この記事について
対象読者:Windows 365 クラウド PC を Intune で管理している情シス・エンドポイント管理担当者
この記事でわかること
- デバイス準備ポリシーの [自動](Automatic)モード が Windows 365 で何を解決するのか(メリット)
- 対応している Windows 365 の SKU と前提要件
- Entra グループの作成 → アプリ/スクリプトの割り当て → デバイス準備ポリシー → プロビジョニング ポリシーまでの全体の流れ
- プロビジョニング状況の監視方法と、つまずきやすいポイント
執筆時点:2026 年 9 月
前提:Windows 365 Enterprise / Flex(旧 Frontline)ライセンスと Microsoft Intune が利用できるテナント
本記事は物理 PC 向けの「ユーザー主導(User-driven)」モードではなく、Windows 365 クラウド PC 向けの [自動] モード を扱います。
デバイス準備ポリシー [自動] とは
Windows Autopilot デバイスの準備(通称 Autopilot v2)の一形態で、Windows 365 のプロビジョニング ポリシーに紐づけて使う専用のポリシーです。プロビジョニング ポリシーにデバイス準備ポリシーを含めることで、ユーザーがサインインする前に、Intune の必須アプリとスクリプトがクラウド PC にインストールされている状態を保証します。
自動モードでプロビジョニングできる SKU は次のとおりです。
- 共有モードの Windows 365 Flex
- Windows 365 Enterprise
- 専用モードの Windows 365 Flex
- Windows 365 クラウド アプリ
メリット
1. ユーザーが最初にサインインした時点で「業務可能な状態」になっている
従来、クラウド PC は Intune 登録が終わった時点で プロビジョニング済み としてマークされ、ユーザーは接続できてしまいました。アプリの配信はその後に走るため、初回ログオン直後は「Teams も業務アプリもまだ入っていない」状態になりがちです。
デバイス準備ポリシーを使うと、指定したアプリとスクリプトのインストールが完了するまで Windows 365 側がプロビジョニング完了を待ちます。
2. カスタム イメージの作成・維持から解放される
「必要なアプリをプリインストールしたカスタム イメージ」を自前で作って更新し続ける運用は、イメージの世代管理・更新適用・検証のコストが積み上がります。デバイス準備ポリシーは、ギャラリー イメージ+Intune のアプリ配信という標準構成のまま、カスタム イメージの管理オーバーヘッドを削減**できます。
3. 失敗したクラウド PC をユーザーに渡さない選択ができる
プロビジョニング ポリシー側で [インストールの失敗またはタイムアウト時にユーザーがクラウド PC に接続できないようにする] を有効にすると、準備に失敗したクラウド PC は 失敗 としてマークされ、ユーザーは接続できません。逆にオフにすると 警告付きでプロビジョニング済み となり、ユーザーは接続できます。「半端な状態の端末を配るか / ブロックするか」を運用方針として選べるのがポイントです。
4. アプリ・スクリプト単位のほぼリアルタイムな可視化
自動モードではクラウド PC のセットアップはバックグラウンドで行われ、画面を"覗く"ことができません。その代わり [Windows Autopilot デバイスの準備の展開] レポートで、デバイスごとに展開状態・フェーズ・展開時間、さらに**アプリ 1 本ごと/スクリプト 1 本ごとの状態(インストール済み/進行中/スキップ/失敗)**まで追跡できます。「なぜこの端末だけアプリが入っていないのか」の切り分けが圧倒的に速くなります。
5. 登録時グループ化により、配信が速く・確実
デバイスは登録の瞬間に事前定義のデバイス セキュリティ グループへ追加され、構成がただちに配信されます。動的グループのメンバーシップ評価を待つ従来方式に比べ、アプリ・スクリプト・ポリシーの配信が迅速かつ効率的になります。
6. ポリシーの割り当て運用がシンプル
自動モードのデバイス準備ポリシーには [割り当て] ページがありません。割り当てはクラウド PC プロビジョニング ポリシー作成時に処理されるため、「ポリシーをどのグループに当てるか」の二重管理が発生しません。
全体の流れ
| # | 作業場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | Azure portal(Entra ID) | Windows の自動 Intune 登録(MDM ユーザー スコープ)を設定 |
| 2 | Intune 管理センター(グループ) | 割り当て済みセキュリティ デバイス グループを作成し、所有者に Intune Provisioning Client を設定 |
| 3 | Intune 管理センター(アプリ/スクリプト) | 配信したいアプリと PowerShell スクリプトを 2 のデバイス グループへ割り当て |
| 4 | Intune 管理センター(登録) | デバイス準備ポリシーを [自動] で作成し、アプリ/スクリプトを指定 |
| 5 | Intune 管理センター(Windows 365) | クラウド PC プロビジョニング ポリシーで 4 のポリシーを選択 |
| 6 | Intune 管理センター(監視) | 展開状態を監視 |
【手順 1】Windows の自動 Intune 登録を設定する
