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Grok Bot は、チャットアプリではなく「エージェントを置くアプリ」だった

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Grok Bot のアプリアイコン

「Grok Bot」の早期アクセスプログラムに参加して、一般公開前から触ってきました。初期はコードネーム「Sand」と呼ばれていて、リリース時の製品名が「Grok Bot」になりました。ネット上の情報はまだないでしょうから、実際に触って分かったことをシリーズで書いていきます。

個別機能の前に、いちばん最初に書いておきたいのはこれです。
「チャットアプリの一種」なのか、「エージェントを置くためのアプリ」なのか。使ってみると後者の方がしっくりきます。


ひとことで言うと

Grok Bot は、AIと会話するだけの画面ではなく、役割を持ったエージェントを並べておいて、作業を任せたり、部屋で議論させたりするデスクトップアプリです。

03-expert-agents-talk-room.png

見た目はほとんどメッセージアプリです。ただ、左のサイドバーに並んでいるのは人間ではなく、自分で作ったエージェントたち。

見た目だけなら、ChatGPT のチャット欄というより Slack や iMessage に近いです。
でも中身は、「一人の万能アシスタントに全部聞く」前提より、「何人か置いて使い分ける」前提に寄っています。

  • エージェントごとに名前と役割がある
  • それぞれにチャットがある
  • 複数のエージェントを同じ会話に入れて、同じ話題を別の目で見てもらえる(この記事では便宜上トークルームと呼ぶ)
  • エージェント側に、作業用のコンピュータがある
  • 必要なら、自分のPCや GitHub 上の作業にも手が届く

会話が入り口で、その先に作業場がある、という感じです。


何が「エージェント」なのか

ここで言うエージェントは、単発のプロンプト回答というより、残しておく相手に近いです。

たとえば私は、こんな置き方をしています。

  • 日常の質問役
  • 日英の翻訳役
  • 物理学者/数学者/哲学者のような専門家役
  • inbox や調査みたいな用途特化

名前を付けて、Description(説明)で「どういう口調・視点で返すか」を書いておくと、そのエージェントの輪郭が決まります。
見た目のアイコンだけではなく、人格と担当範囲を持たせられるのがポイントです。

一度作ったエージェントはサイドバーに残るので、その都度「あなたは大学の物理学教授です」と前置きしなくても済みます。
必要なときに呼ぶ。必要なときに部屋へ入れる。そういう使い方です。


複数のエージェントを同じ場に入れると何が変わるか

1対1のチャットだけでも使えます。
おもしろくなるのは、複数のエージェントを同じ会話に入れたときです。

ここで言う「トークルーム」は、画面上の正式名称ではありません。私が便宜上付けた呼び方です。
UI上は To: Search or create agents からエージェントを選んだり、Tab で足したりして、複数人宛ての会話を開きます。サイドバーでは「物理学者, 数学者, 哲学者」のように名前が並んで見えます。

00-agent-picker.png

画面上の用語は agents。複数人を同じ会話に入れる使い方を、この記事ではトークルームと呼んでいます。

同じ話題を投げても、役割が違えば切り口が分かれます。
私は「精神の実在」を物理学者・数学者・哲学者に聞いてみましたが、並列で三回答えが来る、というより、部屋の中で論点が噛み合い始めました。

一人に全部まとめさせるより、論点の分かれ方自体が読みものになることがあります。
正解を一つに決める作業より、考えるための装置、に向いています。


エージェントは「自分のコンピュータ」を持っている

Grok Bot を他のチャットと分けて理解するうえで、いちばん大事なのがここかもしれません。

エージェントには、作業用のコンピュータがあります。
ブラウザを開く、ログインが必要なサイトを見る、画面を見ながら操作する、ファイルを作る、といったことは、基本的にそちら側で進みます。

agent-computer-screen.png

エージェントのコンピュータを開いたところ。エージェントが Chrome でフライトを検索しています。自分のMacのデスクトップではなく、エージェント側の画面です。

これは、自分のMacの画面を直接いじる Computer Use とは少し違います。
Grok Bot の Computer Use が動かすのは、エージェント専用のコンピュータです。日常使いのデスクトップそのものではありません。

補足すると、「エージェントのコンピュータで全部を画面クリックしている」わけでもありません。Webの作業はページ操作として進むことが多く、GUIアプリやドラッグ操作など、デスクトップ操作が要るときだけ画面クリック側に寄ります。どちらも場所はエージェント側のコンピュータです。

だから、

  1. エージェントのコンピュータでまず進める
  2. 自分のPCは、手元のファイルやローカルアプリが必要なときだけ(許可つきで)触る
  3. クラウドのコーディングエージェントは、リポジトリやPRみたいな実装作業向け

という分け方になります。全部を自分のMacに乗せない、というのが設計の感触です。

クラウド側でエージェントコンピュータが動いているなら、ノートを閉じても作業を続けやすい、という話もあります。
ただしローカル Docker 運用のときは、その限りではありません。ここは別記事で少し丁寧に書きます。


向いている使い方

向いているのは、次のような仕事です。

  • ログイン後の管理画面やポータルをまたぐ作業
  • inbox の確認、下書き、仕分け
  • APIやコネクタだけでは届きにくいWeb操作
  • 専門家視点を分けて考えたい議論
  • 「毎回手でやるほどではないが、放置もしたくない」雑務

逆に、コマンド一つで終わる単純作業に、専門家を三人並べる必要はありません。
Grok Bot は万能ハンマーというより、置き方を設計できる作業場に近いです。

真面目な自動化だけじゃなく、変な使い方を試すのもありだと思います。道具の幅が見えやすくなるので。


ChatGPT や普通のコーディングチャットとの違い

ざっくり比べると、こうです。

よくあるチャットUI Grok Bot
基本単位 いまの会話 残しておくエージェント
役割分担 プロンプトでその都度指定しがち エージェントとして先に置ける
複数視点 同じ相手に何度も聞く 複数エージェントを同じ会話に並べられる
作業場所 会話が中心 エージェント側コンピュータがある
手元のPC 製品による 必要時だけ、許可つきで触れる

「賢い回答を一つもらう」より、「誰に何を任せるかを先に決めておく」使い方と相性がいいです。


このあと書くこと

この記事は入口です。続きは、実際に触って分かったところを分けて書きます。

  1. Computer Use が、自分のMacを触る方式とどう違うか
  2. Realtime Translator を証明書付きで公開するときに助けられた話
  3. 専門家エージェントを同じ会話(トークルーム)で喋らせてみた話
  4. エージェント個別設定と、アプリ全体設定

まずは「Grok Bot は、エージェントを置くアプリケーションだ」と捉えてもらえると、あとの話がつながります。
チャット欄に見えるのは入り口で、その奥に机と部屋がある、くらいのイメージです。


この記事は早期アクセス時の評価に基づいたものです。正式版で変更になっている点もあるでしょうし、技術情報やヘルプもない状態だったので、正しい使い方であったのかも不明です。その前提でお読みください。

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