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第二の脳としての Claude Code ― Cursor × Markdown × Obsidian で「絶対にコンテキストを失わない」創造の土台をつくる

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はじめに

「いいアイデアを思いついたのに、次の日には半分忘れていた」。
「ChatGPT に毎回前提を説明し直していて、本題に入る前に疲れる」。
「企画書を書こうとして、PowerPoint を立ち上げては閉じてしまう」。

もしひとつでも心当たりがあるなら、この記事はきっと役に立ちます。

これは、エンジニアの作業環境を借りて「第二の脳」をつくる話です。具体的には、コードエディタ Cursor の中で AI コーディングアシスタント Claude Code を起動し、Markdown という素朴なテキストで思考をためていく仕組みを紹介します。途中で Obsidian、Git、Figma MCP も登場しますが、難しい話はしません。

この記事を貫くテーマは、たった二つです。

  • 絶対にコンテキストを失わない:思考も、前提も、過去の判断も、全部ファイルに残す
  • アイデアが形になるまで速い:思いついた瞬間から、企画書・図・画面案まで一気通貫

エンジニアでも、非エンジニアでも、事業をつくりたい人でも、ものをつくりたい人でも、同じ仕組みが使えます。


1. なぜ私たちはアイデアを忘れるのか

人間の脳は、驚くほど揮発性です。シャワー中に閃いた事業アイデア、通勤電車で感じた違和感、寝る前にメモしようと思った言葉。書き留めなければ、ほぼ確実に消えます。これは意志の弱さではなく、脳の仕様です。

そして AI 時代になっても、この問題は本質的には解決していません。むしろ悪化している面さえあります。ChatGPT や Claude に相談するたび、私たちは「自分は何者で、何をやろうとしていて、これまでにどんな結論を出してきたか」を、毎回ゼロから説明し直しています。賢いはずの AI が、毎朝記憶喪失で出社する新人のように振る舞ってしまうのです。

考えてみれば、これは奇妙な状態です。資料は手元にあり、過去の議事録もあり、頭の中にも経緯はある。それなのに、AI とのやり取りはいつも「初めまして」から始まる。私たちは「優秀だが、文脈を持たない相棒」と、毎日初対面で会議しているわけです。

もうひとつ、見逃せない問題があります。アイデアから形になるまでが、遅すぎるということです。アイデアが浮かぶ → メモする → 整理する → 企画書を書く → 図にする → 誰かに見せる、という流れには、毎回まったく違うツールを行き来する必要があります。Apple Notes、Notion、PowerPoint、Figma、Google Docs。ツールを切り替えるたびに思考は途切れ、勢いは失われ、最初の熱は冷めていきます。

ここで必要なのは、「忘れない仕組み」と「速い仕組み」の二つを、同じ場所で実現することです。それが、これから話す「第二の脳」という発想に繋がります。


2. 「第二の脳」という発想

「Building a Second Brain」という考え方を提唱した Tiago Forte は、デジタル空間に思考の倉庫をつくることを勧めました。AI が登場する前から、すでに「外部化された記憶装置」の重要性は語られていたわけです。

ここに AI が加わると、第二の脳は単なる倉庫ではなくなります。読んでくれる相棒 がいる倉庫になるのです。

第二の脳が満たすべき条件を、私はこう整理しています。

  • いつでも書ける:思いついた瞬間に、形式を気にせず投げ込める
  • いつでも読める:自分が後から、検索や一覧で取り出せる
  • 他者が読める:人にも AI にも、同じ形式で渡せる

この三つを同時に満たすのが、地味ですが Markdown という形式です。そして Markdown を中心に据えると、エンジニアの世界で何十年もかけて磨かれてきたツール群が、そのまま「思考のための装備」として転用できることに気づきます。Cursor、Claude Code、Obsidian、Git、Figma MCP。順に見ていきましょう。