すでに Intune の自動登録が構成済みの場合はスキップして手順 2 へ。
- Azure portal にサインインし、Microsoft Entra ID を選択
- 左ペインの [管理] で [モビリティ (MDM および WIP)] を選択
- [名前] で [Microsoft Intune] を選択
-
[MDM ユーザー スコープ] で [すべて] または [一部] を選択
- [一部] の場合は [グループ] のリンクから対象の Entra ユーザー グループを指定
- [保存] を選択
【手順 2】割り当て済みデバイス グループを作成する
動的グループは使えません。
- Microsoft Intune 管理センター にサインイン
- 左ペインの [グループ] → [すべてのグループ] → [新しいグループ]
- 次のとおり設定する
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| グループの種類 | セキュリティ |
| グループ名 | 例)Windows Autopilot デバイス準備デバイス グループ
|
| グループの説明 | 任意 |
| Microsoft Entra ロールをグループに割り当てることができる | いいえ |
| メンバーシップの種類 | 割り当て済み |
| 所有者 |
Intune Provisioning Client(AppId: f1346770-5b25-470b-88bd-d5744ab7952c) |
| メンバー | なし |
注意
- デバイス準備ポリシーで指定するグループは 割り当て済みのセキュリティ デバイス グループである必要があります。動的グループは使用されません。
- テナントによってはサービス プリンシパルの表示名が Intune Autopilot ConfidentialClient になっていることがあります。AppId が
f1346770-5b25-470b-88bd-d5744ab7952cであれば正しいサービス プリンシパルです。 - クラウド PC は展開中に自動でこのグループへ追加されます。手動追加は不要です。
- ユーザー主導シナリオと自動シナリオでデバイス グループは分けることが推奨されています。
Intune Provisioning Client が見つからない場合
一覧にも検索にも出てこない場合は、PowerShell で追加します。
Install-Module Microsoft.Graph.Authentication
Install-Module Microsoft.Graph.Applications
Connect-MgGraph -Scopes "Application.ReadWrite.All"
New-MgServicePrincipal -AppID f1346770-5b25-470b-88bd-d5744ab7952c
【手順 3】アプリと PowerShell スクリプトをデバイス グループに割り当てる
OOBE 中(=ユーザーがサインインしていない状態)に展開できる上限は次のとおりです。
- マネージド アプリケーション:最大 25 個
- PowerShell スクリプト:最大 10 個
公式チュートリアルの「手順 3」および概要ページでは 25 アプリ/10 スクリプト、「手順 4(ポリシー作成)」のページでは アプリは最大 10 個 と記載されており、ドキュメント間で数値に差異があります。実際の上限は管理センターの UI 表示を確認してください。
サポートされるアプリの種類:
- 基幹業務(LOB)アプリ
- Win32 アプリ
- Microsoft Store アプリ(WinGet をサポートするものだけ)
- Microsoft 365 アプリ
- エンタープライズ アプリ カタログ
アプリの割り当て
- Intune 管理センター → [アプリ] → [Windows]
- 対象アプリを選択 → [プロパティ] → [割り当て] の [編集]
- [必須] セクションで [グループの追加] → 手順 2 のデバイス グループを選択
- グループ モードが [含まれている] になっていることを確認
- 該当する場合、インストール コンテキストを [システム コンテキスト] に設定
- [確認 + 保存] → [保存]
PowerShell スクリプトの割り当て
- Intune 管理センター → [デバイス] → [スクリプトと修復] → [プラットフォーム スクリプト]
- 対象スクリプトを選択 → [プロパティ] → [割り当て] の [編集]
- [含まれるグループ] に手順 2 のデバイス グループを追加([除外されたグループ] に入っていないことも確認)
- [確認 + 保存] → [保存]
OOBE 中はユーザーがサインインしていないため、アプリはシステム コンテキストでインストールされるよう構成する必要があります。PowerShell スクリプトは、プロパティの [ログオンした資格情報を使用してこのスクリプトを実行する] を [いいえ] にすることでシステム コンテキスト実行になります。
【手順 4】デバイス準備ポリシーを [自動] で作成する
-
Intune 管理センター → [デバイス] → [プラットフォーム別] の [Windows]
-
[デバイスのオンボーディング] → [登録]
-
[Windows Autopilot デバイスの準備] → [デバイス準備ポリシー]
-
[作成] → [自動] を選択
-
[概要] ページ:[次へ]
-
[基本] ページ:名前・説明を入力 → [次へ]
-
[デバイス グループ] ページ:手順 2 で作成したデバイス グループを検索・選択 → [次へ]
