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問題
定数変化法を使を用いて,以下の微分方程式の一般解を求めよ.
\begin{align}\tag{1}
y^\prime +\frac{4y}{x} = \sin2x.
\end{align}
⚠ 本日の微分方程式(17日目)と同じ微分方程式です.解法だけ異なります.
ポイント
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一階線形微分方程式 $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}+P(x)y=Q(x)$ の 定数変化法 での解き方は次のとおりです.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
- 具体的には,任意定数を $C$ として,$y(x) = Ce^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ となる.
- STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
- STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
- STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
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STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(同次線形方程式)の一般解を求める.
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一階線形微分方程式については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.
解説
ポイントに記載の手順通り進めていきます.
STEP1. $Q(x)\equiv 0$ とおいた微分方程式(変数分離形)の一般解を求める.
本問において,右辺 $=0$ とおいた微分方程式を解けば良いわけです.つまり,解くべき微分方程式は次の通りです.
\begin{align}\tag{2}
y^\prime +\frac{4y}{x} = 0.
\end{align}
変数分離形ですので,サクッと求めてしまいましょう.
一応計算過程は丁寧に書いておきますが,19日目まで全問解いてきたような方は,暗算で $y=Cx^{-4}$ としていただいて構いません.
\begin{align}\tag{3}
y^\prime &= -\frac{4y}{x},\\
\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -\frac{4y}{x},\\
\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= -\frac{4}{x},\\
\int\frac{1}{y}\frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= -\int \frac{24}{x}\mathrm{d}x,\\
\int\frac{1}{y}\mathrm{d}y &= -\int \frac{4}{x}\mathrm{d}x,\\
\log|~y~| &= -4\log|~x~| + C_1~~~(C_1:任意定数),\\
\log|~y~| &= -\log|~x~|^4 + C_1,\\
\log|~y~| &= -\log x^4 + C_1,\\
|~y~| &= e^{-\log x^4 + C_1},\\
|~y~| &= e^{C_1}e^{-\log x^4},\\
|~y~| &= e^{C_1}\left\{e^{\log x^4}\right\}^{-1},\\
|~y~| &= e^{C_1}\left(x^4\right)^{-1},\\
y &= \pm e^{C_1}x^{-4},\\
\therefore y &= Cx^{-4}~~~(C\neq 0).
\end{align}
式(2)に代入して確認できるように,$y=0$ も解なので,式(3)の結果において $C=0$ とみることで,同次線形方程式の解は,
\begin{align}\tag{4}
\therefore y &= Cx^{-4}~~~(C:任意定数).
\end{align}
STEP2. 定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換え,一般解の両辺を微分する.
式(4)において,定数 $C$ を,$x$ の関数 $C(x)$ で置き換えたものは,
\begin{align}\tag{5}
\therefore y &= C(x)x^{-4},
\end{align}
と書くことができます.両辺を $x$ で微分すると,
\begin{align}\tag{6}
\therefore \frac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-4}-4C(x)x^{-5},
\end{align}
を得ます.ここで,右辺では積の微分公式 $\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ を用いました.
STEP3. 元の微分方程式に,STEP2で得た結果を代入し, $C(x)$ と $x$ についての微分方程式を得る.
式(5)と式(6)を,式(1)に代入すると,次のようになります.
\begin{align}\tag{7}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-4}-4C(x)x^{-5} +\frac{4\times C(x)x^{-4}}{x} &= \sin2x,\\
\therefore \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-4} &= \sin2x.\\
\end{align}
このように,定数変化法では,代入操作時にキャンセルが発生します(明日の証明で確かめましょう).
STEP4. $C(x)$ を求め,一般解 $y(x) = C(x)e^{-\int P(x)\mathrm{d}x}$ を得る.
最終的に得られた微分方程式は,親の顔より見た変数分離形です.これもまたサクッと解いていきましょう.
\begin{align}\tag{8}
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}x^{-4} &= \sin2x.\\
\frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x} &= x^4\sin2x,\\
\int \frac{\mathrm{d}C(x)}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x &= \int x^4\sin2x\mathrm{d}x,\\
\int \mathrm{d}C(x) &= \int x^4\sin2x\mathrm{d}x,\\
\therefore C(x) &= -\frac{1}{2}x^4\cos2x+x^3\sin 2x+\frac{3}{2}x^2\cos2x-\frac{3}{2}x\sin2x-\frac{3}{4}\cos2x+C_2~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
よって,これを式(5)に代入することで一般解が求まります.
\begin{align}\tag{9}
y&=\left(-\frac{1}{2}x^4\cos2x+x^3\sin 2x+\frac{3}{2}x^2\cos2x-\frac{3}{2}x\sin2x-\frac{3}{4}\cos2x+C_2\right)\times x^{-4},\\
\therefore y&=-\frac{1}{2}\cos2x+\frac{\sin 2x}{x}+\frac{3\cos2x}{2x^2}-\frac{3\sin2x}{2x^3}-\frac{3\cos2x}{4x^4}+\frac{C}{x^4}~~~(C_2:任意定数).\\
\end{align}
【補足】 瞬間部分積分
最後の式の部分積分は,俗に言う瞬間部分積分と呼ばれるもので暗算しています.
(まともに計算をしても良いのですが,$\LaTeX$ で書くのが面倒だったのもあります.)
\begin{align}
\int f(x)g(x)\mathrm{d}x &= f^{(0)}g^{(-1)}-f^{(1)}g^{(-2)}+f^{(2)}g^{(-3)}-f^{(4)}g^{(-4)}+f^{(5)}g^{(-5)}-\cdots\\
\int x^4\times \sin 2x\mathrm{d}x &=-\frac{1}{2}x^4\cos2x+x^3\sin 2x+\frac{3}{2}x^2\cos2x-\frac{3}{2}x\sin2x-\frac{3}{4}\cos2x +C
\end{align}
詳しくは,ヨビノリさんの動画をご参照ください.
【参考】 Wolframalpha
非常に便利なので皆さん積極的に使っていきましょう.