この記事はK4e Linux Distros Advent Calendar 2025の六日目の記事です
前書き
DistroWatchというサイトをご存知でしょうか?Linuxディストリビューションに関する情報、最新ニュースなどがまとまった、Linuxディストリビューションオタク必見のサイトです。
Ubuntuのページをみてみましょう。
OSの系統、対応アーキテクチャ、対応デスクトップ環境、想定用途、開発状況などLinuxディストリビューションに関して気になることがまとまっています。また、ホームページやメーリングリスト、ドキュメントやダウンロードページなど、重要なURLがリストでまとまっています。読むべきドキュメント、果ては、ダウンロードサイトまで。ダウンロードページが見つけにくいLinuxディストリビューションもあったりするので、とても助かります。
さて、DistroWatchにはPage Hit Rankingがあります。各ディストリビューション紹介ページのヒット数をランキング化したもので擬似的なディストリビューション人気ランキングとして機能しています。DistroWatch公式は
They correlate neither to usage nor to quality and should not be used to measure the market share of distributions. They simply show the number of times a distribution page on DistroWatch was accessed each day, nothing more. 1
と、Hit Rankingは単なるヒットランキングにすぎない、という但し書きをつけてはいますが。
どうせUbuntuが1位なんでしょう、と思ったらUbuntuはまさかの9位。本日は2025年12月現在2位とダブルスコア近く差をつけて一位に君臨しているCachyOSを紹介していきます。
概要
人気ランキング一位(?) 最新技術、最適化を全面的に取り入れた高性能なArchベースLinux
- 系統: Arch系
- パッケージマネージャ: pacman
- リリース形式: ローリングリリース
- 想定用途: 日常利用からクリエイティブ利用、サーバー用途まで多種多様
CachyOSとは
CachyOSは低レイテンシ、高パフォーマンスな最新構成を手間なく使えることを目的に開発されているLinuxディストリビューションです。
ベースとして採用されているArch Linuxは高いカスタマイズ性を要している反面、Linuxについて詳しくないとそもそもインストールすらままならないという、利用までの敷居が高いという欠点があります。CachyOSにはGUIインストーラが用意されており、初心者でも簡単にインストールすることができます。
Arch Linux同様多様なデスクトップ環境を選ぶことができます。GNOME、KDE Plasma、XFCE、Cinnamon、OpenBox、i3、Sway、Hyprland、Budgieと、メジャーなデスクトップ環境はほぼすべて対応しています。
また、デスクトップ環境を入れずにインストールすることもできます。
ここまでみるとArch LinuxのGUIカスタマイズ版というイメージですが、CachyOSの真骨頂は多様な独自カーネルにあります。
CachyOSでは独自カーネルが採用されており、x86-64-v3、x86-64-v4、Zen4など最新のアーキテクチャ向けに最適化されています。
CPUスケジューラとしてBORE Schedulerが採用されています。各タスクに"burstiness"という指標を導入し、タスクごとに優先度を動的に調整することで負荷が高い状態でも操作感を維持できるように設計されているものだそうです。デスクトップ用途にはマッチしていそうです。
また、バイナリを最適化する技術であるthinLTO(リンク時最適化)、AutoFDO(実行時プロファイルを元に最適化)、Propeller Optimizations(レイアウト最適化)を採用したclangでのビルドを行っているそうです。
CachyOSの独自カーネルには複数の物が用意されています。それぞれの違いはCPUスケジューラの種類、カーネルパラメータの違いなどです。
CPUスケジューラをBORE、BMO、EEVDFの中から選べます。EEVDFはLinuxカーネルの標準スケジューラ、BMQは軽量なスケジューラで古いPCにはこちらの方がよいかもしれません。
サーバ向けに設定されたカーネルもあります。スケジューラにEEVDFが採用されており、仮想化機能、I/Oスケジューラ、ネットワーク制御などがサーバ向けに設定されています。
リアルタイムカーネルとしてチューニングされたものもあります。こればBOREスケジューラと一緒にPREEMPT_RTが採用されています。PREEMPT_RTはLinuxカーネルをリアルタイムOSのように扱うことができるようにするための大規模パッチセットです。リアルタイムOSはIoT機器によく使われ、ロボット制御、産業機器、計測、制御などの研究用途に使われます。