3. 絶対にコンテキストを失わない、という設計思想

この記事の核心はここです。「便利」ではなく、「絶対にコンテキストを失わない」という強い言葉を、私はあえて選んでいます。

なぜそこまで言い切るのか。理由は、これから紹介する仕組みが、コンテキストの揮発を起こしうる箇所をひとつずつ塞いでいくからです。

通常、コンテキストは次のような場面で揮発します。

  1. アプリの中だけに閉じている:Notion、Apple Notes、ChatGPT の会話履歴。サービスが終われば消える
  2. 会話の中だけに存在する:チャットの数百行スクロールの中。検索しても見つからない
  3. ツールを切り替えた瞬間に失われる:メモから企画書へ、企画書から図へ、移すたびに削ぎ落とされる
  4. 時間が経つと自分でも読めなくなる:3 ヶ月後に開いたときに、自分が書いた前提を思い出せない

Markdown × Cursor × Claude Code × Git の組み合わせは、この四つを次のように塞ぎます。

  • ファイルは手元にある:プレーンテキストなので、どのアプリが潰れても残る
  • 会話より先にファイルがある:チャットではなく、Markdown を編集することが本体
  • 同じ Markdown を全ツールが共有する:Cursor、Obsidian、Figma MCP、Git、すべて同じファイルを覗く
  • Git が時間を残す:3 ヶ月後の自分も、「いつ何を考えたか」を遡れる

つまりこの構成は、コンテキストの容器 をテキストファイルに固定し、その容器の周りに AI やビューアを並べる発想です。容器は揺らがないので、コンテキストも揺らがない。これが「絶対に失わない」の意味です。


4. Cursor の中で Claude Code をターミナル起動する

ここから具体的なツールの話に入ります。

Cursor は、見た目こそコードエディタですが、本質は「AI と一緒にテキストを編集する作業机」です。コードでも文章でも、ファイルを開いて、AI と相談しながら書き換えていける環境です。

その Cursor の中でターミナルを開き、claude というコマンドを打つと、Claude Code という対話型のアシスタントが立ち上がります。画面の下部に窓が現れて、そこに話しかけるイメージです。

ここで起きていることをフローにすると、こうなります。

左にあるのはあなた、右にあるのは Claude Code、真ん中にあるのは Markdown ファイル。会話はチャット欄ではなく、ファイルを巡って起きます。「この企画書の 3 章を、もう少し物語っぽくしてくれる?」と話しかければ、Claude はそのファイルを読み、書き換え案を差分で提示します。あなたは差分を見て、採用するかしないかをクリックで決めるだけです。

これは、よくある「チャット欄に長文を貼り付けて、出力をコピペで戻す」やり方とは決定的に違います。資料を机に広げたまま、賢い秘書と相談している状態。コンテキストは机の上にファイルとして存在し続け、会話のたびに失われたりしません。

ターミナルと聞くと「黒い画面で呪文を打つ怖い場所」と感じるかもしれませんが、ここで使うのは claude のひと言だけ。あとは日本語で話せば通じます。「企画書のドラフトを書いて」「もう少し短く」「数字を加えて」――どれもそのまま伝わります。

そして、ここで重要なのが速度です。アイデアを idea.md に 3 行書く → Claude に「肉付けして」と頼む → 1 分で初稿が出る → 差分を見ながら整える。思いついてから初稿まで、5 分。これが、思考の勢いを殺さない速さです。


5. Markdown という共通言語、そして Obsidian という第二の顔

Markdown は、見出しを # で、箇条書きを - で書くだけの、ごく素朴なテキスト形式です。HTML や Word と違って、ファイルを開けば中身がそのまま読めます。これがこの仕組みの土台です。

なぜ Markdown が「第二の脳」の中心言語にふさわしいのか。理由は三つあります。

  1. 人間が読める:エディタを選ばない。メモ帳でも開ける
  2. AI が読みやすい:構造化されているので、AI が見出し単位で扱える
  3. ロックインされない:特定の会社が潰れても、ファイルは残る

そして Markdown を扱う上で、Cursor と並んで強力なのが Obsidian です。Obsidian は Markdown ファイルをそのまま読み込み、ノート間のリンクを辿れる、グラフで俯瞰できる、タグで横断できる――いわば「思考のための Markdown ビューア」です。

ここで面白いのは、同じファイルを Cursor と Obsidian の両方で開ける ことです。

  • Cursor 側のあなた:エンジニア顔。差分を見て、AI と相談し、ファイル構造をいじる
  • Obsidian 側のあなた:思考整理顔。リンクを辿り、グラフで俯瞰し、過去の自分と対話する

