0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

中古で買った Aruba Campus AP を、コンソール不要で Instant AP にする(AP-315)

0
Last updated at Posted at 2026-09-19

中古のエンタープライズ AP は安くて手を出しやすいのですが、届いた Aruba AP-315 を挿してみたら、LED が点滅し続けるだけで Web 画面すら出てきませんでした。

故障かと思いきや、これは壊れているのではなく、「コントローラを探し続けている Campus AP」という状態でした。コントローラの無い私の環境では、このままでは使えません。

この記事は、その Campus AP を Instant AP(コントローラ不要・Web UI 付き) に変換して使えるようにした記録です。

TL;DR

  • 中古で安く買える Aruba のエンタープライズ AP は、多くが Campus AP(CAP)モードのままです。コントローラが無いと延々リブートし、Web UI も無く、そのままでは使えません。
  • ArubaOS 8.6 以降の ap convert を使うと、Campus AP を Instant AP に変換できます。ライセンスも不要です。
  • しかも コンソールケーブル不要、全部ネットワーク経由です。この機種のコンソールは専用の TTL シリアルケーブル(Amazon で 5,000 円ほど)が要るので、それを買わずに済むのが大きな利点でした。
  • ただし古い 6.5.0.0 には「イメージ取得が 14 MiB 上限」という罠があり、一度 8.3 を経由してから 8.10 に上げる必要があります。

対象は AP-303 / 305 / 314 / 315 / 318 / 324 / 325 … などの 300 系 Campus AP です。


背景:Campus AP と Instant AP は「同じハードの別モード」

Aruba の AP には、ざっくり2つの動作モードがあります。

Campus AP (CAP) Instant AP (IAP)
コントローラ 必須 不要(AP 同士で仮想コントローラを構成)
起動時の挙動 コントローラを探し、無いとリブートを繰り返す 単体 or クラスタで自立起動
管理UI AP 単体には無い AP が Web UI を持つ(https://<VC>:4343)

私が買った中古はこの左側、Campus AP モードでした。挿してもコントローラを探し続けてリブートループになり、Web 画面が出ないのも当然です。

やりたいのは右側の Instant 化です。道具は ap convert というコマンドで、これは Mobility Controller(コントローラ)上で実行します。物理のコントローラは持っていないので、仮想版(VMC=Virtual Mobility Controller) を VM で建てて使いました。


ぶつかった「3つの壁」

やってみて詰まったのは、主に次の3点でした。先に共有しておきます。

壁1:そもそもコントローラ(VMC)が要る

ap convert は ArubaOS 8.6 以降の機能で、VMC 自体も 8.0 以降にしか存在しません(6.5.x の VMC は無い)。なので「6.5 のコントローラを仮想で建てて…」はできず、8.x の VMC を建てることになります。

壁2:6.5.0.0 の「14 MiB ファイルサイズ制限」

これが一番やっかいな罠でした。中古個体は 6.5.0.0。8.10 の CAP イメージを取得させようとすると File size exceeded 14680064 bytesで失敗し、リブートを繰り返します。古い 300 系 AP には 取得できるイメージが 14 MiB までという制限があるためです(フラッシュ側の制約)。

Aruba の告知 ARUBA-SA-20220922-PLVL02 に載っています。タイトルはAP-320 Seriesについてですが、同じ ipq806x 系の AP-315 でも同様に起こります(実際に踏みました)。

ipq806x.ari は、コントローラが AP に配る AP 用のファームウェアイメージ(拡張子 .ari が Aruba の AP イメージ形式)です。AP のハードウェア(SoC)ごとに分かれていて、ipq806x は AP-315 が積んでいる SoC の名前。なので 300 系はこのファイルを使います。

なお、これは AP を Campus AP として動かすためのファームで、手順3で焼く Instant イメージ(ArubaInstant_Hercules_...)とは別物です。手順1〜2ではこの .ari を、手順3では Instant イメージを配ります。

  • 8.10.x の ipq806x.ari(300系の CAP イメージ)は 約 15 MB(14 MiB をわずかに超える)→ DL 失敗 → リブートループ。
  • 8.3.0.16 の ipq806x.ari は 14 MiB 未満 → こちらは通ります。

