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iOSAdvent Calendar 2023

Day 16

Redux for iOS App

Last updated at Posted at 2023-12-15

はじめに

業務でReduxを採用した案件に携わってだいぶ時間も経ったため、アウトプットとして書いていきます。
本記事では、iOSアプリ開発におけるReduxアーキテクチャの開発の基本について解説します。

Reduxとは

Reduxとは、そもそもReact.jsでstate(状態)を管理をするためのフレームワークです。
iOSではReduxを実現するために使用されるライブラリとして、ReSwiftがあります。今回はReSwiftを題材として説明を進めます。

Reduxの利点

個人的に上げる利点は以下の2つです。

  • 一貫性のある状態管理
  • 単一方向のデータフロー

アプリケーションの状態を一つのStoreで管理するため、一貫性が保たれます。
また、アプリケーション内でのデータの流れが単一方向であるため、データフローがシンプルで理解しやすくなります。
これにより、デバッグやテストが容易になります。

Reduxの基本概念

Reduxには以下の3つの原則が存在します。

  • Single source of truth / 信頼できる唯一の状態
  • State is read-only / 状態はイミュータブル
  • Changes are made with pure functions / 純粋関数

Single source of truth / 信頼できる唯一の状態

Redux では各状態のインスタンスがあちこちに分散することなく、アプリケーション全体の状態を単一のオブジェクトツリーで管理します。
この状態のオブジェクトツリー(図 9.2)を State と呼びます。State は関数を所有しないデータのみで表現されるシンプルなオブジェクトで構成されます。

image.png
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State is read-only / 状態はイミュータブル

ReduxではStateを直接変更することはできません。
では、どのようにして State の変更を行えばよいのでしょうか。
State の変更 は Action がディスパッチを介して Reducer のみ実行できるように制約されています。
図 9.3 では Reducer による State の変更手続きを示しています。
Reducer は現在の State とディスパッチされた Action の2つを入力に受け、新しい State を 出力する関数です。
現在の State はイミュータブルであるため値の変更を行わず、現在の State のコピーを作ります。
Reducer に記述されたビジネスロジックの実行結果をコピーした State に適用し、新たな State として出力します。このように Reducer では State の変更を実施しています。
image.png
2

Changes are made with pure functions / 純粋関数

新たな State の作成を担う Reducer は 関数として表現します。
ここでいう関数とは、オブジェクト指向なクラスやメソッドによる記述ではなく、Reducer 自身が関数(Reducer 関数) として記述されます。
さらに、その関数は 純粋関数であることが求められます。
つまり、Reducer関数の中で新たなStateを作って返すという処理になります。
image.png
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純粋関数とは

純粋関数は以下の特徴を持った関数です。

  • 与えられた要素や関数外の要素を変化させない
  • 戻り値以外の出力を行わない
  • 取り扱うすべての要素が引数として宣言されている
  • 入力に対して出力が常に一意である(同じ入力には常に同じ出力を返す)

以下のコードが簡単な純粋関数の例です。

// 純粋関数の例:引数として与えられた整数を2倍にして返す関数
func doubleValue(_ value: Int) -> Int {
    return value * 2
}

// 使用例
let number = 5
let doubledNumber = doubleValue(number)
print(doubledNumber) // 出力: 10

Reduxの概念図

ここまでの話をまとめると以下の図のようになります。

  1. ユーザーの入力をもとにActionを作成
  2. ActionをStoreへDispatch(送信)する
  3. ActionをもとにReducerがStateを更新
  4. StateをもとにUIを更新
    redux_date_flow.gif
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Stateの定義

アプリケーションの状態を表すStateを定義します。Stateはイミュータブルなデータ構造として表現され、アプリケーション全体の状態を保持します。

この例では、AppStateという構造体を定義しています。
AppStateはStateTypeプロトコルに準拠しており、counterというプロパティを持っています。
ReSwiftの機能であるStateTypeを使うと、アプリ側でReduxのStateとして扱うことができます。

struct AppState {
    var count: Int = 0
}

Actionの定義

この例では、IncrementActionとDecrementActionという2つのActionが定義されています。これらのアクションは、カウンターの値を増やすか減らすために使用されます。

extension AppState {
    struct IncrementAction: Action {}
    struct DecrementAction: Action {}
}

Reducerの定義

この例では、appReducerというレデューサー関数が定義されています。
関数は2つのパラメーターを受け取ります:ActionとStateです。
Stateは現在のアプリケーションのステートを表し、Actionは発行されたアクションです。

Reducerの定義内では、switch文を使用してアクションの種類を判別し、それに応じたステートの変更を行います。
この例では、IncrementActionが発行された場合はcounterを1増やし、DecrementActionが発行された場合はcounterを1減らします。

最後に、変更されたステートを返しています。

このようにReducerを作成することで、Actionに応じてStateが変化し、アプリケーションの状態が管理されます。

func appReducer(action: Action, state: AppState?) -> AppState {
    var state = state ?? AppState()

    switch action {
    case is AppState.IncrementAction:
        state.count += 1
    case is AppState.DecrementAction:
        state.count -= 1
    default: break
    }

    return state
}

Storeの定義

Storeはシングルトンパターンで実装します。
シングルトンで実装することで、アプリ内部で唯一のStoreであることが保証されます。
このシングルトンで実装されたStoreを使ってStateをViewで参照したり、UIイベントが発生した時にActionをdispatchします。

final class AppStore {
    static let shared = AppStore()

    let store: Store<AppState>

    private init() {
        store = Store<AppState>(reducer: appReducer, state: nil)
    }
}

Viewでの使い方

こちらがViewへの適応例です。
incrementButtonとdecrementButtonの2つを画面に配置します。
これらのボタンを押すと、Stateで保持しているcountプロパティを増減させることができます。

incrementButton.rx.tap
    .subscribe(onNext: { [weak self] _ in
            guard let self = self else { return }
            store.dispatch(AppState.IncrementAction())
            self.counterLabel.text = "\(store.state.count)"
        })
        .disposed(by: disposeBag)

decrementButton.rx.tap
    .subscribe(onNext: { [weak self] _ in
            guard let self = self else { return }
            store.dispatch(AppState.DecrementAction())
            self.counterLabel.text = "\(store.state.count)"
        })
        .disposed(by: disposeBag)

例えば、incrementButtonが押されたときは以下のような挙動をします。

  • incrementButtonが押されると、IncrementActionを発行
  • IncrementActionが発行されると、Reducerが呼ばれてReducerが新たなStateを生成
  • Reducerが呼ばれることで、Stateのcountプロパティの値が1増える

まとめ

本記事では、iOSアプリ開発におけるReSwiftを利用したReduxアーキテクチャの開発の基本について解説しました。

GitHubにもサンプルコードを置いているので、興味のある方はぜひ覗いてみてください!

他のアーキテクチャと比較しても学習コストが大きいReduxですが、一貫性のある状態管理と単一方向のデータフローを実現できるかなり強力なアーキテクチャなので、Reduxの導入を考えている方に参考になれば幸いです。

  1. iOS設計パターン入門 p168

  2. iOS設計パターン入門 p169

  3. iOS設計パターン入門 p170

  4. https://redux.js.org/tutorials/fundamentals/part-1-overview

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