macOS 上で
ls -l
を実行すると、たまにパーミッションに@
付きの属性が表示されます。これは何ですか?
$ ls -l
total 0
drwxr-xr-x@ 5 admin staff 160 7 1 2019 Data_Line
lrwxr-xr-x@ 1 admin staff 22 9 5 10:44 Documents -> /Users/admin/Documents
drwxr-xr-x@ 10 admin staff 320 9 21 09:24 Setup Files
drwxr-xr-x@ 6 admin staff 192 9 20 06:06 画像
drwxr-xr-x@ 4 admin staff 128 9 21 09:02 フォント
drwxr-xr-x@ 8 admin staff 256 9 21 09:04 ドライバ
drwxr-xr-x@ 6 admin staff 192 9 21 09:01 ディスクイメージ
# ↑ これ
「mac 拡張属性 変更」でググってみてもまとまった Qiita 記事がなかったので、自分のググラビリティとして。
"@" は拡張ファイル属性
パーミッションの @
は「OS 固有の特殊なファイル属性」が付加されていることを表す記号です。一般的に、拡張属性(Extended Attributes
、略称 xatt
)と呼ばれます。
- 拡張ファイル属性 @ Wikipedia
「ファイルの書込み権限」や「タイムスタンプ」と言った一般的なファイルシステムの属性情報だけでなく、OS 独自の属性も紐付けられているという記号です。
つまり、拡張された属性情報を持ったファイルやディレクトリである、と言う意味になります。そのため、上記は iCloud Drive 内のファイルなので、macOS の特殊な属性が付いているのは理解できます。
では、どのような属性が付加されているのか、「属性名」を確認するだけであれば ls -l@
と @
(アットマーク)付きで ls
すると確認できます。
以下の例では /
(ルートディレクトリ)を ls -l@
すると、いくつかのディレクトリに com.apple.rootless
と言う拡張属性が値ゼロで付加されているのが確認できます。
$ ls -l@ /
total 9
drwxrwxr-x+ 30 root admin 960 9 22 09:31 Applications
drwxr-xr-x 64 root wheel 2048 9 17 22:43 Library
drwxr-xr-x@ 8 root wheel 256 8 11 03:18 System
com.apple.rootless 0
drwxr-xr-x 6 root admin 192 9 5 15:39 Users
drwxr-xr-x 5 root wheel 160 9 22 09:38 Volumes
drwxr-xr-x@ 38 root wheel 1216 8 11 03:39 bin
com.apple.rootless 0
drwxr-xr-x 2 root wheel 64 6 6 08:55 cores
dr-xr-xr-x 3 root wheel 4513 9 22 09:36 dev
lrwxr-xr-x@ 1 root admin 11 9 5 10:19 etc -> private/etc
com.apple.rootless 0
lrwxr-xr-x 1 root wheel 25 9 22 09:37 home -> /System/Volumes/Data/home
drwxr-xr-x 2 root wheel 64 6 6 09:05 opt
drwxr-xr-x 6 root wheel 192 8 11 03:20 private
drwxr-xr-x@ 63 root wheel 2016 9 5 10:25 sbin
com.apple.rootless 0
lrwxr-xr-x@ 1 root admin 11 9 5 10:25 tmp -> private/tmp
com.apple.rootless 0
drwxr-xr-x@ 11 root wheel 352 9 5 10:25 usr
com.apple.rootless 0
lrwxr-xr-x@ 1 root admin 11 9 5 10:25 var -> private/var
com.apple.rootless 0
ちなみに com.apple.rootless
のrootless
属性とは「SIP を無効にしない限り root
権限でも削除できないもの」を示しています。
また、@
以外にも +
の属性もあります。
$ ls -l /Users
total 0
drwxr-x---+ 3 Guest _guest 96 6 17 2023 Guest
drwxrwxrwt 19 root wheel 608 7 17 19:49 Shared
drwxr-xr-x+ 83 keinos staff 2656 8 29 20:19 keinos
drwxr-xr-x+ 19 demo staff 608 12 5 2020 demo
+
(プラス)属性は ACL 付き(アクセス制限された)ファイル/ディレクトリであるという意味です。
併せて読みたい
macOS のファイルの拡張属性を設定/変更/削除する
Linux などでは setfattr
や setxattr
コマンドを使って拡張属性を操作できます。しかし、macOS や BSD などの UNIX 系 OS には setfattr
や setxattr
コマンドがありません。代わりに xattr
コマンドを使います。
xattr
コマンドで、どんな操作ができるか知りたかったので xattr
コマンドのヘルプを日本語に翻訳してみました。いささか「整ってない感」がありますが、原文自体がゴチャゴチャした言い回しであるため、ご了承ください。🙇
TL; DR (今北産業)
- 属性の表示:
-l
(list) - 属性の付与/書き込み:
-w
(write) - 属性の削除:
-d
(delete)
xattr コマンドの日本語訳ヘルプ
XATTR(1) BSD General Commands Manual XATTR(1)
コマンド名
xattr -- Extended Attributes(拡張属性)の表示と操作を行います。
構文
基本構文
xattr [ オプション ] [ フラグ ] [ <属性名> ] [ <属性値> ] <ファイル> ...
