1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

共通フレームに則った要件定義とは

1
Posted at

共通フレーム準拠の要件定義、プロジェクトの土台をどう固めるか

概要として、共通フレームに則った要件定義とは、システム開発を場当たり的に進めず、企画・要件定義・開発・運用までを共通の考え方で整理する進め方です。単なる機能一覧の作成ではなく、業務目的、関係者、制約、成果物、責任分担を明確にし、後工程の手戻りを減らす役割があります。特に、発注側と受注側の認識をそろえる土台として重要。

共通フレームに則った要件定義とは

🔹────────────────

共通フレームに則った要件定義とは、情報システムや業務システムの開発を進める際に、関係者が共通の枠組みで「何を作るか」「なぜ必要か」「誰が何を担うか」を整理することを指す。

要件定義は、しばしば「必要な機能を書き出す作業」と誤解される。だが実際には、業務上の課題、解決したい目的、導入範囲、品質、運用条件、スケジュール、体制まで含めて定義する工程である。共通フレームに沿うことで、この整理を属人的なやり方ではなく、一定の観点で抜け漏れなく進めやすくなる。

🔹────────────────

共通フレームの考え方では、開発だけを見るのではなく、企画、調達、構築、運用、保守までを含めたライフサイクル全体を意識する。このため、要件定義でも「作って終わり」にはならない。

たとえば、次のような問いを要件定義の中で明らかにしていく。

  • そのシステムで解決したい業務課題は何か

  • 利用者は誰か

  • どの業務を対象にするのか

  • 必須機能と追加候補は何か

  • 性能やセキュリティにどこまで求めるか

  • 障害時にどう復旧するか

  • 誰が運用し、誰が保守するか

このように、共通フレームに則った要件定義は、機能要件だけでなく非機能要件や責任分担まで含めた「合意形成の文書化」に近い。

🏗️ なぜ共通フレームに沿うのか

共通フレームに沿わない要件定義では、担当者ごとに書き方や粒度がばらつきやすい。すると、発注者は「当然入っていると思っていた」、開発側は「そこまでは聞いていない」という認識ズレを起こしやすい。

共通フレームを使う利点は、このズレを減らせる点にある。特に次の効果が大きい。

  • 目的と手段を切り分けやすい

  • 要件の抜け漏れを防ぎやすい

  • 発注側と受注側で責任範囲を整理しやすい

  • 後工程の設計、テスト、運用に引き継ぎやすい

⭐️ 要件定義は「機能の注文書」ではなく「事業と現場の合意書」だと捉えると失敗しにくいにゃ

要件定義で整理する主な観点

共通フレームに則る場合、少なくとも次の観点を押さえると全体像が安定する。

1. 業務要件

最初に固めるべきは、システムそのものではなく業務の姿である。現状の業務フロー、課題、改善したい点、対象部門、対象ユーザーなどを明確にする。

たとえば「承認に時間がかかる」が課題なら、必要なのは単なる申請画面ではなく、承認経路の整理、通知ルール、代理承認、履歴管理かもしれない。ここを曖昧にすると、あとで機能が増殖する。