つまり 6.5.0.0 はいきなり 8.10 に上げられません。まず 8.3 に上げてから 8.10 へという二段跳びが必要です。いったん 8.3(=8.x)に上がってしまえば、この制限には引っかからなくなり、以降は大きいイメージでも問題ありません。

# 8.10 をいきなり掴ませると、こうなってループする
AP: xx:xx:xx image version mismatch. bootfile is ipq806x.ari,
    build string is ArubaOS version 6.5.0.0 for 32x ...
...ncftpget ipq806x.ari: no space / File size exceeded 14680064 bytes

壁3:Instant イメージの「ファミリ」を間違えない

Instant のイメージは、プラットフォーム別に コードネーム(ファミリ) で分かれています。ここを間違えると、ap convert が No Image(該当機種のイメージ無し)でいつまでも待ち続けます。

ファミリ 主な対象機種
Hercules AP-303 / 305 / 314 / 315 / 318 / 324 / 325 / 334 / 335 / 344 / 345(300系・ipq806x)
Gemini AP-500系(505 / 515 / 518 …・Wi-Fi 6)
Draco / Cassiopeia / Ursa … 200系ほか

AP-315 は ArubaInstant_Hercules_<version> です。私はこれを最初 Ursa(別機種用)で掴んでしまい、「ap convert は動いているのに No Image で進まない」で数時間を溶かしました。ファミリは show ap convert-image-list のビルド文字列 for Hercules で確認できます。


実際にやった手順

0. 用意したもの

Aruba サポートポータル(要アカウント/エンタイトルメント)から:

  • ArubaOS_VMC_8.3.x_*.ova(壁2 用の中継コントローラ)
  • ArubaOS_VMC_8.10.x_*.ova(ap convert を実行するコントローラ)
  • ArubaInstant_Hercules_8.13.x(変換後に AP が動かす Instant 本体。機種のファミリに合わせる)

バージョンについて:この記事では、変換に使う VMC は 8.10、AP が最終的に動かす Instant は 8.13.x を使っています。ap convert は「flash に置いた Instant イメージ」をそのまま配るだけなので、VMC のバージョンと Instant のバージョンは別物で構いません(VMC は ap convert が使える 8.6 以上なら OK)。「6.5 → 8.3 → 8.10」は AP を変換できる状態まで持っていくための足場で、AP が実際に動く版は最後に焼く 8.13.x です。

0.5 VMC を Proxmox に建てる(8.3 / 8.10 共通)

今回 VMC は Proxmox VE に建てました。OVA を展開してディスクを取り込み、NIC を4本つけるだけです。8.3 と 8.10 で手順は同じなので、順番に建て替えて使います。

# 1) OVA を展開(.ovf と vmdk が出てくる)
tar xf ArubaOS_VMC_8.3.x_*.ova

# 2) VM の器を作成(VMID=900 の例)。VMC は 4 vCPU / 6GB / KVM 前提
qm create 900 --name aruba-vmc --memory 6144 --cores 4 --cpu host \
  --ostype l26 --serial0 socket --vga std

# 3) ディスク2本を取り込んで IDE で接続(VMC は IDE からブート)
qm importdisk 900 ArubaOS_VMC_*-disk1.vmdk local-lvm
qm importdisk 900 ArubaOS_VMC_*-disk2.vmdk local-lvm
qm set 900 --ide0 local-lvm:vm-900-disk-0 --ide1 local-lvm:vm-900-disk-1 \
  --boot order=ide0

# 4) NIC を4本つける。VMC は最低4アダプタ必要で、
#    1本目=mgmt、2本目以降=データ(GE0/0/0〜)。AP と同じブリッジに挿す
qm set 900 --net0 virtio,bridge=vmbr0 \
           --net1 virtio,bridge=vmbr0 \
           --net2 virtio,bridge=vmbr0 \
           --net3 virtio,bridge=vmbr0

# 5) 起動する(初期セットアップは Proxmox Web UI の「Console」で開く)
qm start 900

補足:

