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学生がつくる超小型衛星の難しいところ・大変なところ ~とある学生の目線から~

Last updated at Posted at 2023-12-11

この記事はCanSatチームFUSiONのアドベントカレンダー2023 10日目(12月12日)の記事です.

20231205_185547.jpg
追加メンバー募集をそろそろはじめると思います.
衛星をやりたい学生は是非とも参加してみてください.

はじめに

お久しぶりです.ねこです.
初めての方は是非こちらも見てください!!
 →超小型衛星の通信・地上局系って何やるの?

先日は名古屋大学で開かれたUNISECWORKSHOP 2023に参加してきました!!
様々な活動をしている団体と交流ができ,とても楽しい時間でした!!
DSC_3372.JPG
当日の名古屋大学の写真(会場はここではなく,他の棟)

DSC_3377.JPG
FUSiONもポスター掲示をさせていただきました!!(左に少し写っているのはFUSiON代表)

さて,近況報告も済んだところで今回の記事の本題に入っていこうと思います.
今回の記事のタイトルは
「学生がつくる超小型衛星の難しいところ・大変なところ ~とある学生の目線から~」 です.
当初は地上局システムで書こうと思っていたのですが少しニッチが過ぎるというところと,
いろいろと思うところがあったのでこのタイトルに急遽変更しました.
(急な思いつきで下書きをほぼ台無しにしてしまった)
需要があればいろいろと付け足して公開するかもしれませんが.....需要ってあるんですかね?

この記事について

ごめんなさい
なんか偉そうなタイトルで申し訳ございません.
これ以外にいい感じのタイトルが思いつきませんでした....

この記事は自分が超小型衛星の開発や運用で感じたことを雑にまとめたものになります.自分は「研究室型」「サークル型」開発のどちらも体験した被験者なのでそのあたりの経験も含めてお話できればないいなーと思っています.

難しいところ・大変なところ

開発体制的な部分と技術的な部分があると思っています.
まずは開発体制的な部分から書きたいと思います.

開発体制

開発体制の分類

最初は分類の説明から簡単に...
研究室型 : 研究室内で開発が行われるもの
サークル型 : サークルとして,研究室外の学生も含めて開発が行われるもの
です.(自分の中ではこの認識)

文面で書かれてもよくわからんになると思うので具体例を...

【研究室型】
中須賀・船瀬研究室とか旧 松永・中条研究室Webサイトなど

【サークル型】
結プロジェクトとか宇宙システム研究会など

どのような体制かというところはそれぞれのWebページで確認してください.
この分類で多分間違ってないよね...?(間違ってたらスミマセン)

それぞれの良いところと悪いところ

自分が感じているそれぞれの良いところと悪いところをまとめます.

開発体制 良いところ 悪いところ
研究室型 ・やる気のある人が多い
・資料が論文として残る
・人が少なくなりがち
・実働可能期間がサークル型と比べて短い
サークル型 ・人によっては実働可能期間が長い
・人が多い
・教育プログラムとしての価値が高い
・やる気が人によってまちまち
・書類が残らない(≒ロステクが起こるリスクが高い)

一番悲惨なのが人が少ないサークル型
以上の観点から難しいところ・大変なところを考えてみました.

難しいところ・大変なところ

研究室型:人の入れ替わりが激しいので引継ぎが大変.1人あたりの平均的なタスク量が多くなりがち

サークル型:資料がのこらないため,引継ぎが不可能.1人あたりの平均的なタスク量は少ないが,やる気や熱量に差があるため結局のところ数人にタスクが偏りがち

全体通して引継ぎになるのかなとは感じます.

技術的な部分

次に技術的な部分です.
まずは開発の方針から....

開発方針

超小型衛星の開発方針としては3つほど

  1. 購入品を組み合わせる
  2. バスなどの重要な部分は購入品,ミッションや技術の習得などを目的とした部分は内製
  3. 全て内製

(*これは完全に分類できるものではなく,0-100%までグラデーションがある.)

それぞれの良いところと悪いところ

それぞれの良いところと悪いところを考えてみました.

開発方針 良いところ 悪いところ
購入品 フライト実績的に有利 ・ブラックボックスだったりするので技術的な知見は得にくい
・高額かつ海外コンポが主流
一部内製 先進的なミッションがやりやすい ミッションだけ失敗する可能性がある
内製 技術力がつく ・開発難易度が高い
・失敗リスクが高い

以上の観点から難しいところ・大変なところを考えてみました.

難しいところ・大変なところ

  1. 購入品を組み合わせる :インターフェース間の整合性を取るのが大変.また,海外製品が主流なので,金額や納期が.....
  2. バスなどの重要な部分は購入品,ミッションや技術の習得などを目的とした部分は内製:購入品の性能によってミッション側に制約がかかる.
  3. 全て内製 :技術的ハードルが高い.時間がかかる.

それぞれで難しいところが異なってくるので,開発体制やスケジュールを見ながら適切な(ここが重要)内製割合を考えていく必要があるのかなと思います.

超小型衛星特有の制約

次に超小型衛星特有の制約についてです.

小さいシステム

超小型衛星は宇宙空間という大型衛星と同じ環境に晒されるにもかかわらず,使用できるリソースがかなり少ないです.
リソースがあれば3重冗長とか合議制を取る事で信頼性を担保できたりしますが,超小型衛星はそうもいきません.
3重にするということはその分システム規模が大きくなります.これによってミッション機器に配分できるリソースが減少したり,そもそも規格に収まらない可能性が出てくる等の問題が発生する場合があります.

難しいところ・大変なところ

この小さいシステムの規模に収めることと信頼性の両立ができるシステムを考えるのがとても難しいです.

リソース

そもそも開発期間や予算等のリソースがあまり豊富ではないことが多いです.
(国プロの衛星のように人手や資金は多くない)
お金のかかる試験も最低限しかできませんし,処理できるタスク総量についても制限事項になります.
欲をかいてシステムの規模を大きく複雑化してしまうとうまくいきません.

マイコンが1つ増えるごとにそれぞれの物理レイヤやソフトウェアのレイヤで設計・検証タスクが生えてくるので,指数関数的に作業が増えます.また,それぞれの検証や作りこみクオリティが下がり,バグや不具合の温床になります.マイコンを増やしたり,冗長を組んだが故に不具合が発生するなんてことも起こりうるのです.

難しいところ・大変なところ

必要なことと必要性の高くないことの分類・把握と,できること敢えてやらないことの決断がとても難しいです.

まとめ

いろいろと書きたいことはありますが,大抵はこれで解決すると思っています.
システムは単純に簡潔に. 必要十分な性能を心掛けましょう.(戒め)
KISSの原則 ~ シンプルに考えるとは ~

おわりに

いろいろと偉そうなことを書いてきましたが,参考になれば幸いです.
(ほぼ8割方個人の感想です.)
学生で衛星作りたいところは,UNISEC ミッションアシュアランスを読みましょう.(学生運営メンバー並感)

FUSiONでは様々な背景や経験を持つメンバーがいるので,やる気のある人は是非とも一緒に活動しましょう!!

以上かねこでした.

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