自社内でもXBRLで書かれた財務諸表について見られる人があまりいないので、ちょっとでもなにかの足しになればな、というメモです。
ざっくりなので、多少あいまいでも概要がわかるような感じです。
XBRL?
ただのマークアップ言語ですが、財務諸表とよばれる俗にいう決算書を国税庁に送信するときに使われています。
財務諸表の種類としては、
- 貸借対照表(BS)
- 損益計算書(PL)
- 製造原価報告書(CR)
- 株主資本等変動計算書(SS)
- 個別注記表
です。
「損益金の処分表」や、持ち分会社のときに作成する「社員資本等変動計算書」なども作成できます。
キャッシュ・フロー計算書が入ってないですが、国税に送信するときはいらないことになっています。
XBRLの構成
国税庁に送信される申告データの中は「管理用部分」、「内容部分」に分かれています。
内容部分の財務諸表に関するデータがXBRLデータです。
XBRLデータの中は金額・文章などを格納したインスタンス文書と企業別のタクソノミースキーマなどで構成されます。
話を簡単にするために、管理用部分はざっくりカットです。
XBRLとタクソノミ
いきなり出てきた「タクソノミ」ですが、これは「財務諸表のひな型」のようなものです。
金額などが書かれている「インスタンス」はこの「タクソノミ」とセットになって初めて読むことができます。
簡単に言うと、現金100円
という情報をインスタンス文書では
<jpfr-etax-t-cte:CashHand unitRef="JPY" decimals="0" contextRef="CurrentYearNonConsolidatedInstant">100</jpfr-etax-t-cte:CashHand>
と書きますが、CashHand="現金"という情報はインスタンス文書の中のどこにもありません。
では、どこにあるのかというと「タクソノミ」の中にあるのですが、どのタクソノミの情報なのかというのがCashHandのプレフィックスに書かれています。
このjpfr-etax-t-cteというのは、「日本の税務用財務諸表タクソノミに定義されているよ」ということです。
「現金」という名称にくわえて、ひな形という言葉通り「現金」が「流動性預金」の分類に含まれているなどの基本的な構成に関する情報もすべてタクソノミ側に定義されています。
このタクソノミは国税庁のHPから持ってくることができます。
展開したら、jp>fr>etax>t>cte>2013-03-25の順にフォルダをたどると日本語のラベル名、英語のラベル名が保存されたxmlファイルが見つかります。
日本語ラベルの中に「現金」が見つかるはずです。
#どう書けばいいか?#
細かい仕組みから説明をするよりも、実際のデータを見るのが手っ取り早いと思います。
極限まで簡略化して、以下のような財務諸表がどのようなXBRLの内容になるのかを見てみます。
科目名 | 金額 |
---|---|
資産の部 | |
流動資産 | |
現金及び預金 | 150 |
現金 | 100 |
小口現金 | 50 |
資産の部合計 | 150 |
こんな貸借がバランスしていない貸借対照表はありませんが、例です。
XBRLでは以下のようになります。
<jpfr-t-cte:CashAndDeposits unitRef="JPY" decimals="0" contextRef="CurrentYearNonConsolidatedInstant">150</jpfr-t-cte:CashAndDeposits> <jpfr-etax-t-cte:CashHand unitRef="JPY" decimals="0" contextRef="CurrentYearNonConsolidatedInstant">100</jpfr-etax-t-cte:CashHand> <jpfr-etax-t-cte:PettyCash unitRef="JPY" decimals="0" contextRef="CurrentYearNonConsolidatedInstant">50</jpfr-etax-t-cte:PettyCash> <jpfr-t-cte:Assets unitRef="JPY" decimals="0" contextRef="CurrentYearNonConsolidatedInstant">150</jpfr-t-cte:Assets>
ここまででも、一回作成されたXBRLデータを国税のタクソノミに定義されている情報とにらめっこして、科目を追加したり、金額を手直しするのは可能になります。
科目なら、Assets
やCashHand
の情報を、CheckingAccounts(当座預金)
などに書き換えることになります。
まず、ほんのさわりまで。
〇続編できました。「じゃ、実際にどう使うの?」という点にご興味がある方はぜひ
XBRL解析が難しいので、簡易的に財務諸表を作ってみた