訳あってFMVU14005の中古品を得たので、DebianをHeadlessでインストールした。
インストール・セットアップ手順はすでに数多くの先行者の記事が存在するので、本稿では作業において非自明だった点に絞って記述する。
NongraphicalなInstallでキー入力が効かない
インストーラ選択画面において、Grahpical install
を選択した場合にはその後立ち上がるインストーラは問題なくキー入力を受け付けるが、(Nongraphicalな)Install
を選択するとキー入力を受け付けない。
NongraphicalなインストーラはTUIで動いているので、キー入力を受け付けないことにはインストールを進行不能となる。
これは備え付けのPS/2キーボードか、LinuxのPS/2デバイスコントロールモジュールであるi8042かのどちらかのバグによる。(インストール後には再発しないのでインストーラの問題か?)古伝1にある通りカーネルパラメータに
i8042.nomux=1 i8042.reset
を入れてインストーラを起動すると解消した。このパラメータはインストール後には/etc/default/grub
に入っており、消したければ消せる。
一般ユーザ名にadminを使えない
一般ユーザの作成でユーザ名にadmin
を指定すると、予約されているユーザ名とエラーを出される。
これは著名なパッケージによって作成される(され得る)システムユーザ名だと判定されているためなので、諦めて別のユーザ名を使用するのが良い。どうしても変えたい場合は以下の手順(また試していないので自己責任で)で変更できるが、非推奨とする。
-
物理コンソールからrootでログインする(ログイン中のユーザは変更できない。)
-
適当な記事を参考に変更する。例えばLinuxでユーザーアカウント名、グループ名の変更を見ながら
usermod -l admin <username> groupmod -n admin <username> usermod -d /home/admin -m admin
等すれば良い。
パーティションを切るとventoy USBもいじられる
パーティションの分割でメインSSDについて設定すると、ventoyの入ったUSBについても弄られてしまう。
原因は謎だが、USBの状態をEFIとして使用、ブートフラグオンとすると元の状態に可能な限り近づくようである。(情報求む)
追加ソフトウェアの中身がわからない
追加ソフトウェアのインストールで列挙された項目が実際に何をインストールするか不明瞭である。
上の方は全てGUIの選択肢なので、Headlessで使う分には考えなくて良い。そうでない項目については以下の通り:
- webサーバ: apache
- sshサーバ: openssh
- standard system utilities: 謎 (adduser等の便利コマンドが入っていそうだが、pythonなどの明らかに余計なものも入っているように見える)
画面上のコンソールで日本語が化ける
実機の物理コンソール上で日本語が正しく表示されず、�
として表示される。
ssh
経由のターミナルエミュレータでの世界に慣れきっていたために知らなかったが、これは仕様である。裸のttyはマルチバイト文字を表示できるように作られていない。
広く知られた解決手段としてはfbterm
がある。
<hostname>.local
でアクセスできない
ping <hostname>.local
が届かなくて困惑するが、これは単にavahi-daemon
がデフォルトで入っていないためである。apt install avahi-daemon
とすればよく、特に設定はいらない。
sudoが使えない
sudo
が使えないのもデフォルトで入っていないためだが、インストールしても使えないのは
- ユーザが
sudo
グループに入っていない - ユーザが設定ファイル
sudoers
に記述されていない
ためである。前者を解消すればsudo
グループのユーザとしてsudo
が実行できるようになるが、パスワードが毎回要求されて鬱陶しいので、sudoers
にNOPASSWD
で登録すると(危険ではあるが)便利になる。sudo のパスワードを入力なしで使うには等適当な記事を参照してほしいが、書き込むファイルについては/etc/sudoers.d/
以下に別ファイルを立てる方が記述が混ざらなくて良いだろう。
画面を閉じるとsshが死ぬ
実機の画面を閉じるとssh
セッションが切断されてしまう。これは正確には全プロセスが停止していて、要するにsuspendしているのである。
ノートパソコンのカバーを閉じても、Suspendしない設定等にもある通り、Debian 12で電源管理を担っているlogind
のデフォルトの挙動を/etc/systemd/logind.conf
で見ると
[Login]
...
HandleLidSwitch=suspend
と、画面を閉じるとsuspendするようになっている。
なのでlogind
の設定ファイルを書き換えてやれば解決する。この時/etc/systemd/logind.conf
に書かれているように、/etc/systemd/logind.conf.d/
の下に適当なファイルを作って
[Login]
HandleLidSwitch=ignore
と上書きするのが良い。
マイクが音を拾わない
pulseaudio
(+ ssh
の X11Forwarding)を使ってスピーカやマイクを使おうとすると、内蔵マイクが反応しないことに気づく。
カタログのカスタムメイド項目(55ページ)を見ると、FMVU14005ではマイクはオプションなので、単にオプションが付けられていないタイプだったのだろう。
イヤホンジャックのマイクが出現しない
外部マイクを使ってみようとイヤホンジャックにマイク付きのヘッドフォンを挿してみると、外部スピーカは稼働するが外部マイクは稼働しない。
これはサウンドカードを担当するsnd-hda-intelモジュールが一般的なモードで動作しているためである。まずpactl list
などでサウンドデバイスを確認するとALC255
と出る。そこでHD-Audio Codec-Specific Modelsを見るとlifebook-extmic
といかにもそれらしいオプションがある。
/etc/modprobe.d/
以下に適当にファイルを作り、options snd-hda-intel model=lifebook-extmic
と書いて再起動・モジュール再読み込みしてやれば外部マイクを拾うようになる。2
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例えば、reddit や stack exchangeに情報が散在している。 ↩
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実際、
dmesg
をみてみると読み込むピンが増えている。 ↩