はじめに
「デジタルデトックス」という言葉、最近よく聞きますよね。
IT業界にいると、切っても切り離せない言葉な気がします。
スマホやパソコンから意識的に離れる時間を作ろう、という取り組みのことであるのは、みなさんご存じなのではと思います。それがよいとされる風潮があることも、皆さん知っての通りです。
でも、実践したことがある人はどれだけいるでしょうか(私のように毎度スマホを忘れて強制デジタルデトックスしている場合を除く)
今回、沢渡あまねさんの著書『スマホに振り回されない デジタル解毒(デトックス)のすすめ』(青春出版社)を読みました。薄い本且つ、難しいことが書いてあるわけではなく旅行記のような内容も多いので、流し読みであれば30分~1時間程度で読めるライトな内容です。
そもそもデジタルデトックスって何?
デジタルデトックス(Digital Detox) とは、スマホ・パソコン・SNSなどのデジタル機器と意識的に距離を取ることで、心身の疲れやストレスを軽減しようという取り組みです。
「デトックス(detox)」は英語で「解毒」を意味する言葉。直訳すると「デジタル解毒」ですね。
略して 「デジデト」 とも呼ばれています。
デジタルデトックス = デジタル機器から「少し離れる習慣」を取り入れること
ITエンジニアこそ考えるべき
「デジタルデトックスって、スマホ依存の人向けの話じゃないの?」と思う方もいるかもしれません。
でも、この本を読んでいて気づいたのは、ITエンジニアこそ当事者だということです。
- 仕事でもプライベートでも画面を見続けている
- Slackやメールが気になって通知を常にチェックしている
- 休日でもなんとなくスマホを触っている
- 「ちょっと調べるだけ」がいつの間にか1時間経っている
思い当たる節、ありませんか?
私も人生でスマホを手にしてから、24時間で一度も画面を見なかった日なんてなかったかも……(トイレに置き忘れて紛失した苦い記憶は何度もありますが)
私たちは多分、意図的にでもやらない限り、スマホに触らないというのは不可能なのではと思います。
GoogleやFacebookといった名だたるIT企業がマインドフルネス(瞑想・禅的な発想)を社内に取り入れていることは有名ですよね。
逆説的ですが、デジタルで人を疲弊させている当のIT企業が、「オフラインの時間」の重要性を認識しているわけです。面白いなぁ~と思います。
デジタルデトックスの効果
本書で紹介されている主な効果として、休暇明けの仕事が加速する、と紹介されています。
頭と心を空っぽにすることで、集中力が増してオフ明けのパフォーマンスが上がるイメージですかね。
本の中では『空にすることで内省とメタ認知が生まれる』=『雑念が取り払われると、新たな発想や感情が湧き出てくる』という形で触れています。
ちなみに「バケーション(vacation)」という言葉は、「空にする」という意味のラテン語が語源なんだそうで。つまり休暇とは、頭と心を文字通り空っぽにするものだってことなんですね。
スマホに触れず、ただ心身を穏やかにして過ごす。なんだか、考えただけでゆっくりできそうです。
常に情報を入れておかなきゃ、とどこかで思うがゆえにスマホを手放せないと思うんですが、結局大した情報なんて頭に入ってないことがほとんどな気がしますので、思い切って手放すのは非常に有効な気がします。
実践できそうな取り組み
自分流のデジタルデトックスキャンプ
週末のうち半日だけスマホをオフにする、など小さなことから始めるのがポイントかなと思います。本書の著者の方も、少しのことから始めてみるように言っています。
完全にやめる必要はなく、「少し離れる」だけでも十分な効果が見込める。まずは一日5分、何も見ない・何も考えない時間を作るところから始めてみるのがよいかもしれません。
IT関係に携わる者として読んで思ったこと
この本を読んで、改めて気づいたことがあります。
ITエンジニアは、誰よりもデジタルに精通しているからこそ、「デジタルを使いこなせている」という錯覚に陥りやすいのではないかということです。
ツールを使いこなしているのか、ツールに使われているのか。
仕事でSlackもメールも当たり前に使っていると、「常にオンライン=普通」になってしまいがちです。でもそれが積み重なると、知らないうちに「つながり疲れ」が蓄積していきます。
高度なAIの登場で、仕事のデジタル化はさらに加速しています。だからこそ、意識的にオフラインの時間を作る習慣が、これからより重要になってくると感じました。
本書184頁でも「AIが盛んな時代だからこそ、あらゆるビジネスパーソンが多様な体験をして、心を揺らして感性を豊かにする」という一文があります。
AIに仕事を奪われる、AIに支配される、という文脈で語られることの多い時代です。でもこの言葉は逆の視点を提示しています。だからこそ人間は、体験を重ね、感性を磨く必要があるということ。
余白をなくした人間が、AIに勝てるわけがない。そう思いました。
最後に
あまり本書の内容には触れすぎない程度に、自分の考えなどを述べてみました。
ITエンジニアは特に「デジタルから離れる時間」を意識的に作ることが大切だと感じました。そういえばこの間本屋の文具コーナーで、スマホを強制的に使わなくするスマホロックケース的なものが売っていましたね。あらゆるところにデジタルから距離を置くという考え方は波及している気がします。その一方で、スマホなしではもはや生活できない、むしろスマホ一台あればだいたい困らないというような状態(スマホ決済の広まりなど)もあり、バランスをとるのは難しいです。公衆電話もどんどんなくなってきてるし、みんなスマホを持つのが当たり前なんですよね。レストランでもQRを読み込んでメニューを見るとか注文するとかも増えてますしね……。
最近、読書が改めて見直されている気がします。本書でも読書についてかなり触れているイメージでした。デジデトの手段としては、紙媒体の本はぴったりですよね。電子書籍も便利だけど、やはり紙でしか得られない栄養がある、と私は思います(紙の質感などに興奮する私のような文具オタクの変態でなくとも、紙ならではの良さを理解いただける人種は一定数いると信じております)
向き合い方はそれぞれですが、自分の心の休息という意味で、少し電子機器から離れてみるのはありかもしれません。
参考書籍:『スマホに振り回されない デジタル解毒(デトックス)のすすめ』沢渡あまね 著(青春出版社)