万博マニアックマップとは
- 万博に関する様々な地物を探せる地図アプリです
どうして作ったのか
- 今回の関西・大阪万博2025では「万博非公式マップ」が非常に人気でした
- でも、この非公式マップは公式の地図をコピーしたものにトイレやパビリオンの詳細情報を追加したもので、作者の許可を得たものではありません
- 権利的に怪しいと言うことは、誰もが安心して自由に使える地図では無く、そういったものを将来に残すことは色んな面で難しいと思います
便利に使えて将来に残る地図が欲しい
- 結局の所、「自由に使える地図が無い」ので、様々な活用が進まないと判断
- なら、OpenStreetMapの万博情報を充実させる必要があると思って活動開始
- 世界中のマッパーがマッピングして、開幕から3日間で普通の地図レベルに達成
- nyampireさんが大阪市の許可を得て令和6年度航空写真を公開してくれました
- 他もパビリオンの写真がWikimedia Commonsに続々とアップされてきました

上の地図は、開催から3日間のマッピング成果(変更箇所は色が付いている)
スマホで現地マッピングが楽でした
- スマホアプリ「Every Door」
- Every Doorの便利な所
- 写真を撮影するモチベーションはあっても、帰宅後のマッピングは正直難しい
- Every Doorを使えば、GPSで現在地を確認しつつ、その場で簡単マッピングできる!
データは揃ってきたけど
- OpenStreetMapの知名度が低い
- オープンデータは充実したが、知名度が低いと知られない
- 知られないと、せっかく整備したデータ群がもったいない
- OpenStreetMapの使い方が分からない
- osm.org の標準地図(のレンダリング)は万博向けではない
- そもそも osm.org の標準地図はマッパー向けの地図だしね
- QGISなどでレンダリングするのは高いスキルが求められる
データを整備しても活用されないと意味がない
一般の来場者が簡単に使える仕組みを提供したい
そんな訳で作ったのが万博マニアックマップ!
実はこの万博マニアックマップ
- ベースシステムは「コミュニティマップメーカー」
- 以前、「大阪思い出のこしマップ」が日本経済新聞で紹介して貰っていたり
ざっくりしたシステム構成
万博マニアックマップの特徴
使用データはほぼOpenStreetMap(OSM)のみ
- 国旗はcountoryタグにISO-3166-1(2文字の国コード)
- 敷地の色はplace=localityタグを使い、万博公式の背景色に合わせる
一般人が移動出来ない道路の表現
- area:highway=service、access=privateとして、塗りつぶす
建物の入口を茶色の●で強調表示
- タグは entrance=main など。highwayも書いて移動の導線可視化
地球儀モードもOSMのcountryタグを活用
- 国境データはOSMから取得するのは手間が掛かることでNatural Earthを加工して、北方領土を日本領として加工
- 訪問済みフラグを立てると緑色になるので、パビリオンを完走すると、かなりの地域が緑色になる
2階以上にある施設(トイレや店舗)は浮かばせる
- こちらもOSMのlevelタグを読み取って表示
データが整備された結果
- 万博内の様々なデータがオープンデータ化されました!
- 例えば、万博会場内の自動販売機もオープンデータ
- ちなみにベンダー名やWikidataへのリンクもされている
- Overpass APIを使えば、検索や集計も自由自在にできる
- パビリオンの写真やWikipedia記事も整備されてきました
最終的にはデジタルアーカイブ
- 万博終了後、「最新」の地図からデータは消える
- ただし、OpenStreetMapは過去データを公開している
- 全ての変更履歴を記録したデータも公開している
- もちろん、全てオープンデータ(ODbL)として公開
- 他にもWikimedia Commonsに写真も残している
- 当時の貴重な資料として活用することが出来る
- 他の非公式マップと違い、ライセンスが明確なのも特徴
- 時間と許可があれば、 3D建物、排水路、電線も
- デジタルアーカイブという将来世代への宝物
まとめ
データ整備とアプリ開発の両輪が大事
- 非公式マップから始まった問題の本質
*「オープンデータ」が不足している状況を解消させる- OpenStreetMapやWikimedia Commonsなどの充実が大事
- データを整備しても使われないと意味がない
- 一般の方が気軽に使えるWebアプリを開発して提供する
- オープンデータなことは免罪符とはならない、一般の方が使えるレベルのデータとアプリの完成度が必要となる
- 万博マニアックマップを開発(コミュニティマップメーカー)
- 一般の方でも気軽に使える完成度(のつもり)
- 万博ボランティアの方も案内に使われていたり
最後に
- 万博は、たった半年で終わるお祭り
- 半年後にはパビリオンは終わり、じきに建物も解体・移設される運命
- 今のうちにしっかり記録して将来に伝えたい
- 今は情報があふれているけど、何十年後も残るものは少ない
- 今は大した情報で無くても、未来では大事な情報になるかも
- そういった情報をオープンデータで残すことに意義がある
- でも、記録するだけでは面白くない
- 今を生きている私たちも、データを活用したい
- 今と未来を繋げる仕組みを、オープンソースで作っていけたら良いな
参考資料
開発サイト
- 万博マニアックマップ(公開)
- 万博マニアックマップ(ソース)
- コミュニティマップメーカー
紹介・スライド
- ProtoPedia 万博マニアックマップ紹介ページ
- モチモチトーク #76「万博マニアックマップ作成の裏側を聞く!」
- 記事の元スライド