同じ Markdown ファイルが、ツールを切り替えるだけで二つの顔を見せてくれる。これがプレーンテキストの底力です。Word ファイルではこうはいきません。専用形式は専用アプリでしか開けず、そのアプリの世代交代に縛られます。

非エンジニアの方が最初に驚くのは、Obsidian の「グラフビュー」かもしれません。書き溜めたノートが、リンクで繋がりあって星座のように表示されます。これは「自分の思考の地図」が可視化された瞬間で、見ているだけで次のアイデアが湧きます。

ここで再び「コンテキストを失わない」の話に戻ります。あなたが Cursor で書いた cafe-idea.md は、その瞬間から Obsidian でも見えます。スマートフォンの Obsidian アプリでも、出先で見返せます。同じファイル、複数の窓。これがプレーンテキストの自由さです。


6. Git でやる「思考の世代管理」

ここで、ほんの少しだけ Git の話をします。難しくないので安心してください。

Git は本来、ソースコードの履歴を管理するツールですが、Markdown ファイルにも同じように使えます。やっていることを翻訳すると、こうなります。

  • commit:「ここで考えがいったんまとまった」というしおりを挟む
  • branch:「別の方向性も試してみたい」と分岐させる
  • log:「自分は今までどう考えてきたか」を一覧で振り返る

つまり Git は、思考の 世代管理 ツールでもあるのです。図にすると、こんな動き方をします。

企画書を書いていて「A案とB案、どっちにしよう」と迷ったとき、ブランチを切ってA案を書き、別ブランチでB案を書き、最後に良かった方を採用する、という運用ができます。アイデアの分岐と統合を、頭の中ではなくファイルシステム上で行えるわけです。

「コマンドを覚えるのは無理」という方、心配いりません。Cursor には Source Control タブという GUI があり、ボタンクリックだけで commit や branch ができます。ファイル構造はそのままフォルダで見える ので、「企画書/2026春/v1.md」のように、自分が分かるように整理するだけでも、十分に第二の脳として機能します。

「ファイル構造が見える」というのは、非エンジニアにとって実は大きな利点です。クラウドのメモ帳サービスは、中身が「どこに」あるのかが分かりません。一方こちらは、自分のパソコンの中に、フォルダの形で、思考の地層がそのまま残ります。何年か後に見返したとき、地層は確実にそこにあります。

そして、Git があると コンテキストは時間軸にまで広がります。「3 ヶ月前の自分が、なぜこの判断をしたのか」を、コミットメッセージと差分から再構成できる。AI に「3 ヶ月前のこの commit を読んで、当時の文脈で批評してくれる?」と頼むことだってできます。


7. Figma MCP で「資料化」まで一気通貫

ここまでで、テキストとしての第二の脳はできました。最後に、これを 見せられる形 にするところまで繋ぎます。

登場するのが Figma MCP です。MCP は Model Context Protocol の略で、ざっくり言えば「AI と外部ツールが共通の言葉でやり取りするための規格」です。Claude Code に Figma MCP を繋ぐと、Claude が直接 Figma ファイルを読んだり、図を生成したり、デザインシステムに沿った画面案を作ったりできるようになります。

全体のパイプラインを描くと、こうなります。

具体的にできることの一例を挙げます。

  • Markdown で書いた構造図のアイデアを、Figma 上のダイアグラムとして自動生成する
  • 既存のデザインシステム(色、フォント、コンポーネント)を Claude に参照させ、それに沿った画面案を作る
  • コードのコンポーネントと Figma のコンポーネントを対応づけ、デザインと実装の食い違いを減らす

たとえば「カフェの新サービス、3 つのペルソナを並べた A4 一枚の企画書を作りたい」と Claude にお願いすれば、Markdown のアウトラインから Figma のレイアウト生成までを、対話の中で繋いでくれます。デザイナーが横についていなくても、最初の叩き台は自分で作れる。これは事業立案者にとって、地味ですが革命的なことです。

注意点を一つだけ。Figma MCP には、図の自動生成や Figma 上での編集といった専用ツールがあり、それぞれを使う前には対応する Skill(手順書のようなもの)を先に読み込ませる運用がベストです。「Figma の Skill を先にロードしてから動いて」と一言添えるだけで、失敗率がぐっと下がります。

