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品質保証部、ふりかえり施策はじめるってよ。

Last updated at Posted at 2019-12-12

はじめに

この記事は「PERSOL PROCESS & TECHNOLOGY Advent Calendar 2019」の13日目の記事になります。

今回はひょんな事から若手エンジニアから声がけ頂いたので1枠ふりかえりテーマでお話したいと思います。
あまりこういった行事や記事には参加しないのでお手柔らかにお願いします!

自己紹介

社外コミュニティでは「Kaz」で参加しています。
品質保証部所属で社内にてアジャイルを導入したいチームを支援する
ひよっこアジャイルコーチをしています。
また、アジャイルで良く使われるプラクティスなどを学べる勉強会を社内で開催しています。

社外活動として普段こちらのコミュニティに参加者としてお世話になっております。
アジャイルひよこクラブ
初心者歓迎のにわとり(経験者)がひよこ(初心者)を支える素敵コミュニティなので
アジャイルをこれから始めたい方はぜひご参加を。

他、Facebookで百戦錬磨のアジャイルコーチの皆様方から時折飛んでくるマサカリを頭にもらいつつ
日々、学びを積んでいるといった具合です。本読みきれません…

背景

今年というか今年度の上期のお話になりますが、所属が品質保証部と言う立場上
プロジェクトをよりよく行うには?という所にフォーカスした仕事も多いわけで
そんな中でも「PDCA言うわりにはCheckとActionちゃんとやれてないよね?」という所から
ふりかえりの施策が始まりました。

社内の実態

ふりかえりをまったくしていなかったか?というとそう言うことはないのですが
どの会社でもよくあるであろう「プロジェクト終了時にふりかえる」というのが主であり。
また、その方法も様々なのですが、中には
EXCELにKeep/Problem/Tryとかかれた列に各自で記入してメールで送信
といった、それはもはやアンケートなのでは?というものまでありました。

当然ながらプロジェクトの終了に行うのでイマサラ感溢れる内容になりがち
プロジェクトは終了している為に次には繋がりにくく、いわばセレモニー的に行われており
EXCELが活用される背景は「ふりかえりました」という記録と報告の為
収集したらそこで終わっていたなんてケースもありました。

そして、ふりかえりは辛いものであると言う認識がメンバーに定着していたりもします。
これを改善しようというわけです。

ふりかえりを始めてみる

まずは体験してもらわないと始まらないので、直近で終了するプロジェクトに向けて「新しいふりかえりの方法をしてみませんか?」と言ったアプローチで始めてみました。

今回は品証として行った第一回目のふりかえりのお話をしていきます。
※この前に練習させて!と、お願いして若手有志の勉強会でふりかえり練習をしています。

ふりかえりの基本的な流れは、私にふりかえりを教えてくれた師匠でもある森一樹さんが行っている
ふりかえりワークショップ~実践&実践~」を元にしています。
要は守破離の「守」として、まずは先人の教えてくれた型を…(守るとはいっていない)というわけです

同じものを体験できるコミュニティがありますので、興味ありましたらご参加ください!
本もあります。
・コミュニティ:ふりかえり実践会
・書籍:ふりかえり実践会 booth
ワークショップではアジャイルレトロスペクティブズにもある流れに沿って実践的なふりかえりが学べます。
私もコミュニティのワークショップに参加して、しっかり流れなどを学んでから行いました。
※尚、弟子制度があるというわけではありません…勝手に師匠と呼ばせて頂いています。

ふりかえりの流れ

初のふりかえり支援の対象となったプロジェクトは期間が9ヶ月。
人数も15名程いるプロジェクトだったので時間配分を以下で設定しました。
image.png
人数と慣れ具合から、少し時間が足らないかな?とも思ったのですが、この人数を長時間拘束するのが難しいのもあり、2時間で設定。
プロジェクトはウォーターフォール型で、プロジェクト中での定期的なふりかえりは行われていませんでした。

場作り

グランドルール

人数と時間の関係でDPAは実施せずグランドルールをスライドで説明して、壁などに掲げる形で始めました。
グランドルールは師匠の記事プロジェクトのふりかえりの進め方の例からパクリお借りして
プロジェクトマネージャと前もって内容を握っています。
※通常使いではDPAと言う、ふりかえりの場のルールを決めるプラクティスを行ったりします。
※若手有志の勉強会ではDPAで場のルールを決めて実施しております。

・本日のふりかえりの目的
1. チームや自身の成長を確認・自覚し、祝いあう
2. 今回のプロジェクト経験を経てチームや自身が得た学び・気づき、教訓を共有する
3. 次のプロジェクトに今回の学びをどう生かすか、具体的なアクションをリストアップする