2. 機能要件

機能要件では、システムが何をできるべきかを具体化する。入力、検索、登録、更新、承認、出力、通知、連携などが対象になる。

たとえば、次のように書くと具体性が上がる。

・利用者は申請データを登録できる
・上長は申請内容を承認または差戻しできる
・承認結果は申請者にメール通知される
・管理者は月次の申請一覧をCSV出力できる

3. 非機能要件

見落とされやすいが重要なのが非機能要件である。性能、可用性、セキュリティ、バックアップ、拡張性、監査ログなどがここに入る。

たとえば「レスポンスは3秒以内」「平日9時〜18時は99.9%稼働」「操作ログを1年間保管」のように、測定可能な形に落とすことが望ましい。

4. 制約条件

予算、納期、利用技術、既存システムとの連携条件、法令や社内規程なども要件定義の重要要素である。ここを後出しにすると、設計が崩れる。

5. 役割分担

共通フレームでは、誰が何を担当するかも重視される。利用部門、情報システム部門、ベンダー、運用担当などの役割が曖昧だと、受入テストや運用開始で混乱する。

📝 具体例で見る要件定義

たとえば、社内の経費精算システムを導入するとする。

悪い要件定義の例は、こうなる。

経費精算ができるシステムを作る
承認機能をつける
CSV出力したい

これでは、何がどこまで必要なのかがわからない。

一方、共通フレームを意識した整理では、次のようになる。

目的:
・紙の申請を廃止し、月末処理の負荷を下げる

対象業務:
・交通費、出張費、交際費の申請と承認

対象利用者:
・一般社員、承認者、経理担当

機能要件:
・社員は経費申請を登録できる
・領収書画像を添付できる
・承認者は申請を承認、差戻しできる
・経理担当は仕訳用CSVを出力できる

非機能要件:
・月末最終営業日は300人同時利用に耐える
・通信は暗号化する
・操作履歴を保存する

運用要件:
・マスタ更新は経理部が担当する
・障害一次対応は情報システム部が担当する

この粒度まで落ちると、設計、実装、テスト、運用へつなぎやすい。

💻 実務で使いやすい要件定義メモの例

以下のような形で整理すると、会議メモから要件定義書へ発展させやすいです。

# 要件定義メモ

## 目的
- 経費精算の処理時間を短縮する
- 紙運用を廃止する

## 対象
- 社員
- 承認者
- 経理担当

## 現状課題
- 申請状況が見えない
- 差戻し理由が追えない
- 月末に処理が集中する

## 必須機能
- 申請登録
- 承認 / 差戻し
- 添付ファイル保存
- 通知メール
- CSV出力

## 非機能
- 平日業務時間内に安定稼働
- 権限別に画面表示を制御
- 操作ログを保存

コードや設定ファイルではないが、こうした構造化メモは初期整理に役立つ。

⚠️ よくある誤解

共通フレームに則ると、厚い文書を大量に作ることが目的だと思われがちです。ですが、本質は文書量ではなく、必要な観点をそろえて合意しやすくすることにあります。

❓現場によっては、正式な共通フレーム文書を厳密に参照せず、考え方だけを簡略化して使っている場合もあります。その場合でも、目的、範囲、要件、責任、運用を分けて整理する点は共通しやすいです。

🚧 要件定義が失敗する典型

共通フレームを意識していても、次の状態では失敗しやすい。

  • 目的が曖昧で、機能の話から始まる

  • 現場利用者の意見が入っていない

  • 非機能要件が後回しになる

  • 決定事項と未決事項が混ざる

  • 発注側と受注側の責任境界が曖昧

このため、要件定義では「決まったこと」「未決のこと」「制約で変えられないこと」を分けて管理するのが有効である。

一言でまとめると

共通フレームに則った要件定義とは、システム開発に必要な要件を、業務・機能・非機能・制約・体制という共通の観点で整理し、関係者の認識をそろえる進め方である。

単なる仕様書づくりではない。後工程の設計やテストや運用で困らないように、最初に土台を固める仕事である。

⭐️ 迷ったときは「この要件は、目的・機能・品質・運用のどこに属するか」を切り分けると整理しやすいにゃ

用語解説

📘 共通フレーム
情報システムの企画、開発、運用、保守を共通の枠組みで整理する考え方。

🧾 要件定義
何を実現するか、なぜ必要か、どの条件で動くべきかを定める工程。

⚙️ 機能要件
システムが提供すべき機能や動作内容。

🛡️ 非機能要件
性能、可用性、セキュリティ、保守性など、機能以外の品質条件。

👥 ステークホルダー
利用者、発注者、開発者、運用担当など、案件に関係する人や組織。

📂 運用要件
本番利用後の管理方法、障害対応、保守体制などの条件。

1
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?