私はモバイルエンジニアなので、iOS開発をする場合は Xcode、Android は AndroidStudio を使っていますが、それ以外の開発は Neovim を使っていました。
しかし、今年(2026年)の1月から、メインエディタを Neovim から Emacs に変えて作業をしています。
今回は、Emacs を3ヶ月使って感じた感想や課題について紹介します。
開発環境
前提として、開発環境を紹介します。
- macOS
- Emacs For Mac OS X
- Emacsの設定- GitHub
- Terminal: WezTerm
移行のきっかけ
メインエディタを Neovim から Emacs に変えたきっかけは主に3つあります。
- AIの登場
- 歴史的なエディタへの興味
- 再チャレンジ
AIの登場
この理由が最も大きいです。
AIの登場により、我々はコードを書くよりも、プロンプトを書くことが多くなりました。
このとき、Neovimでプロンプトを作成するのはそこまで大きな問題ではないのですが、NormalモードからInsertモードへ移動するのが少しだけ煩わしいと感じました。

https://cs61a.org/articles/vim/
Vimのモーダルな機能は素晴らしいと思っており、コードを書く際に画家のように書くことができるのが魅力だと思っているので、これはこれで良いのですが、プロンプトのような自然言語を長く書き続ける場面には、モード切り替えのないEmacsの方が自分には合っていると感じました。
歴史的なエディタへの興味
Emacsという名前が生まれてから、2026年で50年になります。現在主流のGNU Emacsでも、1985年の登場から40年以上の歴史があります。
これだけ長い歴史を持つエディタに、純粋な興味がありました。
- なぜ50年も使われ続けているのか
- なぜコアなファンが未だに多いのか
しかも、Emacsは「過去の遺産」ではありません。2024年にはEmacs 29.x系がリリースされ、tree-sitterによるシンタックスハイライトやネイティブコンパイルなど、モダンな機能が積極的に追加されています。開発は今も活発に続いています。
再チャレンジ
実は過去にEmacsを使っていたことがあります。
ちょうど一年ほど前に入れてみて、Evil を使ってVimライクにEmacsを使ってみようと思いました。
しかし、うまく使いこなせず、結局 Neovim に戻った経緯があります。
しかし、AIが発達し、わからないことをもっと聞きやすくなった今であれば、使いこなせるのではないかと思い、リベンジ的な意味も込めて使ってみようと思いました。
3ヶ月使ってみて、よかったところ
GUI/TUI どちらでも使える柔軟さ
私が使っている Emacs は
- GUI
- ターミナル
どちらでも使えます。
この記事を執筆しているときは主にTUI版を使っていますが、メモやタスク管理、また気分転換にGUI版を使うこともあります。
左がGUI、右がターミナル(WezTerm)で開いたEmacsです。
カスタムによっては、どちらも VSCode や Cursor のように、ファイルツリーを表示することもできますが、Emacs 特有の "Dired" という機能が個人的に好きなので、非表示にしています。
Diredは、ディレクトリの中身をバッファとして開き、ファイル操作(コピー・移動・削除・リネームなど)をエディタ上で直接行える機能です。ファイルツリーのように常時画面を占有しないので、1つのことに集中でき、画面を広く使えるのが便利なんですよね。
起動のスピード
「Emacsは起動が遅い」という話は有名です。
Neovim では、目の瞬きよりも早く起動することがある種目標になっている人も多いと思います。まさに、思考のスピード。
しかし、Emacsも起動は早くできます。GUI版はアプリを起動するのでVimには敵いませんが、TUI版であればdaemonを使うことで、Vimに匹敵する起動速度を実現できます。
Emacs daemon とは?
Emacs daemon は、一言で言うと、Emacs をバックグラウンドで常駐させる仕組みです。
通常の場合、ターミナル上でEmacsを起動するには、
emacs
emacs --nw # ターミナルで起動する場合
と入力しますが、これは毎回「新しくEmacsを起動」するため、
- 初期化
- プラグイン読み込み
が走って起動が遅くなります。
daemonを使うと、最初に1度だけサーバーを起動し、その後はクライアントで接続するだけなので、起動がほぼ一瞬になります。
実際の運用として、私はターミナル起動時にdaemonを起動し、普段は emacsclient で開くようにしています。
emacs --daemon # 初期起動
emacsclient -c # サーバーからEmacsを起動
これで、「Emacsは遅い」という問題は気にならなくなり、スムーズに開発をすることができました。
Org-modeが想像以上に良い
Org-mode とは、テキストベースの情報管理ツールです。
ここでは解説しきれないほど、さまざまなことを扱うことができます。
- タスク管理
- メモ
- スケジュール管理
- ドキュメント作成
- グラフや表の作成
- 文芸的プログラミング
私はまだこのモードを、タスク管理とメモにしか扱えていませんが、いつでもEmacsが起動していれば、タスクやメモを記述することができるので、とても便利です。
また、コードブロックを実行することができるのもポイントです。
自由度の高いJupyterNotebookだと思うと良いかもしれません。
辛かったところ・課題感
スターターキットが弱い
Neovimには、
- LazyVim
- NvChad
のような、「最初から完成された環境」があります。
一方、Emacsは自分で組み立てることが多いです。
Doom Emacsという選択肢もありますが、私にはあまり刺さらなかったです。
なぜなら、GNU Emacs らしさを求めていたので。
モダンなUIは少なめ
見た目やアニメーションなどは、Neovimの方が圧倒的に現代っぽい感じがします。
Emacsは良くも悪くもクラシックな印象を私は感じました。
TUI ツールとの相性
Emacs内のターミナルで、Claude Code やその他のTUIツールを使おうとすると、表示が崩れることが多くあります。
おま環の可能性が高いですが、これはちょっとストレスです。
しかし、この問題は標準のターミナルを使えば解決するので、WezTermをTmuxなどで画面分割して、左でEmacs、右でClaude Codeを使うなどをして、問題を解決しています。
ユーザーの少なさ
Neovimに比べて、コミュニティは小さく、活発ではないと感じています。
しかし、RedditのEmacsコミュニティにはコアなファンが多く、活動が活発なので、質問や疑問はそこに投稿するようにしています。
今後やりたいこと
Emacs プラグインを作成する
まず1つ作ってみましたが、もう少し大きなプラグインを作成したいと思っています。
Emacs 中心の生活に寄せる
現在は、ターミナルを中心に生活をしているので、Emacsを中心とした生活をできるようにしてみたいと思っています。
まずは、Google検索をEmacs上で行いたいと思っています。
まとめ
3ヶ月ほどEmacsを使ってみて、良い印象を受けたエディタでした。引き続き使っていきたいと思っています。
かつてEmacsは「ハッカーの、ハッカーによる、ハッカーのためのエディタ」と言われてきました。カスタマイズ性に優れている反面、そのままでは使いにくく、初心者には敷居の高いエディタであることは確かです。
しかし、現在はAIを使って最低限のセットアップをすることも可能な時代です。興味があれば、ぜひ試しに使ってみてください。
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