🧭 この記事でわかること
- 業務改善を「技術」ではなく “仕組み化”の成熟度(Lv0〜Lv5) で評価する方法
- 各レベルで次に打つべき一手(入口→マスタ→フロー→アプリ→自動化→最適化)の順番
- スタート地点別に迷わず進める「まず何やる?」の型
👤 対象読者
- 情シス / 現場DX推進 / 業務改善リーダー / Power Platform推進担当
- 初心者〜中級(ただし「何から手を付けるべきか」で詰まりがちな人)
✅ 結論
重要なのはツールではなく「業務がどれだけ“仕組み化”されているか」を段階で測り、次の一手を固定すること。
背景:なぜこの問題が起きるのか
- 現場で起きがちな状況
- 紙・口頭・メール・Excelが混在し、入口もマスタも不明
- 改善が「ツール導入」で止まり、運用・効果測定まで到達しない
- 放置すると何が困るか(コスト/運用/品質)
- 最新版が分からず、確認・集計・転記が増える(運用コスト増)
- 例外処理が属人化し、監査・証跡・品質が不安定(品質低下)
- 改善が単発で終わり、ROIが語れない(継続投資が止まる)
全体像:解決アプローチ(まず設計)
解決策:実装手順(再現できる形で)
Step 0. 前提(権限/環境/準備)
- 原則:「入口」→「マスタ」→「フロー」→「画面」→「自動化」→「最適化」 の順で積む
- “改善になってるか”の判定は、次の3点で見る
- 入口が1つ(例外を作らない)
- マスタが1つ(二重管理をしない)
- 証跡が残る(監査・引き継ぎ・説明責任に耐える)
Step 1. Lv0→Lv1:紙・口頭を「入口の統一」で止める
- 目的:紙をスキャンしても、結局データになっていなければ改善にならない。まず “入力口”の統一 が最優先
- やること(最小構成)
- Microsoft Forms(申請/受付の入口)
- SharePoint List(台帳=1枚の真実)
- 卒業条件(Lv1になったと言い切れるライン)
- 申請・受付が「口頭/紙/メール転記」ではなく、必ず入口に集約
- 台帳が“誰でも同じものを見ている”状態になっている
Step 2. Lv1→Lv2:Excel散乱を「マスタ統一+標準フロー」で止める
- 目的:デジタルでも統制ゼロだと、最新版不明・手集計・属人運用が増える
- やること(順番が重要)
- “マスタ”を1箇所に寄せる(SharePoint List / Dataverse のどちらか)
- 承認・通知・期限・証跡をワークフロー化する(Power Automate)
- “見える化”で論点を固める(Power BI:滞留、例外率、KPI)
- 卒業条件(Lv2)
- ToBe手順が「資料」ではなく、フローとして強制力を持って動いている
- 承認・期限・証跡が残り、監査対応ができる
Step 3. Lv2→Lv3:アプリ化で「入力〜処理」を一気通貫にする
- 目的:現場が使う画面がないと、入力と処理が分断され、結局Excel/手作業に戻る
- やること
- Power Appsで“業務の画面”を作る
- 「入力→参照→更新→履歴」までを一つの導線に載せる
- 「Excel更新」を運用ルールで禁止し、入口と画面だけに寄せる
- Power Appsで“業務の画面”を作る
- 卒業条件(Lv3)
- 現場が使う“画面”があり、入力〜処理が分断されない
- “Excel卒業”が現実になっている
Step 4. Lv3→Lv4:自動化・エージェント化で「勝手に動く」へ
- 目的:イベント起点で動かし、例外だけ人が見る形に寄せる
- やること
- Power Automateでイベント駆動(トリガー→アクション)を組む
- Copilot Studioは「会話」より “業務実行” に寄せる
- 作業依頼 → 処理 → 結果通知(人は承認/例外対応に集中)
- 卒業条件(Lv4)
- 定型処理は勝手に回り、人が見るのは例外だけ
- 作業依頼〜完了までの導線が“人の記憶”に依存しない
Step 5. Lv4→Lv5:最適化(効果測定・改善が回る)
- 目的:改善が単発で終わると、ROIが語れず、次の投資が止まる
- やること
- モニタリング指標+運用設計で改善を回す
- 利用浸透 / 習慣化 / 活用幅 / Impact / Automation(この5指標が刺さる)
- CoE/ガバナンスで野良化を止める(命名/環境/監査/運用)
- モニタリング指標+運用設計で改善を回す
- 卒業条件(Lv5)
- “作った”ではなく、使われ続けて価値が出ているを数字で語れる
- 改善が回り、横展開できる
Step 6. 動作確認(テスト観点)
- 期待値
- 入口 → 台帳 → 承認 → 通知 → 画面 → ログ → 可視化 が“つながっている”
- 失敗したときの切り分け(よくある)
- 入口が分散:紙/メールが生きている(例外を許している)
- マスタが複数:Excelが残っている(二重管理)
- フローが止まる:例外設計がない(承認者不在、期限超過)
- 使われない:導線が弱い(通知がない、画面がない、教育がない)
🔥 実務Tips(やると差がつく)
- 入口の統一だけは例外を作らない(ここが崩れるとLv0へ戻る)
- “見える化”は飾りではなく、論点確定装置(滞留/例外率/KPIが固まると意思決定が速い)
- 通知は「気づき」ではなく行動導線にする(チャネル投稿+担当アサイン+期限)
⚠️ ハマりやすいポイントと回避方法
- ハマり:紙をスキャンして満足する
回避:データ化(入力口) が完了するまで“改善”と呼ばない - ハマり:Excelを残したまま台帳も作る(二重管理)
回避:マスタは1箇所。更新経路も1つに固定する
運用・セキュリティの補足(野良化を止める)
- 運用設計(監視/ログ/権限/例外処理)
- 申請・承認・処理のログは「後で調べられる」粒度で残す
- 例外(承認者不在、差戻し、期限超過)をフローに組み込む
- 事故りがちなパターン
- 個人が勝手に作り、退職/異動で止まる(属人化)
- 権限がバラバラで監査に耐えない(統制不足)
- チェック観点
- 命名規則、環境の分離、監査ログ、接続の棚卸し、運用責任者の明確化
📊 結果 / 効果(仮でもOK)
- 定量:
- 転記時間削減、承認滞留の減少、処理リードタイム短縮、問い合わせ削減
- 定性:
- 「最新版どれ?」が消える / 説明責任を果たせる / 改善が継続する
- 「やらなかった場合」との違い(テーブルで比較:必須1つ)
| 観点 | やらない | やる |
|---|---|---|
| 運用コスト | 手集計・転記・確認が増え続ける | 入口統一+マスタ統一で作業が減る |
| 品質 | 属人化・監査不安・例外で破綻 | 証跡・期限・例外設計で安定する |
| 拡張性 | 改善が単発で終わる | レベルに沿って積み上げできる |
学び・まとめ
- 学び1:業務改善は「ツール」より入口・マスタ・運用の設計が支配する
- 学び2:Lv0→Lv3は“整地”、Lv4→Lv5は“経営に耐える改善”
- 学び3:AIは主役にしなくていい。**実行レーン(業務の仕組み)**がないと成果に変換できない
✅ 次のステップ(ここから行動)
- 自部署の業務を1つ選び、Lv0〜Lv5のどこか判定する
- 「入口(入力口)」を1つに統一する(例外を作らない)
- マスタを1箇所に寄せる(Excel更新を止める)
- 承認・通知・期限・証跡を標準フロー化する
- モニタリング指標(利用/習慣/活用幅/Impact/Automation)を決める