  • local-lvm や vmbr0 は環境に合わせて読み替えます。取り込んだディスクのボリューム名は qm config 900 で確認できます。
  • KVM 必須(--cpu host)。KVM が効かない(TCG)と VMC のデータプレーンが起動しません。
  • AP は「データポート側(GE0/0/0…)」のブリッジと同じ L2 に居れば OK。セットアップダイアログの Controller VLAN port [GE 0/0/0] がそのポートです。

1. VMC(8.3) を建てて 6.5 → 8.3

8.3 VMC を建て、初期セットアップダイアログを流します。主な入力は次のとおりです(standalone / 管理IP / Country JP3 あたり)。

Enter System name [ArubaMC-VA]: vmc
Enter Switch Role (standalone|md) [md]: standalone
Enter Controller VLAN ID [1]:
Enter Controller VLAN port [GE 0/0/0]:
Enter Controller VLAN port mode (access|trunk) [access]:
Enter VLAN interface IP address [172.16.0.254]: 192.168.10.250
Enter VLAN interface subnet mask [255.255.255.0]:
Enter IP Default gateway [none]: 192.168.10.1
Do you wish to configure IPV6 address on vlan (yes|no) [yes]: no
Enter Country code (ISO-3166), <ctrl-I> for supported list: JP3
You have chosen Country code JP3 for Japan (yes|no)?: yes
Enter the controller's IANA Time zone [America/Los_Angeles]: Asia/Tokyo
...
Enter Password for admin login (up to 32 chars): ********
Re-type Password for admin login: ********
...
Do you wish to accept the changes (yes|no): yes

起動したら、CPsec の自動証明書を有効化しておきます。これを忘れると CAP が承認されず弾かれます。

(host) # configure terminal
(host) (config) # control-plane-security
(host) (Control Plane Security Profile) # auto-cert-allow-all
(host) (Control Plane Security Profile) # auto-cert-prov
(host) (Control Plane Security Profile) # end
(host) # write memory

あとは AP を挿すだけです。自動でこの VMC を見つけ、8.3 の CAP イメージを取得してリブートし、8.3 になっていきます。

(host) # show ap database
Name               Group    AP Type  IP Address     Status     Flags  Switch IP
----               -----    -------  ----------     ------     -----  ---------
80:8d:b7:xx:xx:x1  default  315      192.168.10.11  Upgrading  IL     192.168.10.250
80:8d:b7:xx:xx:x2  default  315      192.168.10.12  Upgrading  IL     192.168.10.250
80:8d:b7:xx:xx:x3  default  315      192.168.10.13  Up 2m:30s  2IL    192.168.10.250
...
Total APs:N

Upgrading(取得中)→ 再起動 → Up と遷移します。全機が Up になれば 8.3 化完了です。

※ Flags の I=Inactive、L=Unlicensed。未ライセンスでも Up になるので、ここは気にしなくて大丈夫です(変換には影響しません)。

2. VMC(8.10) に載せ替えて 8.3 → 8.10

8.3 VMC を落として 8.10 VMC を起動します。AP は再びコントローラを見つけて 8.10 を取得し、8.10 になります(8.3 以降は 14 MiB 上限が無いので、大きいイメージでも通ります)。CPsec の自動証明書は 8.10 側でも同様に有効化しておきます。

ここで大事なのは 「ap convert が使えるコントローラ(8.6 以上)に載せ替える」 ことで、8.10 という特定バージョンに意味はありません(8.6+ なら何でも可)。8.3 の VMC には ap convert が無いので、変換用にもう1台必要、というだけです。AP がこの版の CAP に上がるのは自動で、最後の手順3で Instant に置き換わるので、この 8.10 CAP は通過点です。

ここでハマりました:VMC を “同じ IP / 同じ MAC” のまま載せ替えると、AP が「コントローラはまだ居る」と誤認して再登録しません。
私は最初 8.3 と 8.10 を同じ 192.168.10.250 で切り替えたのですが、AP が古いセッションを掴んだまま 10分以上まったく反応しませんでした(ISAKMP も張らない)。最終的には AP 自身のハートビート切れ再起動で復帰しましたが、待ち時間が無駄になります。
対策:8.10 VMC を 別 IP(例 192.168.10.251)にして AP に新しいコントローラとして見せるか、切替前に旧 VMC 側で AP を明示的にリブートしておきます。これで素直に乗り換わります。

