この記事はK4e Linux Distros Advent Calendar 2025の二十二日目の記事です。
概要
必要なものだけを自分で組み上げる、徹底的にシンプルなローリングリリースLinux
- 系統: 独立
- パッケージマネージャ: pacman
- リリースタイプ: ローリングリリース
- 想定用途: Linuxを構成から自作したい 最小構成のサーバの構成 Linuxデスクトップ環境のカスタマイズ
Arch Linuxとは
Arch Linuxとはx86-64向けの非常にカスタマイズ性の高いLinuxディストリビューションです。最小構成を起点に必要なすべてを自分で選んでLinuxを構成することができます。
Arch Linuxには
- シンプルであること
- 最新であること
- 実用的であること
- ユーザー中心であること
- 汎用であること
を原則としており、実際にこれらの原則を象徴する代表的な複数の機能があります。
インストール手順
Arch LinuxのインストールはCLI環境上で完全手動で行われます。インストールガイドはありますが、このガイドはあくまで起動する最小構成のLinuxを作るためのガイドであり、何を追加し、何を追加しないかの判断はユーザにゆだねられます。
これは原則の「シンプルであること」を象徴しています。
最新パッケージの提供
Arch LinuxのレポジトリにはUbuntuやRHELより早く最新のソフトウェアが追加されます。Arch Linuxはローリングリリースを採用しているため、継続的にアップデートを行うことで常に最新の環境を使うことができます。
AUR(Arch User Repository)
Arch Linuxには公式リポジトリとは別にユーザが自由にパッケージを投稿、保守するAURという機能があります。AURに投稿されているパッケージ数は2025年12月現在でなんと103101件。欲しいものは大体あります。
実用的であること、ユーザ中心であることという原則を象徴する機能です。
Arch Wiki
Arch Linuxの機能ではないですが、
Arch Linuxの情報がまとまったArchWikiというwebページがあります。
体系的にLinuxに関する日本語情報がまとまった情報ソースとしては世界最大級で、Arch Linuxを実用的な情報がまとまっています。UbuntuやRHELなど他のディストリビューションを使用しているときもしばしば参照することがあります。
ユーザ中心の原則に沿ったArchコミュニティの貢献の賜物です。
Arch Linuxは筆者自身も好んで使うLinuxディストリビューションで、ノートパソコンにLinuxをインストールする際は大抵Arch Linuxを使います。
別の記事にて作ったArch Linux環境の一例を見ていきます。
Arch Linux環境の一例
上記記事の環境は「重い処理をまわしながらも快適に動作するデスクトップ志向のArch Linux環境」を目指した構成を採用しています。
Arch Linuxは採用するデスクトップ環境、カーネル、ブートローダまでも自由に選んで構成することができます。今回は変則的なカーネルを選んで構成してみました。
hyfetch
pacmanで簡単に入るhyfetchを動かしてみました。
KDE Applicationsをすべてインストールしたのでパッケージ数は多めです。
Kernelにはpf-kernelというカーネルを採用しています。CPUスケジューラなどにパッチを当て、高負荷環境での処理速度低下を改善したデスクトップ向けカーネルです。
Arch Linuxには公式とAURで多くの種類のカーネルから採用するカーネルを選ぶことができます。例えば高セキュリティ環境を作りたければlinux-hardenedを選ぶとよいでしょう。
デスクトップ環境も今回はKDE Plasmaを使用していますが、数多のものから自分の好きなものを選ぶことができます。また、CLI環境のみで使用することももちろんできます。
最近人気なのはタイル型ウィンドウマネージャのhyprlandです。カスタマイズ性が高く、ハッカーっぽい画面を自作することができます。
Arch Linuxはデスクトップ用途だけでなく
- Linuxについての学習
- 最小構成サーバ
- 最新技術の実験台
としても使用することができます。
汎用的で実用的である、というのがArch Linuxの良い点です。Arch LinuxはGentoo Linuxとは異なり、デスクトップ環境の実用が現実的です。カスタムされた環境を日常使いしたい人にとってArch Linuxは最強のベース環境です。
まとめ
必要なものだけを自分で組み上げる、徹底的にシンプルなローリングリリースLinux
自分が好きなLinuxなのでべた褒めをしていましたが、ローリングリリースという性質上
- 安定が求められるミッションクリティカルな本番環境
- 長期安定運用をするイミュータブルな環境
- 管理者がLinuxに不慣れな環境
にはArch Linuxは向きません。余計な技術負債を生むことになります。自分の管理できる範囲で、様々な知識を学びながら構築、管理をするのがArch Linuxとの一番良い距離感です。
とはいえ、Gentooより安全に実用的なLinux環境を作れるArch Linuxは他のLinuxに慣れてきた方には是非お勧めしたいLinuxディストリビューションです。
明日はsystemdを使わないDebian Devuanを紹介します。
