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【3分でざっくり理解】「一元配置分散分析」を分かりやすく解説

Last updated at Posted at 2024-06-04

(統計ソフト「JMP(ジャンプ)」で描いた一元配置分散分析)

一元配置分散分析(One-Way ANOVA)は、データ分析の際に、よく使われる統計手法の1つです。今回は、初心者の方向けに、基本的な概念から実際の使い方、具体的な例まで順を追って分かりやすく解説します。

※今回の内容はYouTube動画でもご紹介しています。

一元配置分散分析とは?

一元配置分散分析は、3つ以上のグループ間の平均値の差が統計的に有意かどうかを検定するための統計的方法です。

例えば、ある薬の効果を調べるために、異なる投与量のグループを作り、それぞれのグループで治療後の健康状態を測定するとします。

このとき、一元配置分散分析を使うことで、投与量の違いが健康状態に影響を与えるかどうかを調べることができます。

一元配置分散分析のステップ

具体的には、次のようなステップで行われるのが一般的です。

  1. データの収集:異なるグループごとにデータを集めます
  2. 仮説の設定:平均値が全てのグループで等しい(帰無仮説)、もしくは、少なくとも1つのグループの平均値が他と異なる(対立仮説)という設定をします
  3. 分散分析の実行:ANOVAの表を作成し、F値を計算して統計的に有意か否かを検証します

一元配置分散分析が使われる場面

一元配置分散分析は、以下のような場面で広く使われます。

  1. 医療研究:新薬の効果を異なる投与量で比較する場合
  2. 教育研究:異なる教え方で生徒の成績に与える影響を比較する場合
  3. マーケティング:異なる広告キャンペーンの効果を比較する場合
  4. 農業における試験:異なる肥料が作物の成長に与える影響を調べる場合

これらのように、データが複数のグループに分かれており、そのグループ間の平均値の違いを確認したい場合に有効です。

具体的な例

具体的例として、ある新しい教育方法が学生のテストスコアに与える影響を調べる場合を考えてみましょう。

ステップ1:データの収集

3つの異なる教育方法(A、B、C)を使って、それぞれの方法で教えた学生のテストスコアを収集します。各グループには10人の学生が含まれているとします。

ステップ2:仮説の設定

帰無仮説(H0):すべての教育方法で教えた学生の平均スコアは等しい。
対立仮説(H1):少なくとも一つの教育方法で教えた学生の平均スコアは他と異なる。

ステップ3:分散分析の実行

データを収集し、以下のような表を作成します:

教育方法 スコア
A 85, 78, 92, 88, 76, 95, 89, 84, 90, 82
B 80, 75, 85, 83, 77, 82, 88, 81, 79, 78
C 88, 90, 92, 94, 89, 85, 91, 87, 86, 93

そして、各グループ(A, B, C)の平均を表にすると以下のようになります。

教育方法 N 平均
A 10 85.9
B 10 80.8
C 10 89.5

次に、ANOVAの表を作成して分散分析を実行します。この計算は通常、統計ソフトウェア(JMP、R、Pythonなど)を使って行います。

計算結果としてF値が得られ(今回の例では、冒頭画像にあるようにF値=9.3984)、このF値を使ってp値を求めます。

もしp値が一般的に使われる有意水準(例えば0.05)より小さい場合、帰無仮説を棄却し、教育方法によるスコアの差が統計的に有意であると判断します。

結果の解釈

分散分析の結果、今回はp値が0.0008でした(冒頭画像の分析結果右下参照)。 有意水準0.05より小さいので、帰無仮説を棄却します。つまり、教育方法によって学生のテストスコアに有意な差があると言えます。

一元配置分散分析の長所と欠点

-長所-

複数のグループ間の比較が可能:一元配置分散分析を使うことで、複数のグループの平均値を同時に比較できます。

シンプルで分かりやすい:基本的な統計手法として理解しやすく、実施も容易です。

多分野で活用可:医療、教育、マーケティングなど、様々な分野で使われます。

-欠点-

データの独立性が必要:データが独立であることが前提となるため、これが満たされない場合には適切でない結果が得られる可能性があります。
等分散性の仮定:各グループの分散が等しいことが前提となるため、この仮定が破られると結果の信頼性が低下します。
要因の数:一元配置分散分析は1つの要因(独立変数)のみを考慮するため、複数の要因が絡む場合には他の方法(例えば二元配置分散分析)を使う必要があります。

まとめ

一元配置分散分析は、複数のグループ間の平均値の差を検証するための統計手法です。医療、教育、マーケティングなど多くの分野で利用され、実際のデータに基づいて有意な差があるかどうかを判断するのに役立ちます。

仮説の設定から結果の解釈までのプロセスを理解することで、統計的な分析がより明確に、そして正確に行えるようになります。これにより、データに基づいた意思決定が可能となり、科学的な根拠に基づく結論を導くことができます。

このように、一元配置分散分析は、実用的なツールとして広く活用されています。具体的な例を通じて、その使い方や利点、限界を知ることで、より効果的にデータ分析を行うことができるでしょう。

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