この記事はK4e Linux Distros Advent Calendar 2025の十四日目の記事です
概要
システム管理者向けに作られた、レスキュー、検証作業用Linux
- 系統: Debian
- パッケージマネージャ: APT
- リリース形式: ローリングリリース**(開発中止)**
- 想定用途: DevOps検証、トラブルシューティングなどを行うシステム管理者向け
Kaisen Linux とは
Kaisen Linuxとはシステム管理者やネットワーク管理者、セキュリティエンジニアなどを対象とした、システム検証、トラブルシューティングに特化したLinuxディストリビューションです。Kaisenが目指す目標は「The distribution for professional IT」としています。
現場特化型のツール集という点で言えばKaliと似ていますが、Kaliはペネトレーションテスト特化型、Kaisenはトラブルシューティング特化型、という点で違いがあります。
元々Kaisenはシステム復旧のためのレスキューシステムとして設計、開発されていました。しかし、真新しさに欠けるとして、単なるレスキューシステムにとどまらず、Linuxコンテナ、仮想化機能、ネットワーク設定や、サービスの診断ツールなど、インフラエンジニアが使うツールを網羅したディストリビューションへと発展していったようです。
トラブルシューティングに用いる多くのアプリがデフォルトでインストールされており、広く「インフラエンジニア」
開発の中止
Kaisen Linuxは 2025年8月にリリースされたKaisen Linux Rolling 3.0を最後に開発の中止が発表されています。
しかし、2年間はセキュリティアップデートが提供され、移行期間中は安全に使用できるとしています。
開発の中止は寂しいですが、個人開発のLinuxディストリビューションプロジェクトにおいて、引き継ぎが行われない限り開発中止は確実に来ます。開発者には感謝しかありません。
唯一無二のコンセプトを持つ非常に面白いLinuxです。インストールしていきましょう。
インストール
GRUB画面
アイコンがいいところの鉄板焼き屋みたいです。はさみ部分がRJ45になっているのが凝っている。Kaisen Linux Rolling MATE 3.0 Installを選び、直接インストーラに入ります。
インストーラにはNormal、Rescue、Expert 3つのモードがあります。
Normal モードは他ディストリビューションと同様に対話型プロセスを踏んでいくモードです。通常はこちらを利用し、今回もこのモードを利用します。
Rescueモードは初期インストールで問題が発生したときにリカバリモードでシステムをインストールすることができるモードです。CLIでのリカバリーを行うことになります。
Expertモードはより柔軟に自由にシステムのインストールができるモードです。しかし、重要なモジュールを入れ忘れたり、初心者にとっては危険なモードなため、特殊な環境でない限り使わないモードかと思います。
以下からはNormalモードを用いたインストールです。
言語設定。
ロケール設定
キーマップ設定
ネットワーク設定。
ユーザ名設定。
ユーザパスワード設定。
ディスク設定。
パーティション設定。デフォルトでルートはbtrfsでした。ノートパソコンにインストールすることが多そうなので、ロールバックが楽なbtrfsは妥当な選択だと思います。
最終確認です。はいを選ぶとインストールが開始され、終了すると自動的に再起動がかかります。
再起動後のGRUB画面。壁紙がおしゃれです。
ログイン画面。ずっと美味しそうなんですよね…。
インストール完了しました。前インストールした際はexpertインストールのみだった気がしており、インストール難易度が高かった覚えがあるのですが、normalインストールが導入されたおかげで初心者でも簡単にインストールができるようになっていました。
hyfetch
neofetch、hyfetch、どちらもデフォルトでインストールがされていたのですが、hyfetchの方ではエラーが出てしまいました。
importlib.metadata.PackageNotFoundError: No package metadata was found for HyFetch
まず、neofetch。カーネルはLTSの6.12系で自前で用意しているようです。pipで管理しているパッケージが多いですね。高級bashことpythonで作られているトラブルシューティングツールが結構多いのでしょう。
hyfetchはapt版をremoveしてpipxで再インストールすると動きます。
apt版はPythonパッケージの競合が起こってうまく動いていなかったのかもしれません。
sudo apt remove hyfetch
sudo apt install pipx
pipx install hyfetch
export PATH=$HOME/.local/bin
ドラゴン!かっこいい!
インストール済みアプリ
インフラ検証、トラブル対応に使用するアプリ一式が用意されています。
DevOps and Cloud。AWS、azure-cliなどクラウド操作に用いるアプリやDocker、kubernetes、lxcなどのコンテナ関係のアプリなどインフラ検証に使えるアプリが用意されています。
ネットワークの調査、トラブルシューティングに使えるアプリがまとまっています。
アプリケーション層でのトラブルシューティング、検証を行うためのアプリが用意されています。DHCP、DNSトラシューやバックアップ検証ソフト、Powershell、VirtualBoxなど多様なアプリが用意されています。
多様なファイルシステム用のツールが用意されています。ディスク復旧に最適です。
システムメンテナンスに使用するソフトが集まっています。
Windowsのログインパスワード解析ツール「Ophcrack」、安全にデータを消去する「ntfswipe」、物理イメージのディスクイメージを取得する「Guymager」のようにシステム管理者がフォレンジックやパスワード復旧などに用いることができるツールが用意されています。
まとめ
システム管理者向けに作られた、レスキュー、検証作業用Linux
システム管理者が使うツールのまとまった随一のLinuxディストリビューションです。データセンターのようなインターネット接続に制限がある環境におけるトラブルシューティングではKaliのように一通りツールが用意されているLinuxがとても助かります。ローリングリリースという点も素晴らしく、一回マシンを作ってしまえばずっと最新システムを使用できました。シス管は一台Kaisenマシンを持っておくと端々で役に立ちそうです。
Kaisen Linux自体は開発が中止されましたが、トラシュー用Linuxの見本としてこれからも役に立ちそうです。
明日は超軽量LinuxであるTiny Core Linuxを紹介します。






















