現場の日報入力で困っていたこと
移動スーパーの現場では、1日に複数の拠点を順番に訪問しながら販売を行います。
各拠点では、到着時刻・出発時刻・客数などを記録する必要があります。
しかし、販売中は接客、品出し、会計、移動準備などが重なり、細かい記録をその場で残すのは意外と負担になります。
また、通常のレジ記録だけでは、**「どの拠点でいくら販売したのか」**までは正確に分かりません。
時間帯で判定する方法も考えられますが、実際の現場では、各拠点で常に同じ時間に販売を開始・終了できるとは限りません。
道路状況、接客時間、天候、準備や片付けの状況によって、販売時間は日によってずれます。
そのため、売上データだけを見ても、どの販売実績がどの拠点のものなのかを正確に判別することが難しいという課題があります。
さらに、紙ベースで到着時刻・出発時刻・客数などを記録し、業務終了間際にGoogle Sheetsへ転記する作業も発生していました。
そこで今回は、LINE Bot、Make、Google Sheetsを使って、販売員がLINE上で「到着」「客数」「出発」を入力するだけで、拠点別の日報記録がGoogle Sheetsに残るプロトタイプを作りました。
作ったもの
作成したのは、移動スーパーの運行記録をLINEで入力できる日報Botです。
販売員はLINEでBotにメッセージを送り、店舗・コース・担当者を入力したあと、各拠点ごとに以下の操作を行います。
- 到着したら
到着と入力 - 客数を数字で入力
- 出発するときに
出発と入力 - 次の拠点が自動で案内される
- 業務終了時は
終了と入力
※GIFでは全体の動作確認を載せています。細かい画面は以下のスクリーンショットで補足します。
解決したかった課題
移動スーパーでは、1日に複数の拠点を順番に訪問して販売を行います。
しかし、通常のレジ記録だけでは、「どの拠点でいくら販売したのか」までは正確に分かりません。
そのため、拠点ごとの到着・出発・客数を別で記録し、あとから売上データと照らし合わせられる形を目指しました。
時間帯で判定する方法も考えられますが、実際の現場では、各拠点で常に同じ時間に販売を開始・終了できるとは限りません。
例えば、以下のような理由で販売時間は日ごとに変わります。
- 道路状況による遅れ
- 接客時間の長さ
- 天候
- 準備や片付けの状況
- 拠点ごとの利用人数の変動
そのため、レジの売上データだけを見ても、どの販売実績がどの拠点のものなのかを正確に判別することが難しい状態でした。
さらに、紙ベースで記録した内容を、業務終了間際にGoogle Sheetsへ転記する作業も発生していました。
この方法では、次のような無駄やリスクがあります。
- 紙に記録する手間がある
- 業務終了時にGoogle Sheetsへ転記する手間がある
- 転記ミスが発生する可能性がある
- 記録漏れが起きる可能性がある
- リアルタイムに運行状況を確認しづらい
- 拠点ごとの売上分析やコース改善につなげにくい
そこで、LINE Botを使って、販売員が各拠点で**「到着」「客数」「出発」**を入力するだけで、Google Sheetsに記録が残る仕組みを作りました。
LINEで入力された内容をMakeで受け取り、現在の状態に応じて処理を分岐させ、Google Sheetsに記録します。
これにより、各拠点の滞在時間や客数を記録できるだけでなく、将来的にはレジ売上データと組み合わせて、拠点ごとの販売実績をより正確に把握することも目指しています。
使用したもの
| ツール | 役割 |
|---|---|
| LINE公式アカウント / Messaging API | 販売員が入力する画面 |
| Make | LINEからの入力を受け取り、処理を分岐する |
| Google Sheets | 状態管理と日報記録の保存先 |
全体構成
全体の流れは以下のようになっています。
LINEで販売員が入力
↓
MakeのWebhookで受信
↓
Google Sheetsの状態管理シートを確認
↓
入力内容と現在の状態に応じて処理を分岐
↓
記録シートに到着・客数・出発を保存
↓
次に必要な操作をLINEに返信
Makeのシナリオ全体はこのような構成です。
LINEからの入力を受け取り、Routerで状態ごとに分岐し、Google Sheetsへの記録とLINEへの返信を行っています。
主に使ったモジュールは以下です。
- LINEからのWebhook受信
- Routerによる処理分岐
- Google Sheetsの検索
- Google Sheetsの行追加
- Google Sheetsの行更新
- HTTPによるLINEへの返信
Google Sheetsの構成
Google Sheetsでは、主に以下のシートを使っています。
記録シート
各操作の履歴を保存するシートです。
記録する項目は以下のようにしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付 | 記録日 |
| 担当者 | 入力した担当者 |
| 店舗 | 選択・入力された店舗 |
| コース | 曜日コース |
| 拠点順 | コース内の訪問順 |
