なんとなく脳トレがてら1日1問解説しようと思っただけです.飽きたらやめます.
これを執筆している本日は日曜日ということで,休憩回です.ちょっと簡単すぎるかもしれませんが,ご了承ください.
問題
微分方程式,
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=f\left( \dfrac{y}{x} \right),
において, $u=\dfrac{y}{x}$ とおくことで,
x=C\exp\left( \displaystyle\int\dfrac{\mathrm{d}u}{f(u)-u} \right)~~~(C\neq 0),
となることを示せ.なお, $x\neq 0, ~f(u)\neq u$ とする.
ポイント
-
$\exp(x)$ とは,$e^x$ のことです.
-
$\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=f\left( \dfrac{y}{x} \right)$ の形の微分方程式は同次形と呼ばれます.
- 同次形については,ヨビノリさんの動画もご参照ください.
- $u$ は $x$ についての関数であることに注意してください.
発想
「示せ」と言われると「何から始めたらいいかわからない」状態になりますよね.
今回の問題を初見で解こうとした際の,とっかかりの発想は次のとおりです.
- 「示せ」と言われている対象が $x$ と $u$ だけで構成されているので,「$y$ を無くせばいいんだな」と予想できます.
- "$u=\dfrac{y}{x}$ とおくことで" と問題文側の司令がありますから,一旦右辺が $f(u)$ になることはわかります.
- 上記より,与式は $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} = f(u),$ と変形できますが,$u, y, x$ と文字が3つ並び,なんだか余計難しくなったように思えます.
- ここで思考が止まっては勿体ないです.どうなるかはわかりませんが,一旦は「微分方程式を $u$ と $x$ だけの式にできないか?」に集中します.
- 右辺はバッチリなので,左辺 $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ を頑張って $\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}$ で置き換えることを考えます. $u=\dfrac{y}{x}$ という関係がありましたから,$\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=...$ を作るために「$y=ux$ の両辺を $x$ で微分してみようかな」と手が動けばベストです.
解説
$u=\dfrac{y}{x}$ とおくと $y=ux$ です.
ここで,両辺を $x$ で微分すると($u$ は $x$ の関数であることに注意しましょう),
\begin{align*}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} &= \dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}\times x + u\times 1=x\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x} + u,
\end{align*}
が得られます.ここで,積の微分 $\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ を用いました.
これらを,問題文で与えられた微分方程式に代入して,
\begin{align*}
x\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x} + u&=f(u),\\
\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{f(u)-u}{x},
\end{align*}
と変形できます.また,問題文より $x\neq 0$ ですから,$x$ は分母にあって問題ありません.
さて,得られた式は $x$ と $u$ についての変数分離形です.問題文より, $f(u)\neq u$ ですから,左辺に $u$ ,右辺に $x$ をまるごと持っていき, $x$ で積分を行いましょう.
\begin{align*}
\dfrac{1}{f(u)-u}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{1}{x},\\
\int\dfrac{1}{f(u)-u}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}x}\mathrm{d}x&=\int\dfrac{1}{x}\mathrm{d}x,\\
\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u&=\int\dfrac{1}{x}\mathrm{d}x,\\
\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u&=\log|~x~| + C_1~~~(C_1: 任意定数),\\
\log|~x~| &= \int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u - C_1,\\
|~x~|&= \exp\left(\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u - C_1\right),\\
|~x~|&= \exp(-C_1)\times\exp\left(\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u\right),\\
x&= \pm\exp(-C_1)\times\exp\left(\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u\right),\\
x&= C\exp\left(\int\dfrac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u\right)~~~(C\neq 0).\\
\end{align*}
解答は以上です.
少しわかりにくいのは,$\exp(a+b) = \exp(a)\times\exp(b)$ の部分と,$C = \pm\exp(-C_1)\neq 0$ の部分でしょうか.
前者は,指数法則 $e^{a+b}=e^a\times e^b$ と全く同じ意味です.$e^{\int\frac{1}{f(u)-u}\mathrm{d}u}$ と書くと小さくて読みにくいので,横につらーっと書く表記法を用いております.
後者は,$y=\pm e^{-x}$ のグラフが, $y=0$ に漸近線をもつことを意味しております.つまり,$x$ が任意の実数をとるとき, $y=\pm e^{-x}$ は $y=0$ を通りません.
$y=\pm e^{-x}$のグラフは,以下のWolframalphaをご参照ください.