TL;DR
- Copilot Creditsは、Microsoftの一部のAIワークロードで使う共通の利用単位
- クレジットは原則としてテナント単位で共有される
- 従量課金は1クレジット0.01米ドル。P3による1年間の事前購入も選べる
- 消費量は単純なリクエスト回数ではなく、モデル、実行時間、コンテキスト、ツール利用などで変動する
- Microsoft 365 Copilotの利用者向けライセンスに含まれる機能と、追加クレジットの対象は分けて考える
- 導入前の見積もりより、小規模な実測から月間消費量を推定するほうが再現性が高い
本記事は、Microsoft Copilot Credits Guide, August 2026の内容を、日本語で技術担当者向けに整理したものです。実環境での負荷試験結果ではなく、同ガイドに記載された課金条件と計画用レンジの解説です。
対象範囲と前提
対象資料
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資料名 | Microsoft Copilot Credits Guide |
| 版 | August 2026 |
| 価格表記 | 米ドル |
| 対象 | Copilot Creditsを利用するMicrosoftのAIワークロード |
本記事では、個別テナントの契約、為替、税、販売パートナー固有の条件は扱いません。価格や対象サービスは変更される可能性があるため、最終判断には最新の公式資料と契約条件が必要です。
Copilot Creditsの基本モデル
Copilot Creditsは、利用量ベースのAIワークロードを横断して扱う共通単位です。原則としてテナントレベルでプールされるため、個々のユーザーが独立した残高を持つモデルではありません。
管理上は、次の3点を分ける必要があります。
- どのサービスがクレジットを消費するか
- 1回の処理が何クレジットになるか
- テナント全体で月に何回実行されるか
概算式は次のように表せます。
月間クレジット = Σ(ワークロードごとの平均消費量 × 月間実行回数)
従量課金の単純な概算は次のとおりです。
月間料金(米ドル) = 月間クレジット × 0.01
たとえば、平均200クレジットの処理を月500回実行する場合、10万クレジット、単純計算で1,000米ドルです。これは計算例であり、実測値や請求額を示すものではありません。
購入方法
Pay-as-you-go
従量課金は、実際に消費した分を月次で支払う方式です。ガイド記載の単価は1クレジット0.01米ドルです。
利用量が不明な検証段階では扱いやすい一方、利用者や実行回数が急増すると費用も増加します。利用上限、アラート、部門別のモニタリング方針を事前に設計する必要があります。
P3による事前購入
P3は、1年間分のクレジットを前払いする方式です。購入量に応じて割引率が設定されています。
| 購入クレジット | 割引率 |
|---|---|
| 300,000 | 5% |
| 1,500,000 | 6% |
| 3,000,000 | 7% |
| 15,000,000 | 8% |
| 30,000,000 | 10% |
| 75,000,000 | 12% |
| 150,000,000 | 14% |
| 225,000,000 | 17% |
| 300,000,000 | 20% |
未使用分は契約期間後に失効します。したがって、比較すべきなのは単価だけではありません。
実効単価 = 事前購入額 ÷ 実際に使用できたクレジット数
割引率が高くても利用率が低ければ、従量課金より不利になる可能性があります。
ワークロード別の消費モデル
Cowork
Coworkのクレジット消費量には、使用モデル、実行時間、コンテキスト量、ツール利用などが影響します。
| 処理の規模 | 1タスクあたりの計画用レンジ |
|---|---|
| 軽い処理 | 100〜300 credits |
| 中程度の処理 | 300〜700 credits |
| 重い処理 | 700 credits超 |
これは固定レートではなく、予算計画用の目安です。また、Coworkの利用にはMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要で、Cowork固有の利用権はCopilot Credits自体には含まれません。
Work IQ APIs
Work IQのChat APIとContext APIは、選択モデルや処理内容に応じて消費量が変わります。Tools APIは、ガイド上でAPI呼び出し1回あたり0.1クレジットです。
| アクセス経路 | 追加のAPIクレジット |
|---|---|
| Microsoft 365 Copilot内のネイティブなWork IQ利用 | なし |
| 外部からのWork IQ API利用 | あり |
同じWork IQでも、利用経路によって課金境界が異なる点が重要です。
Copilot Studio
Copilot Studioでは、GitHub Copilot harness、Standard harness、Copilot Chat harnessなどが扱われます。GitHub Copilot harnessでは、作成時と実行時の両方がクレジット対象です。
作成時
| 作成の複雑さ | 対話回数 | 計画用レンジ |
|---|---|---|
| 簡単 | 1〜2 turns | 1〜20 credits |
| 中程度 | 3〜5 turns | 21〜60 credits |
| 複雑 | 6 turns以上 | 61 credits以上 |
実行時
| 実行の規模 | 1回あたりの計画用レンジ |
|---|---|
| 軽い処理 | 100〜300 credits |
| 中程度の処理 | 300〜500 credits |
| 重い処理 | 500 credits超 |
BuildやMonitorで手動設定を行うだけなら、クレジットは消費しません。一方、プレビューや評価でエージェントを実行すると、ランタイムと同等に扱われます。開発予算には、本番実行だけでなくテスト実行も含める必要があります。
Standard harnessとCopilot Chat harnessについては、認証済みのB2EシナリオでMicrosoft 365 Copilotユーザーが利用する場合、ガイド記載のレートが適用されない条件があります。実際の構成で適用条件を確認してください。
Dynamics 365とPower Platform
Dynamics 365やPower Platformでも、AIまたはエージェントによる呼び出しがCopilot Creditsを消費する場合があります。製品名だけで一律に判断せず、利用する機能と呼び出し経路単位で課金対象を確認する必要があります。
Microsoft 365 Copilotライセンスとの境界
Microsoft 365 Copilotの利用者向けサブスクリプションには、引き続き次のような機能が含まれます。
- Copilot Chat
- Microsoft 365アプリ内のCopilot体験
- Microsoftが提供するエージェント
- ネイティブなWork IQグラウンディング
- 複数のAIモデルへのアクセス
Copilot Creditsはこれらを全面的に置き換えるものではありません。変動負荷の高いAI作業、外部API、追加エージェントの作成・実行などを、利用量に応じて管理するための課金レイヤーです。
「Microsoft 365 Copilotライセンスを持っているか」だけでは課金の有無を判断できません。ライセンス、アクセス経路、実行するワークロードの3点をセットで確認します。
導入時の見積もり手順
再現可能な見積もりにするには、次の順番で計測します。
- 対象ワークロードを1つに限定する
- 代表的な軽・中・重のタスクを定義する
- 少人数で各タスクを複数回実行する
- Microsoft 365管理センターで消費量を取得する
- タスク別の平均値とばらつきを記録する
- 月間実行回数を掛け、予備分を加える
- 従量課金とP3の実効コストを比較する
平均値だけでなく、最大値や95パーセンタイル相当の大きな処理も把握すると、予算超過のリスクを見積もりやすくなります。
制約と確認事項
- 本記事のレンジはガイド記載の計画値であり、実測ベンチマークではない
- 実際の消費量はモデル、入力、実行時間、コンテキスト、ツールなどで変動する
- 米ドル価格を日本円の請求額へ単純換算できない場合がある
- サービス、レート、ライセンス条件は更新される可能性がある
- 正式な契約条件がガイドや本記事の説明より優先される
購入経路として、Microsoftパートナー、Sales Online、Microsoft Onlineが案内されています。契約前には、利用するテナントと構成を前提に、最新の料金表とライセンス条項を確認してください。
参考資料
- Microsoft Copilot Credits Guide, August 2026