・本日のふりかえりグランドルール
1. この場の発言・内容は評価に一切関係しない。
  なので、付箋に名前を書くといった行為は行わないし、行われない
2. 個人への攻撃・批判はしないこと。
  ただし、チームのためであるのであれば、事実や思ったことを真摯に記載し伝えること
3. どんなにくだらないことでも、気兼ねなく自由に発言すること。
  そしてその発言を妨害しないこと
4. 過去の失敗を恥じたり咎めるのではなく、失敗できたことを良しとし、祝いあうこと
5. 未来の自分のため、未来のチームメンバーのために、全力でふりかえり、全力でアクションを考えること

これらが書かれたスライドは印刷してホワイトボードや壁などに貼り付けて
いつでも誰でも見ることができるようにしています。

テーブル配置は以下のような形で行いました。
人対問題の形になる座り方をしてもらっています。
このあたりの場作りはふりかえり読本 場作り編~ふりかえるその前に~の「物理的な場作り/空間の準備(P.29~)」を参考にして頂ければと思います。

image.png

この他、Good&Newでのアイスブレイクを場作りとして実施しました。
image.png
今回はチームの為というよりも人数が多いので話しやすい場を作るため
私がどのような人が参加者なのかを知るために実施しています。
このアイスブレイクを観察してチーム仲や会話量、ムードメーカーなどを把握させて頂きました。
また自分が話しやそうな人という印象を持って頂きたかったので、全員の話に一言コメントを発言しています。

データを集める

TimeLine

まずは思い出す事から始めるのでプラクティス「TimeLine」を実施しました。
とはいえ流石に9ヶ月のプロジェクトとなると思い出す事自体が大変なので
プロジェクトのマスタースケジュールをプロジェクターで映しながら実施しています。
このあたりは師匠のふりかえり読本 学び編にある「ふりかえりのサイクル(P16~)」など参考になると思います。

付箋紙の色は以下のルールで定義し、月ごとに貼っていってもらいます。

  • 黄色 :嬉しい、面白い、気付き
  • ピンク:悲しい、辛い

この時、こういった事に慣れていないメンバーが多いので、書くことのハードルを下げる事を考えて
「その時に自分やチームに起きた仕事以外の出来事も記入OK」としました。
また、「書けば書くほど誰が書いたかわからなくなるので、沢山書いちゃいましょう!」と言った事もお話しています。

image.png
左上がプロジェクト始まりの月で右下がプロジェクトの終了の月でZ字に並んでいるんですが
中盤以降にピンクが増えていくのがプロジェクトらしいですね…
とはいえ思い出しが大変というのは付箋紙の枚数から見ても理解頂けるかな?と思います。
プロジェクトの前半はほとんど付箋紙がありません。
インパクトがあったものだけが出てくるといった感じです。

この時に貼り出された付箋紙は84枚でした。
この後、メンバー全員で貼り出された内容を見てもらい、こんな事確かにあったなぁなどを
会話してもらいました。

データを集める&アイデアを出す

ORID

若手勉強会でふりかえりの練習をした時は「学習マトリックス」を使っていたんですが
個人的にやりたかったというのと付箋に書いて貼る楽しさを持ち帰ってもらいたかったので
見た目効果を狙ってプラクティス「ORID」を採用しました。

ORIDは次のような流れで行っていき、1つ前に出した意見などを見ながら深堀りをしていきます。

1. Objective Question(客観的問いかけ)
2. Reflective Question(内省的問いかけ)
3. Interpretative Question(解釈的問いかけ)
4. Decision Question(決断的問いかけ)

このORIDは後に師匠のアドバイスもあり、TimeLineと合わさって良いとこ取りの形に
変化していくんですが、この頃はまだ個別で実施しています。

説明内容も師匠のスライドままを流用しています。

image.png

・Objective Question(客観的問いかけ)
1つ前に思い出しで行ったTimeLineを見ながら書いてもらいました。
TimeLineと客観的問いかけで書く事実は似てたりもするんですが
自分たちが話したいものをTimeLineから選択してもらうことで意見の収束を狙っています。
なので「より会話をしたいと思う物を拾い上げたり追加したりして下さい」というお話をしています。

残りのR、I、Dの3つはスライドにあるままで特殊な事はしていません。
image.png
image.png
image.png

結果がこちら。付箋はだいたい117枚程でした。
image.png

この方法の良い所はいくつもあるんですが自分的には以下の4つです。

1. 起きた事(事実)から書く!というハードル低めの所からスタートできる
2. 1つ前で書いた事を見ながら順に考えていけるので、慣れていないチームでも導入しやすい
3. 何が重要な出来事だったのか?などが視覚的にも把握がしやすい
4. 付箋が広がっていく所に楽しみや達成感がある