完璧な資料を一発で出させようとしないこと、Markdown 側で骨格を作ってから Figma に渡すこと。この二つを守れば、Figma MCP はとても素直に働いてくれます。


8. アイデアが形になるまでの速度

ここで、もうひとつのテーマである「速さ」をきちんと正面から扱います。

従来、アイデアが「人に見せられる形」になるまでには、おおよそこんな手順がありました。

  1. メモアプリにアイデアを書く(5 分)
  2. 翌日それを Word か Notion に転記する(30 分)
  3. 構成を考え直す(1 時間)
  4. PowerPoint に骨格を写す(1 時間)
  5. デザインを整える(2 時間)
  6. レビューしてもらう(半日〜数日)

合計、半日から数日。途中で熱が冷めて、手が止まることも多いはずです。

第二の脳の構成では、これがこう変わります。

段階 従来 第二の脳
思いつき メモアプリ idea.md に書く
構成 別ツールへ転記 同じファイルを Claude と推敲
文章化 Word / Notion draft.md を Claude と書く
PowerPoint で手作業 Mermaid を Claude に書かせる
画面案 デザイナー依頼 Figma MCP で叩き台生成
レビュー 共有 → 待つ Git に push → 同じ Markdown を読んでもらう

ポイントは、ツールを切り替えないことです。アイデアから企画書、図、画面案までが、同じ Markdown ファイル群の周辺で完結します。切り替えがないので、勢いも、文脈も、削がれません。

私の体感では、「思いついてから人に見せられるレベルの叩き台まで」が、半日仕事から 30 分仕事に変わりました。これは効率の改善というより、やってみる前のハードルが下がることの方が大きい変化です。「ちょっと試してみるか」のコストが下がると、試行回数は劇的に増えます。試行回数が増えれば、当たりに辿り着く確率も上がる。クリエイティブの本質は、ここにあります。

そして大事なのは、この速さが「雑になる速さ」ではないことです。Markdown と Git が支えているので、過去の試行はすべて残り、後から戻って磨き直せます。速くて、しかも失わない。これが、この仕組みの面白さです。


9. 非エンジニアが今日始める一歩

ここまで読んで、「面白そうだけど、自分にできるだろうか」と感じた方へ。最初の一歩は、驚くほど簡単です。

  1. Cursor をインストールするcursor.com からダウンロード。30 秒で済みます
  2. フォルダを 1 つ作る:たとえば ~/Documents/MyBrain のような名前で
  3. idea.md というファイルを作って、何でも書く:今日の違和感、来週の予定、温めている事業案

これだけで、第二の脳のプロジェクトはもう始まっています。あとは Cursor 内のターミナルから claude と打って、ファイルを開いた状態で話しかける。気が向いたら Obsidian で同じフォルダを開いてみる。さらに余裕が出てきたら Git で履歴を残してみる。Figma MCP は、最後の楽しみとして取っておけば十分です。

完璧な環境構築は不要です。最初の idea.md の 3 行から、すべてが始まります。


おわりに

AI は急速に賢くなりました。しかし、AI を本当に活かせるかどうかは、私たち側の コンテキストの持ち方 で決まります。揮発する頭の中だけで戦うのか、Markdown という不揮発のメモリを持つのか。

エンジニアの世界には、コードを書き、保存し、履歴を残し、複数人で共有する作法が、何十年もかけて整備されてきました。その作法は、コードのためだけのものではありません。思考のための作法でもあります。

Cursor の中で Claude Code を呼び、Markdown を書き、Obsidian で眺め、Git で履歴を残し、Figma MCP で形にする。この一連の流れは、一度自分のものにしてしまえば、もう手放せなくなります。

  • 絶対にコンテキストを失わないこと
  • アイデアが形になるまで速いこと

この二つを同時に手に入れたとき、あなたの「アイデアを形にする回数」は、確実に増えます。回数が増えれば、当たりに辿り着く確率も増える。それがすなわち、クリエイティブであるということだと、私は思います。

第二の脳は、いつでも、誰でも、今日からつくれます。あなたの最初の idea.md を、楽しみにしています。

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