1) xattr [-lrsvx] <ファイル> ...
2) xattr -p [-lrsvx] <属性名> <ファイル> ...
3) xattr -w [-rsx] <属性名> <属性値> <ファイル> ...
4) xattr -d [-rsv] <属性名> <ファイル> ...
5) xattr -c [-rsv] <ファイル> ...
6) xattr -h | --help
説明
xattr コマンドを使用すると、拡張された属性を表示、変更、または削除でき
ます。1 つ、または複数のファイル/ディレクトリ/シンボリックに対して実
行できます。
拡張属性(Extended Attributes)とは、ファイルと共に保存される任意の
メタデータ(データの管理上、必要な記述情報)ですが、変更時間やファイル
サイズと言ったファイルシステムの属性とは異なるデータです。
メタデータは通常 null で終了する UTF-8 の文字列ですが、任意のバイナリ
データにすることもできます。
コマンドラインで 1 つ以上のファイルを指定できます。コマンドの構文のうち
最初の 2 つでは、複数のファイルが指定された場合、ファイル名が結果ととも
に表示されます。ファイルが1つだけ指定された場合は、通常、ファイル名は表
示されません。(後ほど説明する -v オプションフラグも指定されている場合
を除く)。
コマンドの最初の構文で、他のオプションが指定されていない場合は、すべての
拡張属性の名前がリスト表示されます。また、属性名を確認するだけの場合は、
`ls -l@` を使用して表示することもできます。
2番目の構文では、-p オプション("print")を使用して、指定された属性名
に関連付けられた値が表示されます。属性値は通常、文字列として表示されます。
ただし、データで nil が検出された場合、値は16進表記で表示されます。
3番目の構文は、-w オプション("write")を使用して、指定された属性名に指
定された値を割り当てます。
4番目の構文では、-d オプション("delete")を使用して、指定された属性名
および関連する値を削除します。
5番目の構文では、-c オプション("clear")を指定すると関連する値を含む、
すべての属性が削除されます。
最後の6番目の構文は、-h または --help オプションを指定すると短いヘルプ
メッセージを表示し、ただちに終了します。
オプションフラグ
-l デフォルトでは、最初の2つのコマンド構文では、それぞれ属性名または属
性の値のみを表示します。-l オプションフラグにより、属性名とその属性
の値の両方が表示されます。値に nil が検出された場合は、値は16進数の
オフセット値が表示され、「`|`」で囲まれた ASCII が続きます。
-r 引数のファイルがディレクトリの場合、ディレクトリ内の全てのファイルに
再帰的に適用されます。また、正規表現で複数ファイルも指定できます。
`xattr -c -r <ディレクトリ>`
`xattr -c -r *.png`
-s 引数のファイルがシンボリックリンクの場合、リンク先ではなくシンボリッ
クリンク自身に作用します。
-v 引数のファイルが1つであっても、ファイル名を表示させます。
-x 属性値を強制的に16進表記で表示します。
-w 指定された属性値の設定値が文字列であると想定します。-x オプションフ
ラグも指定された場合、入力値は16進表記であると判断されます。ことの時
スペースは無視されます。`xxd`(1) コマンドを使用して、既存のバイナリ
データから16進表記の文字列を作成し、xattr に渡すこともできます。
終了ステータス
xattr コマンドは、成功すると 0(ゼロ)のステータスで終了します。エラーの
場合、ゼロ以外が返され、エラーメッセージが標準エラー(`STDERR`)に出力さ
れます。システムコールエラーの場合、エラーコードとエラー文字列の両方が表
示されます。
エラーコードの一覧は次のコマンドを参照してください getxattr(2),
listxattr(2), removexattr(2), setxattr(2)。
一部の属性は設定値が、システムによって強制的に固定長に制限される場合があ
ります。
例)
% xattr -w com.apple.FinderInfo 0 foo
xattr: [Errno 34] Result too large: 'foo'
com.apple.FinderInfo 属性は、長さが32バイトでなければなりませ
ん。
使用例
この例では、com.apple.FinderInfo 属性を /usr ディレクトリから MyDir
ディレクトリにコピーします。
% xattr -px com.apple.FinderInfo /usr
00 00 00 00 00 00 00 00 40 00 00 00 00 00 00 00
00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00
% xattr -l MyDir
% xattr -wx com.apple.FinderInfo \
"`xattr -px com.apple.FinderInfo /usr`" MyDir
% xattr -l MyDir
com.apple.FinderInfo:
00000000 00 00 00 00 00 00 00 00 40 00 00 00 00 00 00 00 |........@.......|
00000010 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 00 |................|
00000020
関連項目
ls(1), xxd(1), getxattr(2), listxattr(2), removexattr(2), setxattr(2)
BSD Nov 29, 2010 BSD