4番はORIDやTimeLineが目新しいだけかもしれませんが、参加メンバーの会話がとにかく楽しそうなんですね。
笑いも起きてましたし、そして誰かを責めるような会話もされませんでした。
ふりかえりが辛いものじゃなくて楽しくやるものってのを感じて貰えたかな?と思った瞬間だったりもしました。

アクションを決める

SmallStarfish

ORIDで意見の深堀りをしたら、いよいよアクションです。
ここでは師匠の実践ワークで習った流れに沿って「SmallStarfish」を実施しました。

本来はSMARTを意識した具体的なアクションプランまで出すのが良いのですが
人数と与えられた時間の都合からそこまで収束させるのが難しかった為
「アクションリストを出すところまでをお手伝いしますので、ここから具体的にどうするかはプロジェクトメンバーで再度会話してください」
とさせてもらいました。

SmallStarfishは、Fun funretrospectivesで紹介されているもので
Smallではない方法も紹介されていますので興味ありましたらサイトを見てみてください。

image.png

SmallStarfishの良いところは、明確に捨てたいと考えているものを表明できる所(Less of)です。
やめようを言えるのは参加者からも良かった点としてフィードバック頂けました。
普段からプロジェクトでは言いづらい事のうちの1つが「やめよう」なのかな?と思います。

結果がこちら
image.png

だいたい22枚程の付箋が出ました。文字はちょっとぼやかしているんですが
Keepに飲み会があったり、Less ofに一気飲みはやめなさいがあったりと
チームの仲が見れるものが出ていたりもします。

この時ではないのですがSmallStarfishをした際に開発メンバーが書いた物を貼り付けた後で
プロジェクトマネージャが書いた物を貼るというのをしたことがあるんですが
プロジェクトマネージャが出来ていると認識していて、継続だ!とKeepに書いていたものが
メンバーからは足らない物、more ofとして追加されていた
なんて事がありました。
ロールの違いで見えている物が違うという認識が取れた一例ではあるんですが
こういう事はどのプロジェクトでも起きている可能性があるので、やはり定期的に
ふりかえりながら認識合わせをしていく、視座を合わせていくべきだなと思いました。

ふりかえりの終了

温度計

の、予定だったんですが時間が足らなくなった為に温度計は行わず
プロジェクトマネージャから開発メンバーへ感謝を述べて頂く事で終了としました。
これが思ったよりも良かったので、その後の私が行うふりかえりではメンバーみんなに感謝を書いてもらう場を必ず作るようになりました。

その後

この「新しいふりかえりの方法をしてみませんか?」で始めたふりかえりですが
こうやるとこんなに情報でてくるんだな…といったフィードバックと共に口コミ的に依頼が増加。
現在も本来の目的である「定期的にふりかえろうぜ!」とは少し違うんですが
意味のあるクロージングをしたいといった所から継続的にプロジェクト終了時のふりかえりを実施しています。

またこのクロージングの結果などを元に、ふりかえり強化研修を提案した所、開催が確定。
師匠にお仕事としてふりかえりの研修会を開いて頂く事もできました。
image.png
本来なら自分がやるべきなんですが、内部の人間が話すより外部の実践者が話すほうが学習効果が高い
というのをコミュニティなどから感じていたので「来てもらう!」を提案しました。

この研修を受けた6チームの内、プロジェクト特性などの都合もあるんですが3チームに定期的なふりかえりが定着!
その後のヒアリングでも良いフィードバックを頂けたので成果は上々です。
以下、各チームからの声を紹介。

  • 今までだとこういう障害があったら、上からこうしろという命令だったのが、彼ら自身が気がついて、こうしようとメンバーが考えてこうしようになってきた。ミッションに対しての動機づけが改善されてきている。
  • まだ具体的な効果はでてきていないが、アクションがちゃんと具体的に出るようになった。ここが一番大きい。いままではふわっとしていて具体的になっていなかった。
  • ふりかえりの場で現状の共有がされるようになって、ふりかえりが終わった後にさらに会話がされるようになった。タスクを投げたら終わりではなく状況確認というのもされるようになってきた
  • 全体的に会話が増え、コミュニケーションが増えた。研修にあった、ふりかえりによるチームビルディングの効果が出てきた気がする。

ふりかえりは開発手法に関係なく導入しやすく、そして効果の髙いものです。
みなさんもふりかえり始めてみませんか?

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