#背景
本番の説明の前に、まずは背景を簡単に紹介したいと思います。
去年5月以降に発売されたHuaweiのスマートフォンではGMSのサービスが使えなくなりました。
その影響で、Mate30 ProやP40シリーズなどのHuaweiのスマートフォン上でGoogle MapやChromeなどのGoogleオリジナルアプリとGMS、firebaseのSDKが使用不可になっています。(念のために説明しますが、それらのスマートフォン上で現在でもYoutube、Google Mapなどのサービスはブラウザ上であれば使用可能ですので、完全に使えないわけではありません)
その後、Huaweiは独自のHMSサービスを提供し始めました。現在、グローバルではHMSのアクティブユーザーがすでに4億人を超えていますが、日本ではまだあまり知られていないようですのでここで紹介したいと思います。
#HMSとは
HMSとはHuawei Mobile Serviceの略称で、Huaweiオリジナルアプリと開発者向けSDK群の総称です。
Huaweiオリジナルアプリとは、
- AppGallery(アプリストア)
- Huaweiブラウザ
- Huawei音楽
- Huaweiビデオ
- テーマ
などのHuaweiが提供しているアプリのことであり、これらのアプリはすでに170ヵ国以上に展開され、グローバルMAU(Monthly Active User)は4億人を超えています。
(引用元:https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1256381.html)
また、HMSが提供しているSDKはおもにHMS Coreと呼ばれ、現在ではバージョン5(HMS Core 5.0)まで更新されています。HMS Core 5.0は、ARエンジン、AIエンジンやCGキットなど、幅広いサービスを世界中の開発者に提供し、HMS Coreを使用したアプリ数は6万を超えています。
(参考元:https://www.agara.co.jp/article/72533 )
今回はSDK群のほうを重点的に紹介したいと思います。
##開発者向けSDK群の紹介
HMSでは現在、主に以下の2つのSDK群を開発者に提供しています。
1. HMS Core
2. AppGallery Connect
以下にこの2つのサービスの概要をそれぞれ紹介します。
###HMS Core(公式サイト)
HMS Coreはアプリの開発、成長とマネタイズに必要な基本機能をカバーするSDK群で、イメージとしてはGMSのcom.google.android.gmsから始まるパッケージ群とほぼ同等であるかと思います。
例えば、以下のような対応関係があります。
GMSのサービス | HMSのサービス |
---|---|
location | Location Kit |
maps | Map Kit |
In-app billing | In-App Purchases |
auth | Account Kit |
safetynet | Safety Detect |
具体的には、現在HMS Coreは以下の40個以上のSDKを提供しています。
この中には、LocationやIn-App Purchasesなどの基本機能はもちろんありますが、特に気になるのはHuawei HiAI EngineやCamera KitなどのHuawei独自のSDKです。
Camera Kitを例として説明しますと、Huaweiのスマートフォンは非常にいいカメラ機能を有していますが、Camera Kitを使用することで、50倍ズームや非常に暗い環境でも鮮明に撮影できる機能などのスマートフォンのカメラ性能をフル活用できるようになります。
このように、一部のHMS CoreのSDKを使用することでHuaweiスマートフォンの素晴らしい端末性能をアプリ内で最大限に活用できるようになりますので、非常に魅力的だと思います。
また、今後は定期的にHMS CoreのSDKを紹介していく予定がありますので興味のある方はぜひご覧ください。
AppGallery Connectはfirebaseと同等なサービスを提供しています。
いくつかの代表的なfirebaseのサービスとの対応関係は以下のようになります。
firebaseのサービス | AppGallery Connectのサービス |
---|---|
Crashlytics | Crash |
Authentication | Auth Service |
In-App Messaging | App Messaging |
Remot Config | Remote Configuration |
Functions | Cloud Functions |
現在AppGallery ConnectはAutu Service, Cloud Functions, Cloud DB, Cloud Storage, Cloud Hosting,
App Signing, Dynamic Ability, Crash, APM, Cloud Testing, Cloud Debug, Open Testing,
A/B Testing, Remote Configuration, App Linking, App Messaging, Connect API, AppGalleryKit,
Paid Apps, Device ID Serviceの合計20個のサービスを提供し、必要なSDKは全部揃っている状況だと言えるかと思います。
#AppGalleryの紹介
最後にAppGalleryを簡単に紹介したいと思います。
AppGalleryは上述のように、Huaweiオリジナルアプリの1つであり、Huaweiユーザー用のアプリストアのことです。
まだ日本ではあまり広く知られていないかもしれませんが、実はAppGalleryはすでにGoogle PlayとApp Storeに継ぐ世界3番目にユーザー数が多いアプリストアになっているらしいです。
AppGalleryでは、通常のアプリ以外に、QuickAppというインストール不要で直接使えるアプリも提供しています。
(引用元:https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1256381.html)
日本のAppGalleryでは現在LINE、楽天、NAVITIME、メルカリなどの身近なアプリがすでにダウンロードできるようになっています。もちろん一部のアプリがまだ載っていませんが、今後の発展に期待できるでしょう。
#AppGallery用アプリを開発するには
既存のAndroidアプリは意外と簡単にAppGallery対応に改修できます。こちらの詳細についてはまた後日に紹介したいと思います。