「プロジェクト管理ツールとはなんぞや?どうあるべきか?」と初心に戻って考えながら書いている『プロジェクト管理の課題と解決』も4回目です。
時間に追われて企画やUXまで気を回せない!…という開発者の方もいらっしゃいますが、良いツールを構築するにはやはり、そのツールの目的や生み出された背景を理解することが大事だと考えています。
あと、ビジョンですね。関わる人間全員が同じ成功を想定しているか。これにつきます。
##意外な結果を生み出した個別原価管理
これは開発後、導入してからの話になりますが、必要に迫られて実施してみたことが思わぬ効果をもたらしたという事例があります。
「プロジェクト管理ツールとグループウェアを統合させた『Time Krei』(タイムクレイ)が生まれたのには、大きく2つの背景がありました。」と前述しましたが、大きな背景の二つ目である「IPO」のための『個別原価管理』がその良例です。
それまで個別原価管理をしていなかった理由は時代的なものというか、一言でいうとずさんだった…という事ではないかと思います(あくまでも想像です。当時はいなかったので)。
当時モバイルサービスが『出せば売れる』時代であったため、テンダは規模もさまざまにかなりの数のモバイルサイト/サービスの立ち上げを行いました。運用も含めてすべてにおいて個別に原価を管理するということは、使うことを習慣化できるシステムがない状態では大変難しい事でした。担当者レベルは自分のやっていることを事細かに登録しなければなりませんし、マネージメント層はそれをまとめなければならないからです。
特に運用フェーズにおいては、事業部側ではエンジニア一人一人がどの案件どのぐらい稼働していたかは把握していませんでした。スケジュール管理と連動している個別原価管理がTime Krei で可能になったことで、個人個人が「何を何時から何時まで行ったか」の登録がカンタンに出来るようになり(スケジュールだけを入れておけば良いのですから)、結果、一つ一つの案件の運用工数が顕在化しました。高収益な案件だと思っていたものが、意外と粗利が低いということがわかったのです。
売り上げが多いからと優遇していた案件が実は赤字に近かったということは、特に経営層にはショッキングな出来事でした。しかし、その顕在化した数値を見せて値上交渉に成功したため、結果的に増益に転じるという…どれだけ原価管理が大事かわかりますね。
このように、会計上ではわからなかった業務の無駄が、自動的にグラフなどで分かりやすく可視化でき、そのデータを蓄積できるTime Krei は、『プロジェクト管理ツール』としてマネージメント層やエンジニアの日々のプロジェクト推進に役に立つだけでなく、経営層にも必要なデータを提供してくれる『経営判断に役立つ』ツールとして、現在では導入企業さまにご利用いただいています。
そして、当然この**『個別原価管理』は、これから上場を目指す工事進行基準が適用となる企業には、無くてはならない機能**なのです。
##自社で必要なツールを開発するということ
すぐれたプロジェクト管理ツール・・・テンダの社員が必要としたプロジェクト管理ツールは、当然機能が優れているだけでは事が足りません。
先ほどの表計算ソフトで作成したWBSの話と同じですが、操作しやすく見やすくなければ、使うことが習慣化されず、きちんと更新することもせず、結局は使えないツールになってしまうのです。
担当が変わり「今開発している、このツールの状況を知りたい」と思っても、更新されていなかった資料しか出て来ず、まずはその更新からはじめる…なんて案件も、実際自分が担当したものにはありました。
テンダは自社パッケージ製品の開発・販売からゲームコンテンツの企画・制作・運用まで幅広く展開している企業ですが、こういった企業のアドバンテージは**「必要とするものを作りだすことができる」**ことではないでしょうか。しかも、「自分たちが必要とするものは、大抵の企業も必要としている」ことも間違いないのです。
弊社が開発するBtoB製品/サービスは、もちろん社員として働く我々や身近にいるパートナーもターゲットであり、使用することが前提です。そのため使いやすさや品質にはこだわって開発しています。
新規立ち上げはもちろん、機能の追加や改善においては、社内の使用者がバグ発見者であり、UX改善のネタを出してくれる人でもあります。これは「必要とする人が必要とする業務で実際に使う」という最良のテスト環境であり、そうして少しでも良いものをお客さまに使っていただくための、一つの必須業務でもあると考えています。ただ使うのではなく、ひっかかる箇所があれば仮説を立て、改善案を考えることもテンダの一員としての日々の活動と言えましょう。
とはいえ、どんなにPDCAを回しても「誰にでも使いやすいプロジェクト管理ツール」は、なかなか長い道のりだと感じています。『Time Krei』だけでなく、どんな自社製品/サービスであれど(いや、余計にむしろ)使っていると言いたいことは山ほどあったりします。
企画・開発・営業する全員が同じビジョンを目指して取り組めるか、さらに「愛着」といったスキルを育てて、自社開発ツールをもっと良くしていけるのか、が、開発現場の鍵のように感じています。
『Time Krei』の開発に取り組み、最終的には**『Time Krei』があるお陰で効率的に仕事ができ、ライフワークバランスが最良のものになれば**…と考えています。これは自分自身のためだけでなく、仕事で関わるすべての人、また「非効率」と言われる日本全体に貢献できるプロジェクトではないか…と思います。
もし、テンダのプロジェクト管理ツール『Time Krei』(タイムクレイ)にご興味をお持ちの場合は、是非一度サービスサイトをご覧ください。