linux-cachyos-hardenedはセキュリティ、攻撃耐性に特化したLinuxカーネルです。Control Flow Integrity、Shadow Call Stackなどのコンパイル時のセキュリティ強化、メモリ保護強化、不要サブシステムの無効化などがされています。
他にも多様なカーネルがありますが、詳しくはGithubページを参照ください。Gentoo LinuxやFedoraなど他のディストリビューションでのCachy-os-kernelの導入方法も書いてあります。
カーネルレベルの最適化がされているCachyOSですが、なんとゲーミング用途のためのエディションも用意されています。Handheld Editionです。Steam Deckをはじめとしたポータブルゲーム機に公式に対応しています。カーネルにもlinux-cachyos-deckifyというSteam Deckに最適化されたバージョンも用意されています。
DistroWatchで一位ということもあり、紹介している日本語記事も多いです。ゲーミング用途に最適、と説明されることもありますが、これは先述のHandheld Editionにおけるもので、実際はデスクトップ、サーバー、多様な用途に最適な環境をGUIで簡単に構築することができるLinuxです。
それではインストールしていきましょう。
インストール~日本語環境
BIOS
起動時画面
Languageに日本語はありませんでした。
インストーラ
起動時に使用するブートローダを選ぶことができます。今回はSystemd-bootを選んでみます。
インストーラはCalamaresを使用しているようです。
ロケール設定
キーマップ設定
パーティション設定
デスクトップ環境設定
デスクトップ環境を選択できます。ここまで多様なデスクトップ環境が選べるのは驚異的です。特に意味はありませんが、Cinnamonを選んでみます。
他の物は特にいれません。
ユーザの情報を入力します。
インストールを開始します。
インストール中はCachyOSの宣伝が流れてきます。
先ほども見ましたが、多くのデスクトップ環境に対応しています。デスクトップ環境は特にこだわりがある人の多いものなので、マイナーなものまで対応しているのはかなりの強みです。
さて、インストールが終わったら再起動します。
インストール直後
ターミナルを起動するとneofetch的な画面が表示されます。neofetch自体はインストールされてません。
hyfetch
表示が見切れてしまったのでhyfetchで情報をちゃんと確認してみましょう。
sudo pacman -S hyfetch
Kernelは6.18.0-2-cachyos。メインラインの最新カーネルバージョンです。デフォルトシェルはfish。
CachyOS Kernel Manager
面白いアプリとしてKernel Managerがあります。
CachyOSには多様なカーネルから使用するものを選べますが、なんとGUIでカーネルの選択ができます。
各カーネルのConfigをいじり、カーネルのビルドまでできます。
新しいカーネルをインストールしたら再起動時に選ぶことができます。
今回はcachyos-bore-ltoをインストールしてみました。
カーネルの表示が変わりましたね。この時点で気持ち動作が快適です。
日本語入力環境
日本語入力環境はArch Linuxと同様に行うことができます。今回はfcitx5+fcitx5-mozcを導入します。
sudo pacman -S fcitx5 fcitx5-mozc
/etc/environmentに以下の環境変数を追加します。
Cinnamonデスクトップはx11で動いているのでXMODIFIERSも追加。
GTK_IM_MODULE=fcitx
QT_IM_MODULE=fcitx
XMODIFIERS=@im=fcitx
INPUT_METHOD=fcitx
すると右下にキーボードマークが追加されるのでこちらからMozcをメソッドに追加
うまく動かなかったら再起動したら直る可能性があります。
まとめ
人気ランキング一位(?) 最新技術、最適化を全面的に取り入れた高性能なArchベースLinux
Archベースでありながら、初心者でも簡単に低レイテンシ高性能な独自カーネルを使うことができるLinuxディストリビューションです。ゲーミング用途に最適化されたHandheld Editionもあり、多種多様な用途に対応しています。
正直Arch LinuxのGUIバージョンとしてしか認識していなかったのですが、急に今後のサブ機のOS候補一位に躍り出てきました。Hitランキング1位も納得です。
明日は超軽量Linux Puppy Linuxを紹介していきます。






















