本記事は数学講座6.2 解の数を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
解の数の判別方法
データサイエンスのための線形代数 第20回 行列関数の単射で説明した通りで、
- 単射の時に、値域の任意のベクトルに対して、定義域で唯一なベクトルがあります。
- 非単射の時に、値域の任意のベクトルに対して、定義域で無限のベクトルがあります。
単射の条件が、$A$行列が列フルランクです。
まとめて、判別方法は以下の通りです:
線形方程式$\boldsymbol{A}\boldsymbol{x}=\boldsymbol{b}$について考えます。ここで、その拡大行列を$\boldsymbol{B}=(\boldsymbol{A}\ |\ \boldsymbol{b_{}})$とします。行列$\boldsymbol{A}はm\times n$の行列である場合、以下のような性質が成り立ちます:
- 唯一の解が存在する場合、その条件は$rank(\boldsymbol{A})=rank(\boldsymbol{B})=n$です。
- 無数の解が存在する場合、その条件は$rank(\boldsymbol{A})=rank(\boldsymbol{B})<n$です。
$rank(\boldsymbol{A})=rank(\boldsymbol{B})$が解ある(解の存在性)の前提条件です!
フルランク行列が唯一解あり
フルランクが全単射ですので、解あり且つ唯一解です。
解の数の例
以下の線形方程式に解があるか、また解の数は?
\begin{cases}
-x_1+2x_2=0\\
\qquad\quad2x_2=2\\
\ \ \ x_1-2x_2=0
\end{cases}
解:
$rank(\boldsymbol{A})=rank(\boldsymbol{B})=2$ですので、上記の解の数の判別方法にれば、唯一解になります。
フルランク行列の例
以下の線形方程式に解があるか、また解の数は?
\begin{cases}x+y+z=2\\2x+y-z=3\\-2x+y-z=1\end{cases}
解:
線形方程式を以下の行列関数に変換します:
\underbrace{\begin{pmatrix}1&1&1\\2&1&-1\\-2&1&-1\end{pmatrix}}_{\boldsymbol{A}}\underbrace{\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}}_{\boldsymbol{x}}=\underbrace{\begin{pmatrix}2\\3\\1\end{pmatrix}}_{\boldsymbol{b}}
$A$と基本行変換をすると:
フルランク行列ですので、唯一解になります。