この記事は「女性エンジニア応援」Advent Calendar 2025の17日目の記事です🎄
この記事に書いてあること
- 出産・育児などで作業が頻繁に中断される状況でもなんとか継続(?)できた作業の回し方(特別なことはやっていません)
- 特別なツールを使わずに、「思考の状態」を外部化して再開コストを下げる
- 「集中できない環境=作業に不向き」という前提を外し、制約を前提に作業する視点
1. はじめに
この記事では、出産・0歳育児(育休)中に社会人博士課程を修了するまでに、実際に試行錯誤してきた研究の進め方について書きます。
新しい分析手法や最新ツールの話はありません。
研究環境としては、正直かなり厳しい条件でした。
- 研究時間は細切れ
- 夜泣き等でいつ割り込みが発生するか分からない
- 体力も集中力も限界
それでもなんとか研究を止めずに進めるために、
作業そのものを「中断前提」で進めることに頭を切り替えた、という話です。
同じような制約のある方に、
「こういう回し方もあり得る」という一例として読んでもらえればと思います☕️📝
2. 作業環境における制約
2.1 時間の制約
0歳児育休中、平日の研究時間は、合計で30分〜長くて3時間程度でした。
1回あたりの連続作業時間も短く、
- 昼間:10分程度(子供のお昼寝の合間)
- 夜間:最大3時間(慢性的な寝不足で、実質は1時間以下だったかも)
という状態です1。
比較的まとまった時間が取れるようになったのは、子供が6ヶ月を過ぎ、夜泣きの頻度が減ってからの夜間〜早朝でした。
なお、細切れ時間を有効活用するための素晴らしい新しいツールやアイデアは既にたくさんありますが、それを導入する/学習するコストもかける余裕がなく、完全に自転車操業でした。
今ある、「なるべく思考コストを割かないツールと方法」でなんとかパフォーマンスを保つために、結果的にどういう方法を取っていたか、を思い返しながら今記事を書いています。
2.2 体力の制約
睡眠は細切れで、平均すると合計3時間程度の日も多かったです。
夜間は作業時間として確保できていたはずなのに、毎日眠すぎてほぼ寝ながら作業している感覚でした😪
ただし、体調不良で研究そのものを完全に諦めた日は、意外と多くありませんでした。
「できる日はやる、できない日は諦める」という割り切りが前提でした。
🌱 それを支えたメンタル面の前提
社会人博士を始めるにあたって、自分の中で↓の優先順位をつけていたのも大きかったかもしれません。
これによって、多少研究が進まなくても焦る気持ちにならず、子供にいくら時間を割いても、自分を責めたり自分の環境を憂いたりする感情が全く芽生えなかったのは心身の健康上とても良かったです。
1. 自分の心身の健康
2. 家族(子供・夫)の心身の健康
3. 博士研究
また、「育児中は研究のことは考えず、育児に全力で向き合う」(育児を研究の言い訳にしない、研究を育児の言い訳にしない)」ことも自分の中で決めたルールでした。
育休中の育児と社会人博士期間を終えたときに 「自分はやりきった」と心から思えるために必要な条件 だと思ったからです。
2.3 認知的な制約(最も大きかった制約)
作業中も常に、「子供がいつ昼寝から起きるか、夜泣きが始まるか」が頭にあり、子供の世話に関するタスクが無限にストックされていて、「この作業をどこまでやれるか」を事前に見積もるのが難しい状況でした。
(1時間に1回(10分程度)は割り込みが発生する感覚でした)
また、体感では半分くらいは、考える余力すらない日だったと思います。
3. 細切れ前提で回していた作業の考え方
3.1 「考えていたこと」を必ず外に出す
細切れの作業時間の中で、中断が発生する前に、今何を考えていたかをできるだけどこかに残すようにしていました。
具体的には、
- コードにはこまめにコメントを書く
- 「後でまとめて書く」はしない
というルールです。
後で書こうと思っていた内容は、中断と同時にほぼ確実に頭の中から消えます。
悲しいことに、「あとで思い出せるだろう」は、細切れ環境ではほぼ成立しません。。。
3.2 作業ノートはきれいな作業ログではなく「状態復元」のために使う
作業や議論のネタとなるドキュメント(作業ノート)2は、
- 作業ログ
- 議論の下書き
を兼ねたものとして使っていました。
ただし、重要だったのは「きれいに書くこと」ではなく、数日〜数週間空いた後でも、
- 今どこまで進んでいたか
- なぜその作業をしていたのか
を思い出せることでした。
作業ノートには、
- 次回明らかにしたいこと
- 次にやる具体的な作業
- 議論の材料や論点
- 自分の迷いや感情(←作業の瞬間に復帰しやすくなる)
をできるだけ書くようにしていました。
「次にやること」があることで、再開が圧倒的に楽になりました。
4. 再開コストをどう下げていたか
コメントや作業ノートがあることで、研究再開にかかる時間が短縮されていたと思います(体感30分程度?)。
逆に、これらがないと、
- せっかく確保できた細切れの作業時間が思い出しだけで終わる
- 育児中は頭が完全に切り替わって作業した記憶が抜けるので、再開しても過去にやった作業をもう一度やってしまう
といった手戻りが頻発しました。
日中の大半を育児・家事に使っていると、研究の作業記憶はほぼ残らないため、外部化が必要でした。
5. この運用(?)によって得られた効果
- 中断後でも研究状態に「戻れる」
- 短時間でも作業を積み上げられる
- 「今日は何も進んでいない」という感覚があっても、長期的に見たらちょっとは進んでいる
特別に効率が爆上がりしたわけではありません。ただ、「止まらない」ことが最大の効果でした。
6. この方法の限界と向いていないケース
この方法は万能ではありません。
深い連続思考が必要な作業や、コメントを書くこと自体が負担な人にとっては、効果は限定的だと思います。
また、作業ノートやコメントを完璧に書こうとすると、この運用は破綻します。
あくまで、
- 自分が思い出せれば十分
- ラフでいい
という前提が重要でした。
7. まとめ:細切れ前提で作業するという選択
今回は、時間管理に加えて、作業の設計思想をやや工夫したという話でした。
集中できる環境を前提にするのをやめ、細切れにしか時間を確保できないことを通常ケースとして扱いました。
特別なツールや技術は使っていません(本当に育児中は余裕がないので。。。)。
重要だったのは、
- 記憶を外部化する(自分の記憶力を信頼しない)
- 自分だけ分かればOKという割り切り
という思想だったのかもしれません。
細切れ前提で作業するという選択は、妥協ではなく、その状況に合わせた最適化だったと思っています。
同じような制約の中で悩んでいる方にとって、何か一つでもヒントになれば幸いです🤝