筆者は、Windows上での仮想マシンにはVirtual BoxかHyper-Vしか使ったことがありませんでした。QEMUという単語自体は聞いたことがありましたが、コマンドで操作するのがVirtual Boxなどに比べて大変そうだと思い使っていませんでした。
しかし最近、新しいWindowsマシンに仮想マシンをセットアップするときにQEMUを使ってみたくなったので、どんなことをしたのか書きます。今回はQEMUで作った仮想マシンにDebianをインストールすることを目標にします。
環境
- Windows 11 Pro
- QEMU
- Debian 12.11.0
まずはインストールしよう
はじめに、QEMUをインストールする方法(Ver.9.0.x)に従い、https://qemu.weilnetz.de/w64/ からダウンロードします。
現時点で最新の物を選んでみました。インストーラはWindowsでよくあるタイプなので特に難しい点はありませんでした。
また、自動でパスが通されなかったので、設定しました。筆者の場合、C:\Program Files\qemu
にインストールされました。設定方法はWindows 10 環境変数を設定する方法を参考にしてください。
Debianをダウンロードしよう
Debianのインストール・メディアをダウンロードします。実機にインストールするときにも、この方法を使うと無難です。
まず、https://www.debian.org/distrib/ へアクセスします。図のリンクをクリックし、待ちます。
このリンクは、x64マシン向けのインストール・ディスク・イメージをダウンロードするのに使います。1
ダウンロードできました。
仮想HDDを作ろう
何回も失敗してこのパラメータになりました。
QEMUの使い方はhttps://wiki.debian.org/QEMU を参考にします。この記事はDebian上で実行するときのチュートリアルですが、流用できそうです。
また、3.4. 必要な最低限のハードウェアによると、デスクトップ環境を使いたい場合、
- RAMは1~2GB
- HDDは10GB
程度が推奨されているようです(これを知らなかったことで、人生初のディスク・フル・エラーを見ました)。
まず、仮想ハード・ディスク・ドライブを作ります。ここで、チュートリアルは次の方法を示しました(チュートリアルは2GBを指定していました、きっとデスクトップを使わないのでしょう)。
qemu-img create debian.img 2G
悲しいことに、Virtual Boxの「可変サイズ」機能のように少しずつファイル・サイズが大きくなると思っていましたが、すぐに2GBを消費されました。2
そこで、QCOW2という別のフォーマットを使えます。
qemu-img create -f qcow2 debian.qcow 10G
他のソフトからも読み書きする場合は.img
などにするべきかもしれませんが、ディスクを重くするのは嫌なのでQCOW2を使うことにします。
Debianを起動しよう
いよいよ、QEMUの仮想マシンでDebianのインストール・ウィザードを起動します!
qemu-system-x86_64 -hda debian.qcow -cdrom debian-12.11.0-amd64-netinst.iso -boot d -m 1024
グラフィカルな画面になって嬉しいです。
しかし、正直少し操作がしにくいです。自分のマウスと仮想マシンのマウス・ポインタがズレている、という感覚です。そんなときは次の方法を試してください。
まず、マウス・ポインタが表示されたら、好きなタイミングでCtrl + Alt + G
を押します。するとWindowsのマウス・ポインタが戻るので、Debian上のポインタと同じ場所でクリックすると、ポインタの「ズレ」がなくなります。
図のようなポインタをクリックすると、またDebianで作業できます。
また、仮想マシンのスペックは設定次第ですがそこそこなので、デスクトップ環境を使わないか、軽いものにしましょう。
随分と待って、ようやくインストールが終了しました。QEMUを終了して、次に通常起動をします。次のコマンドで出来ます。
qemu-system-x86_64 -hda debian.qcow -boot d -m 1024
ついに目標達成です!
使ってみた感想
起動オプションが悪かったのかもしれませんが、正直これならHyper-VやVirtual Boxのほうが使いやすいと感じました。デスクトップ環境も重たいです。なので、これから使うとしたら、
- もっとオプションを調べて快適にする
- 実機のようなWSLとして、デスクトップ環境を無効にして使う
あたりかな、と感じました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!