なぜこのテーマで記事を書いたのか?
弊社の Advent Calendar でも生成AIを扱う記事が掲載されていますが、社内でも生成AIの存在感はますます強くなっています。
生成AIの存在感が強まる流れの中で、「言語化能力」はプログラミングを担当するITエンジニアだけでなく、すべてのビジネスパーソンにとっても重要になっていると感じます。
言語化には文章力が欠かせませんが、その前提としてまず「用語」をどう扱うかが肝心だと感じ、本記事を書くことにしました。
私は言語学の専門家ではないため、記述に学術的な誤りが含まれている可能性がありますが、実務の中で培ってきた個人的なノウハウを共有できればと思います。
用語の整理がなぜ重要なのか?
合意形成や共同作業を行う際には、メンバーの「認識」を合わせることが重要です。
この認識がズレたまま作業を進めると重大な事故に繋がったり、大きな手戻りが発生します。
用語の解釈がズレていると、同じ文章から別の認識が生まれてしまいます。
メンバー間で解釈を統一することが、認識を合わせることの第一歩になると考えてます。
用語の解釈がズレるパターン
同じ名前に複数の概念があるパターン
同じ読みであるものの、指している対象や解釈が異なるパターンです。
「ユーザー」のような抽象的な言葉のまま話すと、各自が違う対象を思い浮かべてしまうためです。「利用ユーザー」「運用ユーザー」のように具体化して話すことで、このズレを減らせます。
例)
Aさん:ユーザー(利用ユーザー)
Bさん:ユーザー(運用ユーザー)
下記の例のように、階層構造を意識して、会話の中で抽象度・具体度を揃えるように意識しています。
ユーザー
- 利用ユーザー
- 特別利用ユーザー
同じ概念に複数の名前があるパターン
例)
Aさん:ユーザー(利用ユーザー)
Bさん:お客様(利用ユーザー)
正式な用語を定めて普及させることが対策になると考えています。
用語のグループを意識し、会話の中でグループがズレないように気を付けています。
例)
- 利用ユーザー
- 運用ユーザー
- 管理ユーザー
例)
- 従業員
- お客様
どんな用語に注目するべきか
用語といっても、対象となる言葉はたくさんあります。
どんな性質の用語を優先的に整理していくべきでしょうか?
個人的には、下記の要素が重要だと考えています。
- 主語:誰が(アクター)
- 述語(動詞):何をする
- 目的語:何に対して
この3つが曖昧なままだと、『誰が・何を・何に対して』行うのかが分からず、仕様や要件の解釈が大きくブレてしまうためです。
また要件定義の際では、次のような用語に注意を払っています。
- アクター
- データ
- ステータス
- 画面
- ふるまい
用語とはズレてしまいますが、形容詞にも注意
例えば「リアルタイム」と聞いて、何秒くらいを想像するでしょうか?
人間がリアルタイムと体感するのは 100ms 程度だという話もあります。
しかし、機械制御で必要となるリアルタイム性はもっと短いはずです。
一方、定期実行処理の文脈では、もっと長い時間を指すこともあるでしょう。
このような抽象度の高い形容詞にも注意を払うことで、認識の齟齬が生じにくくなると感じます。
最後に
個人的には、解釈のズレが発生する原因のひとつは文化の違いだと思っています。所属する組織や担当する業務の違いによって、言葉の使い方や解釈にズレが生まれると感じています。自分自身が慣れ親しんでいる言葉を「当然のもの」と思わずに、いったん俯瞰して把握する訓練をすることで、用語のズレに関する感性も鍛えることができると思っています。