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問題
定数変化法を使を用いて,以下の微分方程式の一般解を求めよ.
\begin{align}\tag{1}
y^\prime +\frac{2y}{x} = 4x.
\end{align}
⚠ 本日の微分方程式(16日目)と同じ微分方程式です.解法だけ異なります.
ポイント
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一階線形微分方程式 $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)$ の 定数変化法 での解き方は次のとおりです.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
- 具体的には,任意定数を $C$ として,$y(x) = Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ となる.
- STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
- STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
- STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
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一階線形微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.
解説
ポイントに記載の手順通り進めていきます.
STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(変数分離形)の一般解を求める.
本問において,右辺 $=0$ とおいた微分方程式を解けば良いわけです.つまり,解くべき微分方程式は次の通りです.
\begin{align}\tag{2}
y^\prime +\frac{2y}{x} = 0.
\end{align}
変数分離形ですので,サクッと求めてしまいましょう.
一応計算過程は丁寧に書いておきますが,18日目まで全問解いてきたような方は,暗算で $y=Cx^{-2}$ としていただいて構いません.
\begin{align}\tag{3}
y^\prime &= -\frac{2y}{x},\\
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -\frac{2y}{x},\\
\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -\frac{2}{x},\\
\int\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= -\int \frac{2}{x}\mathrm{d}x,\\
\int\frac{1}{y}\mathrm{d}y &= -\int \frac{2}{x}\mathrm{d}x,\\
\log|~y~| &= -2\log|~x~| + C_1~~~(C_1:任意定数),\\
\log|~y~| &= -\log|~x~|^2 + C_1,\\
\log|~y~| &= -\log x^2 + C_1,\\
|~y~| &= e^{-\log x^2 + C_1},\\
|~y~| &= e^{C_1}e^{-\log x^2},\\
|~y~| &= e^{C_1}\left\{e^{\log x^2}\right\}^{-1},\\
|~y~| &= e^{C_1}\left(x^2\right)^{-1},\\
y &= \pm e^{C_1}x^{-2},\\
\therefore y &= Cx^{-2}~~~(C\neq 0).
\end{align}
式(2)に代入して確認できるように,$y=0$ も解なので,式(3)の結果において $C=0$ とみることで,同次線形方程式の解は,
\begin{align}\tag{4}
\therefore y &= Cx^{-2}~~~(C:任意定数).
\end{align}
STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
式(4)において,定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換えたものは,
\begin{align}\tag{5}
\therefore y &= C(x)x^{-2},
\end{align}
と書くことができます.両辺を $x$ で微分すると,
\begin{align}\tag{6}
\therefore \frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-2}-2C(x)x^{-3},
\end{align}
を得ます.ここで,右辺では積の微分公式 $\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ を用いました.
STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
式(5)と式(6)を,式(1)に代入すると,次のようになります.
\begin{align}\tag{7}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-2}-2C(x)x^{-3} +\frac{2\times C(x)x^{-2}}{x} &= 4x,\\
\therefore \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-2} &= 4x.\\
\end{align}
このように,定数変化法では,代入操作時にキャンセルが発生します(明後日の証明で確かめましょう).
STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
最終的に得られた微分方程式は,親の顔より見た変数分離形です.これもまたサクッと解いていきましょう.
\begin{align}\tag{8}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-2} &= 4x.\\
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x} &= 4x^3,\\
\int \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= \int 4x^3\mathrm{d}x,\\
\int \mathrm{d}C(x) &= \int 4x^3\mathrm{d}x,\\
\therefore C(x) &= x^4+C_2~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
よって,これを式(5)に代入することで一般解が求まります.
\begin{align}\tag{9}
y&=\left(x^4+C_2\right)\times x^{-2},\\
\therefore y&=x^2+\frac{C_2}{x^2}~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
【参考】 Wolframalpha
非常に便利なので皆さん積極的に使っていきましょう.