なんとなく脳トレがてら1日1問解説しようと思っただけです.飽きたらやめます.
問題
微分方程式,
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=\dfrac{x+y-4}{5x+2y-11},
を変数分離形に帰着させよ(最後まで解かなくて良いです.というか,適当に作問していたら,解を求めるのがとても面倒だなぁと絶望したのが背景です).
ポイント
- そのままでは変数分離は無理そうです.仮に右辺の分母分子を $x$ で割っても,同次形にはならないので詰みです.こういうときは,いい感じに変数変換 を行って,同次形または変数変換形に形を変えていきます.
- 一般に, $aq-bp\neq 0$ の条件で,$\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=f\left( \dfrac{ax+by+c}{px+qy+r} \right)$ の問題は,$(分子)=0, (分母=0)$ の連立方程式の解 $x=\alpha, y=\beta$ を用いて,$x=X+\alpha, y=Y+\beta$ と置換することで,$\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}=f\left( \dfrac{aX+bY}{pX+qY} \right)$ の同次形になります.
- この問題を最終的に解くためには,「変数変換を行い与式を同次形に変形する」→「変数変換を行い同次形を変数分離形に変形する」→「微分方程式を解く」→「置換をもとに戻して整理する」の4ステップからなります.
- めんどいですが,これまでの内容を総復習するような良い問題ですので,余裕のある方は解いてみましょう(自分も時間があれば後日加筆します).
解説
STEP1 変数変換を行い与式を同次形に変形する
同次形に帰着させるために,与式右辺の $(分子)=0, (分母=0)$ の連立方程式の解を求めましょう.
$aq-bp=1\times 2-1\times 5=-3\neq 0$ですから,連立方程式の解 $x=\alpha, y=\beta$ を用いて,$x=X+\alpha, y=Y+\beta$ と置換することで,$\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}=f\left( \dfrac{aX+bY}{pX+qY} \right)$ の同次形になります.実際に確かめてみましょう.
さて,今回の問題においては,
\begin{align*}
\left\{
\begin{aligned}
& x+y-4 = 0, \\
& 5x+2y-11 = 0,
\end{aligned}
\right.
\end{align*}
を解いて,$x=1, y=3$ を得ます.よって,$x=X+1, y=Y+3$ と置換して,同次形に落とし込みましょう.与式は,
\begin{align*}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{(X+1)+(Y+3)-4}{5(X+1)+2(Y+3)-11},\\
\therefore \dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}&=\dfrac{X+Y}{5X+2Y},
\end{align*}
と書き換えることが出来ます.
さて,まだやり残したことがありますね.左辺 $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}$ は $x$ と $y$ の関係式のままでした.これを $X$ と $Y$ で記述するのが目的です.結果を先に述べてしまうと $\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x} = \dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}$ となり,$x$ を $X$ に, $y$ を $Y$ に置き換えたものそのままです. $x=X+1, y=Y+3$ より, $\mathrm{d}x=\mathrm{d}X, \mathrm{d}y=\mathrm{d}Y$ で置き換えるんだなぁと簡単に解釈してもいいですし,より厳密には,
\begin{align*}
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}x}=
\dfrac{\mathrm{d}y}{\mathrm{d}Y}\times
\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}\times
\dfrac{\mathrm{d}X}{\mathrm{d}x}=1\times\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}\times1=\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X},
\end{align*}
という連鎖律を用います.したがって,解くべき微分方程式は,
\begin{align*}
\therefore \dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}&=\dfrac{X+Y}{5X+2Y},
\end{align*}
と求めることが出来ます.
さて,これまでの作業の目的を思い出しましょう.ここで行いたいのは,与えられた微分方程式を同次形に帰着させることでした.
やりましたね.目的は実質達成済みです.なぜならば,右辺の分母・分子を $X$ で割ると,
\begin{align*}
\therefore \dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X}&=\dfrac{1+\dfrac{Y}{X}}{5+2\dfrac{Y}{X}},
\end{align*}
と書くことができるためです.よって,与式を同次形に帰着することが出来ました.
STEP2 変数変換を行い同次形を変数分離形に変形する
同次形を解くには,$u=\dfrac{Y}{X}$ とおいて変形するのがお約束です. これを整理した $Y=uX$ の両辺を $X$ で微分することで($u$ は $X$ の関数であることに注意しましょう),
\begin{align*}
\dfrac{\mathrm{d}Y}{\mathrm{d}X} &= \dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X}\times X + u\times 1=X\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} + u,
\end{align*}
が得られます(同次形のときは毎回この式が登場するので,ここまでの流れは暗記してもまぁ大丈夫です.).ここで,$\left(f(x)g(x)\right)^\prime = f(x)^{\prime}g(x)+f(x)g(x)^{\prime}$ ,「積の微分」と呼ばれるものを用いました.
上記を,STEP1で最終的に得た微分方程式に代入して整理すると,
\begin{align*}
X\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} + u&=\dfrac{1+u}{5+2u},\\
X\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} &=\dfrac{1+u}{5+2u}-u,\\
X\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} &=\dfrac{1+u}{5+2u}-\dfrac{5u+2u^2}{5+2u},\\
X\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} &=\dfrac{-2u^2-4u+1}{5+2u},\\
\therefore \dfrac{5+2u}{-2u^2-4u+1}\dfrac{\mathrm{d}u}{\mathrm{d}X} &=\dfrac{1}{X},\\
\end{align*}
変数分離形に帰着させることが出来ました.
以降の計算(補足)は,時間的に余裕のあるときに加筆します.
【参考】 Wolframalpha
非常に便利なので皆さん積極的に使っていきましょう.