例題
【問題】ある家庭の毎年12月における電気料金を $X$ 円,水道料金を $Y$ 円とする。
$(X,Y)$ は2変量正規分布にしたがい,$X$ と $Y$ の期待値はそれぞれ $6000$ 円と $2500$ 円,標準偏差はそれぞれ $500$ 円と $200$ 円,相関係数は $0.8$ であるとする。このとき,次の問いに答えなさい。
(1)ある年の12月の電気料金が $6500$ 円のとき,同年12月の水道料金の期待値と標準偏差を求めなさい。
(2)ある年の12月の電気料金が,同年12月の水道料金の 2.5倍以上 になる確率を求めなさい。
解法
(1)X=6500 のときの Y の期待値と標準偏差
まず,問題で与えられている値を整理します。
\mu_X = 6000,\quad \mu_Y = 2500
\sigma_X = 500,\quad \sigma_Y = 200,\quad \rho = 0.8
共分散は
\mathrm{Cov}(X,Y)=\rho \sigma_X \sigma_Y
=0.8 \times 500 \times 200
=80000
です。
条件付き期待値
2変量正規分布では,
E(Y\mid X=x)
=
\mu_Y+\rho\frac{\sigma_Y}{\sigma_X}(x-\mu_X)
が成り立ちます。
ここで $x=6500$ を代入すると,
E(Y\mid X=6500)
=
2500+0.8\cdot\frac{200}{500}\cdot(6500-6000)
=
2500+0.8\cdot 0.4 \cdot 500
=
2500+160
=2660
したがって,求める期待値は
2660\text{円}
です。
条件付き分散と標準偏差
2変量正規分布では,
V(Y\mid X=x)=\sigma_Y^2(1-\rho^2)
です。
したがって,
V(Y\mid X=6500)
=
200^2(1-0.8^2)
=
40000(1-0.64)
=
40000\times 0.36
=
14400
よって標準偏差は
\sqrt{14400}=120
となります。
したがって,求める標準偏差は
120\text{円}
です。
(2)X >= 2.5Y となる確率
求めたい確率は
P(X \geq 2.5Y)
=
P(X-2.5Y \geq 0)
です。
そこで,
W=X-2.5Y
とおきます。
2変量正規分布では,線形結合 $W$ も正規分布にしたがいます。
したがって,まず $W$ の期待値と分散を求めます。
期待値
E(W)=E(X-2.5Y)=E(X)-2.5E(Y)
=6000-2.5\times 2500
=6000-6250
=-250
分散
V(W)=V(X-2.5Y)
=V(X)+(2.5)^2V(Y)-2\cdot 2.5\cdot \mathrm{Cov}(X,Y)
=500^2+2.5^2\cdot 200^2-5\cdot 80000
=250000+6.25\cdot 40000-400000
=250000+250000-400000
=100000
したがって,標準偏差は
\sqrt{100000}=100\sqrt{10}\approx 316.2
よって,
W \sim N(-250,\ 100000)
標準化
求める確率は
P(W\geq 0)
なので,標準化すると
P(W\geq 0)
=
P\left(
\frac{W-(-250)}{\sqrt{100000}}
\geq
\frac{0-(-250)}{\sqrt{100000}}
\right)
=
P\left(
Z \geq \frac{250}{316.2}
\right)
=
P(Z\geq 0.79)
標準正規分布表より,
\Phi(0.79)\approx 0.7852
なので,
P(Z\geq 0.79)=1-0.7852=0.2148
したがって,
P(X\geq 2.5Y)\approx 0.215
解法の型
パターン1:条件付き分布
$X=x$ が与えられたら,
E(Y\mid X=x)
=
\mu_Y+\rho\frac{\sigma_Y}{\sigma_X}(x-\mu_X)
V(Y\mid X=x)=\sigma_Y^2(1-\rho^2)
を使う。
パターン2:線形結合
$X \geq cY$ のような形なら,
W=X-cY
とおいて,
E(W)=E(X)-cE(Y)
V(W)=V(X)+c^2V(Y)-2c\,\mathrm{Cov}(X,Y)
を計算して標準化する。