はじめに
著者の坂井恵さんから本書を御献本いただきましてひととおり通読し、僭越ながら感想を述べさせていただく記事です。
坂井さんとは、本書の執筆にあたって、このたび姉妹本となった位置エン本を題材にいろいろ楽しく議論させていただきました。ご出版おめでとうございます。
感想
- MySQLで解説が進むが、「方言」としてPostgreSQLの例もたびたび出てくるので、特定のDBMSに偏らず学習できる
- RDBMSをある程度触っているのでスラスラ読み進めることが出来た。スラスラ読めつつも知らなかった(あるいは理解が曖昧だった)トピックが多数あった。入門者でなくてもお勧めできる
- 入門者・初学者には特におすすめできる。この一冊だけでは、少なくとも「読むだけでは」即戦力になることは難しいかもしれないが、RDBMSの思想をインプットするのに十分な一冊だと思う
- SQLやDB運用は経験によるノウハウが非常に多い分野だと勝手に思っているが、各所に挿入されているコラムにまさにそういったトピックがさまざまあって面白かった
手を動かして失敗・エラーから学ぼう
自分で試せ!
試せ!試せ!試せ!!
p.077-078より引用
「実際に手を動かして、失敗すること」が重要であると述べられています。技術書には「正しい道」が記されているので、通読して・写経すれば、失敗せずに学べるでしょう。一方で、失敗・エラーからの学びというのは違うベクトルで重要なものであると、自分の経験からも思います(エラー時に直感ーエスパー力がはたらくというか)。
感想で「読むだけでは」(即戦力は難しい)と述べましたが、それはまさにこのことを意識しています。手を動かして学びましょう!
終わりに
RDBMSを体系的に学んだことがなく「ぜんぜんわからない 俺たちは雰囲気でRDBをやっている」私ですが、経験的な理解しかなかったのが、体系的にまとめられた本書で復習できました。
2025年現在、GenAIが一見「なんでも答えてくれる」時代ですが、その正誤・良否を見極めることができなければ責任を持った意思決定は困難で、その良し悪しを見極めるためには「メンタルモデル」を構築することが重要であると考えています。その意味で、ほどよい抽象度でまとめられ、RDBMSの思想を高速にインプットできるこの本は、入門者をはじめとした多くの方にお勧めできる一冊であると思います。