| 拠点名 | 訪問先の拠点 |
| 処理内容 | 到着記録、客数記録、出発記録など |
| 到着時刻 | 到着を入力した時刻 |
| 出発時刻 | 出発を入力した時刻 |
| 客数 | 入力された客数 |
各拠点での到着・客数・出発を記録することで、単なる日報だけではなく、将来的な拠点分析にも使えるデータとして残せるようにしています。
状態管理シート
LINE Botでは、ユーザーが今どの段階にいるかを管理する必要があります。
そのため、状態管理シートを用意し、現在の状態を記録するようにしました。
たとえば、以下のような状態を持たせています。
| 状態 | 意味 |
|---|---|
| 店舗選択待ち | 店舗名の入力を待っている |
| コース選択待ち | 曜日コースの入力を待っている |
| 担当者選択待ち | 担当者名の入力を待っている |
| 到着待ち | 拠点到着の入力を待っている |
| 客数入力待ち | 客数入力を待っている |
| 出発待ち | 出発入力を待っている |
| 業務終了 | 当日の入力が完了している |
この状態を見ながら、Make側で次に実行する処理を切り替えています。
LINEでの操作イメージ
実際の操作は、できるだけシンプルにしました。
開始
↓
店舗名を入力
↓
曜日コースを選択
↓
担当者名を入力
↓
1拠点目を案内
↓
到着
↓
客数入力
↓
出発
↓
次の拠点を案内
↓
同じ流れを繰り返す
↓
終了
今回のプロトタイプでは、店舗名・担当者名・拠点名などはサンプル表記にしています。
実際の運用では、販売員が迷わず入力できるように、実店舗名や実際の拠点名など、現場で分かる名称を使います。
また、曜日ごとのコースは販売員がその日の運行を選ぶために必要なので、LINE上に表示する形にしました。
工夫したところ
1. 状態管理シートで会話の流れを管理した
LINE Botでは、同じ 到着 という入力でも、今どの状態にいるかによって処理が変わります。
そのため、Google Sheetsに状態管理シートを作り、現在の状態を見ながらMakeで分岐させるようにしました。
これにより、LINE上では自然な会話のように進みますが、裏側では 「次に何を入力すべきか」 を管理できるようになりました。
2. 次の拠点を自動で案内するようにした
出発記録が終わると、現在の拠点順に1を足して、次の拠点をGoogle Sheetsから検索するようにしました。
これにより、販売員が次の訪問先を毎回確認しなくても、LINE上で次の拠点が案内されます。
3. 操作をできるだけ短くした
現場で使うことを考えると、入力が複雑だと続きません。
そのため、基本操作は以下のような短い入力にしました。
到着
客数
出発
終了
販売員が販売中でも迷わず使えることを重視しました。
つまずいたところ
今回てこずったのは、慣れないMakeの仕様に合わせてシナリオを組み立てる部分でした。
特に、Google Sheets側の元シートを変更したあと、その内容がMake側にすぐ反映されない場面があり、原因の切り分けに時間がかかりました。
最終的にはモジュールを作り直すことで反映されましたが、ノーコードツールでも 「どこで情報を持っているのか」 を意識する必要があると感じました。
また、Makeの編集画面では文字が小さく、モジュールの数が増えると全体像を把握しづらくなりました。
モジュールの並び替えや接続の調整も思ったより不便で、処理そのものよりも、画面上で構成を整理する作業に苦労しました。
その分、LINEからの入力、状態管理、Google Sheetsへの記録、LINEへの返信という流れを分解して考える練習になりました。
今後改善したいこと
今回のプロトタイプでは、基本的な日報入力の流れを作ることができました。
今後は、以下のような改善ができると考えています。
- LINEユーザーIDから担当者名を自動取得する
- 担当者ごとに所属店舗を自動判定する
- 店舗マスタや担当者マスタから選択肢を動的に作る
- 到着予定時刻との差分を表示する
- 遅延や早発を自動で判定する
- 欠航や休憩の記録にも対応する
- 売上データと連携して拠点ごとの分析に使う
- コース再編成や運行改善に活用する
特に、将来的には単なる日報入力ではなく、移動スーパーの運行改善や拠点分析につながるデータ基盤として使えるようにしたいです。
また、実運用では誤入力への対応も必要になります。今回のプロトタイプでは、誤入力があった場合は登録し直す運用を想定していますが、今後は直前の入力取り消しや客数の再入力、修正履歴を残す仕組みも検討したいです。
まとめ
今回は、LINE Bot、Make、Google Sheetsを使って、移動スーパーの拠点別日報を記録するプロトタイプを作りました。
販売員がLINEで 到着 客数 出発 を入力するだけで、Google Sheetsに記録が残り、次の拠点も自動で案内されます。
まだプロトタイプ段階ですが、現場での記録漏れや後入力の負担を減らし、将来的にはコース改善や拠点分析にもつなげられる可能性があります。
ノーコードツールを使うことで、現場の小さな困りごとをすばやく形にできることを実感しました。




