) 式のような形に整理されたのは, 1990年以
降, Gerchikov と Subashiev, Winkler によってで
ある 32,33,44)
半導体の価電子帯は, 原子軌道的にはか軌道か
ら派生したもので, ブロッホ関数の格子部分が
HH), ↓, LHT, SO↑, で表わされる 6
つのバンドからなる. ここでは,最も単純に3次
ラシュバ効果の起源を探るために, HH , ↓,
「LH↑ ↓の4バンドからなるラッティンジャー
モデル HL で半導体の価電子帯を取り扱う. 基底の
順番を HH↑>, LH↑>, LH, HH (全角
運動量磁気量子数の表示ではそれぞれ | +3/2>,
| +1/2>, |-1/2>, |-3/2>) にとると, HLは
HH↑
|LH↑> LHHH↓>
<HH↑
<LH↑
<LH↓
l=
2mo
2
2mo
+42×2.
2
x2=
P
L*
M*
諏
L
P+
0
3
M*
M
l 0
<HH↓ 0
のように与えられる.ここで,
2
P= -[2(p1+p2) (k²+k^2)+2(y-2y2) k2],
-L*
0
2
P+- l-L
3
M
1
M* (EHH-ELH+eΦ(z)) - 1L*
P
2
-[(p1-2y2) (k2+k^²)+(p1+4p2)k²],
+M (EHH-ELH+eΦ(z))-1M*
h?
L=-2√3 ys (kx-iky) kzs
2mo
-L* (EHH-ELH+eΦ(z))-1M*
M=√3 -[y2 (k2k2) -2iys kxky]
h2
2mo
である. 係数 21, P2, 23 はラッティンジャー・パラ
メータと呼ばれているものである.
P -ed(z)+L(EHH-ELH+eΦ(z)) - 1L* L(EHH-ELH+eΦ(z))-'M
2
さて, 半導体ヘテロ系の電子状態を正しく予測
するために, HLにEFA をどう適用するべきかに
関する計算上のルールも議論されているが47), そ
のようなやり方が零磁場スピン分離効果 (3次ラ
シュバ効果) までをも定量的に正しく予測できる
かは定かではない. そこで, ここでは, HDirac に
対して (7) 式を導いたときと同様のことをHに
対して行い, (4) 式のようなスピン分離項を得る.
ちなみに, HKane に対してこれを行うと, バルク
結晶に対して定義される, reと呼ばれる定数44)
を導出できる. は, (9)式で [ 1+AErg/ (AEr6
- r) ] を1としたときの asoに等しく,その
違いは高々 1.4:1である. つまり, 線形ラシュバ
項の大まかな予測は, バルク結晶に対してスカ
ラーポテンシャル-eΦ (r) を導入する方法で行う
ことが可能であることから,同様の方法で3次ラ
シュバ効果の本質をとらえることも可能であろ
う.
6c6c
741
実際の計算は, 結晶歪みなどの効果により, バ
ルク状態ですでにⅠ点での HH-LH の縮退が解
けている場合にのみ, 簡単に行える. HLの対角
項にスカラーポテンシャル (z) を入れ, (É
EI) Φ=0をHH↑ >> だけに関する有効ハミル
トニアンに reduction する. なぜ LH >> でな
> reduction するかというと, 半導
体2次元正孔系の電気伝導は, LH でなく HH が
担っていることがこれまでの研究でわかっている
からである46). EをHH のバンド端エネルギーに
とり (E=EHH), LH のバンド端のエネルギーを
ELH とすると
-M (EHH-ELH+eΦ(z))-'L
01/2-cD(z)+M* (EHH-ELH+eΦ(z))-'M*
+L*(EHH-ELH+eΦ(z)) - 1L
線形ラシュバ項
k
as
0
ΩR1(k)=|Ωril (-sin0, +cos0 )
kx
eE₂
3次ラシュバ項
kv
を得る. このハミルトニアンの非対角項は,面内
にバンド分散が等方的であるという近似 (y2=y3
≡y'′)を採用すると,
6v6g²
(EHH-ELH)2
ΩR3(k)=|R3|(-sin30,+cos30)
として
0 iash_3`
ÉR
(10)
-iask+3 0
と書け, 3次ラシュバ効果のハミルトニアン [式
(4) ] が得られる.
さて,前節で紹介した線形ラシュバ効果と比
べ, 3次ラシュバ効果の特徴はどこにあるか.そ
の特徴の一つは有効磁場パターンの違いである.
有効磁場パターンは, 3次ラシュバ効果の固有関
数 [すなわち (10) 式の固有ベクトル] が持つスピ
ンの方向から求められる. (10) 式の固有関数は下
記のとおりである.
R3=eik.r(↑>
(11)
0は波数ベクトルが軸となす角である. この
固有関数をもとに計算したーん、面内での有効磁
場のパターンを第3図に示した.
さて,このような3次ラシュバ効果が実際に見
いだされた例として, SrTiO3 表面に形成された
2次元電子系を次節で紹介する. また、 最近では,
ゲルマニウム正孔量子井戸でも3次ラシュバ効果
が観察された48) ここでは詳しく述べなかった
が, SrTiO (ペロブスカイト酸化物) もゲルマニ
ウム (ダイヤモンド構造) も, バルク結晶が反転対
称性を有するので,これらのヘテロ界面系は,ド
レッセルハウスのスピン分離効果を完全に無視で
きるという点で, 3次ラシュバ効果を研究する対
第 3 図
線形および3次ラシュバ効果に伴う有
効磁場のパターンの違い。 2つあ
るフェルミ円のうち片方を示している.
象としての重要度が高いと言える.
§4 SrTiO3 表面での
3次ラシュバ効果
最後に, 酸化物 (SrTiO3) 表面で最近観測され
た3次ラシュバ効果を紹介したい49) これは以上
で見たように, もともとダイヤモンド構造 (ある
いは,閃亜鉛鉱型構造)を有する p型半導体のヘ
テロ界面 (|mj=±3/2> のサブバンド状態)で発生
すると予測される3次ラシュバ効果と基本的に同
等であると考えてよい.
まずSrTiO3 のバルク結晶のバンド構造をごく
簡単に述べる. 伝導帯は主に Ti の 3d軌道から派
生しており,そのバンド端はⅠ点にある50) d軌
道は軌道角運動量1=2をもち, スピンを含める
と10個の軌道からなるが, 結晶場との相互作用で
6つのt2g 軌道と4つのeg軌道に分裂する. エネ
ルギーの低いのは前者のt2g 軌道のほうで,この
軌道が主に電子のトランスポートを担っていると
考えられている.
SrTiO の表面/界面での2次元伝導が注目され
始めたのは2000年初頭である. 2004年に Ohtomo
とHwang によって LaAlO3 と SrTiO とのエピタ
キシャル界面が高移動度の伝導特性を有すること
が発見された51) LaAlO3 も SrTiO も絶縁体 (バ
ンドギャップは 5.6 eV と 3.2 eV) であることから
この発見は驚きをもって迎えられ, その後, 界面
磁性52), および界面超伝導 53,54) の報告などをはじ
め, 怒涛の研究ラッシュがおきた. また, SrTiOs
表面の電界効果に関する研究も同時期に始めら