-
[構成設定] ページ:
-
[スコープ タグ] ページ:必要に応じて指定(任意)→ [次へ]
-
[確認と作成] ページ:内容を確認して [保存]
ユーザー主導モードと違い、自動モードのポリシーには展開設定や OOBE 設定のセクションがなく、[割り当て] ページもありません。割り当ては次の手順 5(プロビジョニング ポリシー)で行います。
また、ここで選ぶアプリ/スクリプトは、手順 2 のデバイス セキュリティ グループに割り当て済みである必要があります。
【手順 5】クラウド PC プロビジョニング ポリシーを作成する
-
Intune 管理センター → [デバイス] → [クラウド PC のプロビジョニング]
-
[プロビジョニング ポリシー] → [ポリシーの作成]
-
[全般] ページ
- 名前・説明を入力
- [エクスペリエンス]:[完全なクラウド PC デスクトップにアクセスする]
- [ライセンスの種類]:利用する SKU に合わせて選択
- [結合の種類]:[Microsoft Entra に参加] or [ハイブリッド Microsoft Entra 参加]
- [ネットワーク]:[Microsoft がホストするネットワーク] or [Azure ネットワーク接続]
- [地理]/[地域] を選択、必要に応じて [Microsoft Entra シングル サインオンを使用する] を有効化
-
[イメージ] ページ:任意のイメージを選択
-
[構成] ページ
- [言語 & 地域] を選択
- 必要に応じて [デバイス名テンプレートの適用] を設定
-
[Windows Autopilot] :
- [Autopilot デバイス準備ポリシー] で手順 4 のポリシーを選択
- [デバイスの準備が失敗するまでに許可された分数] に 30〜360 分の値を入力(最小値は 30 分、例:60)
- 必要に応じて [インストールのエラーまたはタイムアウト時、ユーザーによるクラウド PC への接続を防ぐ] を選択
-
[スコープ タグ] ページ:任意
-
[割り当て] ページ
- [グループの追加] で対象のユーザー グループを選択
-
[レビュー と 作成] → [作成]
-
Intune 管理センター → [デバイス] → [すべてのクラウド PC] でクラウド PC がプロビジョニングされるのを待ちます。
-
クラウド PC がプロビジョニングされたら、クラウド PC に接続し、Autopilot デバイス準備ポリシー で構成したアプリやスクリプトがインストールされているか確認します。
展開を監視する
監視は管理センターで行います。
クラウド PC 単位の状態
[デバイス] → [すべてのクラウド PC] の [状態] 列を確認します。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| プロビジョニング | クラウド PC を作成中。まだ使用できない |
| 準備中 | デバイスの準備の構成中。まだ使用できない |
| プロビジョニング済み | 正常に完了し、使用可能 |
| 失敗 | 接続ブロックのオプションが有効で、準備に失敗したため使用できない |
| 警告付きでプロビジョニング済み | プロビジョニングには成功したが、何らかの構成に失敗。使用可能 |
アプリ/スクリプト単位の詳細
[デバイス] → [監視] → レポート一覧の [Windows Autopilot デバイス準備の展開] を開きます。
表示される情報:デバイス名/登録日/デプロイ状態(処理中・成功・失敗)/フェーズ(ポリシーのインストール・スクリプトのインストール・アプリのインストール)/シリアル番号/デプロイ時間/UPN
以下は展開に失敗した例です。

デバイス名を選択すると [デバイス デプロイの詳細] が開き、デバイス情報(Intune デバイス ID、Entra デバイス ID、展開ポリシーとポリシー バージョン、OS バージョン)に加えて、アプリとスクリプトが個別の状態で一覧表示されます。


| 状態 | 意味 |
|---|---|
| インストール済み | 正常にインストール/実行された |
| 進行中 | 実行中 |
| スキップ | ポリシーで選択されているが、ポリシーで指定したデバイス グループに割り当てられていない(またはデバイスに適用されない) |
| 失敗 | インストール/実行に失敗。ログを確認 |
確認ポイントおさらい
- デバイス グループが動的になっている → 割り当て済み(Assigned)のセキュリティ グループでなければ動作しません。
- グループの所有者に Intune Provisioning Client が設定されていない/後から外した → セキュリティ グループのメンバーシップ更新が失敗し、デバイスがコンプライアンスを失う可能性があります。ポリシー構成後にグループを静的→動的へ変更したり、グループを削除したりするのも失敗要因です。
- アプリ/スクリプトをデバイス グループに割り当てていない → レポートで スキップ になります。ポリシーで選ぶだけでは配信されません。
- スクリプトがユーザー コンテキストのまま → [ログオンした資格情報を使用してこのスクリプトを実行する] を [いいえ] に。
参考リンク(Microsoft 公式ドキュメント)
概要・要件
- Windows Autopilot デバイスの準備の概要
- Windows Autopilot デバイスの準備の要件
- クラウド PC で Autopilot デバイスの準備を使用する(Windows 365)
- Windows Autopilot デバイスの準備 - 既知の問題