全機が 8.10 で Up になれば準備完了です。この時点でも AP は未ライセンスで Up ↔ Down を繰り返しますが、変換には支障ありません。

3. ap convert で Instant 化

8.10 VMC の flash に Hercules の Instant イメージを置きます(copy tftp: / copy scp: / copy usb: など)。

(host) # copy scp: <host> <user> ArubaInstant_Hercules_8.13.x flash: ArubaInstant_Hercules_8.13.x
(host) # show ap convert-image-list          # "for Hercules" が出ればOK

対象 AP を登録して変換を起動します。no-pre-validation がキモです。

(host) # ap convert add ap-name <AP-MAC>        # 変換したい AP を列挙(or all-aps)
(host) # ap convert active specific-aps local-flash ArubaInstant_Hercules_8.13.x no-pre-validation
  • no-pre-validation:本来は変換前に Activate/Central への到達性を検証しますが、オフライン環境ではここで落ちる(pre-validation fail)ので外します。
  • ライセンス不要:AP が未ライセンス(Unlicensed / Inactive)でも、no-pre-validation ならイメージ配布=変換は通ります。ap convert 自体は Base OS 機能です。
  • 一括変換:all-aps で登録済みの AP をまとめて変換できます。台数が多いほど楽です。私も複数台まとめて流しました。

変換中と完了時の show ap convert-status は次のように見えます(ここがクライマックスです)。

変換中:

(host) # show ap convert-status
AP Conversion Parameters
------------------------
Item                             Value
----                             -----
Status                           Active
Mode                             Specific APs
Image Source                     Flash
Current Status                   Updating APs          ← 変換中

AP Image Conversion AP Status Summary
-------------------------------------
AP Image Conversion State  Count
-------------------------  -----
Updating                   N

AP Image Conversion Status
--------------------------
AP Name            AP Mac             AP Serial #  AP IP          AP Type  Upgrade State
-------            ------             -----------  -----          -------  -------------
80:8d:b7:xx:xx:x1  80:8d:b7:xx:xx:x1  CNXXXXXXX1   192.168.10.11  315      Updating
80:8d:b7:xx:xx:x2  80:8d:b7:xx:xx:x2  CNXXXXXXX2   192.168.10.12  315      Updating
...

完了時: Current Status が Update Done になり、各 AP は Instant として再起動して一覧から消えます。

(host) # show ap convert-status
...
Current Status                   Update Done           ← 完了

AP Image Conversion AP Status Summary
-------------------------------------
AP Image Conversion State  Count
-------------------------  -----
Updated                    N

4. Instant として立ち上がる

変換後の AP はもう Instant AP です。同一ネットワークに居る同士は自動で 仮想コントローラ(VC)クラスタを組みます。全機が同じ VC に redirect されていれば、同じクラスタに入っています。

$ curl -s -o /dev/null -w "%{redirect_url}\n" http://<AP-IP>/
https://<VC-IP>:4343/

管理は https://<VC-IP>:4343(初回ログインは admin/admin など、機種既定に従う)。以降は Web UI から SSID や設定を投入できます。目的だった「Web UI 付きの AP」が手に入りました。

結果

中古で買った AP-315(すべて 6.5.0.0) を、無事に Instant(Hercules 8.13.x) へ変換できました。全台が同じ仮想コントローラに join し、1つの Web UI(https://<VC-IP>:4343)からまとめて管理できる状態になりました。


まとめ

  • 中古で拾った Campus AP-315 は、VMC + ap convert で Instant 化して再利用できます。コンソールも恒久ライセンスも不要、ネットワーク経由で一括です。
  • 6.5.0.0 は 14 MiB 上限があるので 8.3 を一度挟みます。Instant イメージは 機種のファミリ(315→Hercules) を間違えないように。
  • VMC を差し替えるときは 別 IP にしておくと、旧セッションを掴んだまま沈黙する事故を避けられます。
  • 変換後は自動でクラスタを組み、Web UI 付きの AP になります。今回は中古の AP-315 を全台この手順で Instant 化できました。

動かないと思って眠っていた中古 AP も、Instant 化すれば十分に戦力になります。捨てる前に、一度試してみてください。


参考

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?