Azure AI Fundamentals (AI-900) 学習ガイド Part 1: AIの概念と機械学習
Azure AI Fundamentals (AI-900) の試験対策として、学習内容をまとめました。
Part 1では、AIの基本概念や「責任あるAI」、そして機械学習の基礎について解説していきます。
1. AI-900 試験の概要
AI-900は、機械学習 (ML) と人工知能 (AI) の概念、およびそれに関連する Microsoft Azure サービスの基礎知識を証明する試験です。
主な学習範囲:
- AI ワークロードと考慮事項
- Azure における機械学習の基本原則
- Azure AI サービスの機能 (Part 2で解説)
2. 基本的なAIワークロード
AIシステムは通常、以下の5つの主要なワークロードに分類されます。
| ワークロード | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| Computer Vision (コンピュータービジョン) | 画像、動画、カメラからの入力を解釈する機能。 | 顔認識、物体検出、画像分類。 |
| Natural Language Processing (NLP) | 人間の言語(テキストや音声)を理解し、生成する機能。 | 翻訳、感情分析、チャットボット。 |
| Knowledge Mining (ナレッジマイニング) | 大量の非構造化データから情報を抽出し、検索可能なナレッジストアを作成する機能。 | 文書検索、コンテンツのインデックス作成。 |
| Document Intelligence | ドキュメント(フォーム、請求書など)からテキスト、キーと値のペア、表などを自動的に抽出する機能。 | 領収書の読み取り、IDカードのデータ抽出。 |
| Generative AI (生成AI) | プロンプトに基づいて、新しいコンテンツ(テキスト、画像、コードなど)を作成する機能。 | 記事の執筆、画像の生成、コード補完。 |
3. 責任あるAI (Responsible AI)
AIシステムを開発・運用する際には、倫理的な影響を考慮する必要があります。Microsoftは以下の6つの原則を定めています。
- 公平性 (Fairness): AIはすべての人を公平に扱うべきであり、人種や性別などで差別してはならない。
- 信頼性と安全性 (Reliability & Safety): AIは予期せぬ状況でも安全に動作し、信頼できる結果を提供すべきである。
- プライバシーとセキュリティ (Privacy & Security): ユーザーのデータは保護され、プライバシーが尊重されるべきである。
- 包括性 (Inclusiveness): AIは身体的特徴や能力に関わらず、すべての人が利用できるようにすべきである。
- 透明性 (Transparency): AIの動作原理や限界は、ユーザーに理解できるように説明されるべきである。
- アカウンタビリティ (Accountability): AIシステムの開発者と運用者は、その動作に対して責任を持つべきである。
4. 機械学習 (Machine Learning) の基礎
機械学習は、明示的にプログラムするのではなく、データから学習して予測や決定を行うAIのサブセットです。
主な機械学習の種類
機械学習モデルは、解決したい問題によって主に3つのタイプに分類されます。
| タイプ | 説明 | アルゴリズム例 | 用途例 |
|---|---|---|---|
| 回帰 (Regression) | 数値を予測する教師あり学習。 | 線形回帰 | 住宅価格の予測、気温の予測、売上予測。 |
| 分類 (Classification) | カテゴリ(クラス)を予測する教師あり学習。 | ロジスティック回帰、決定木 | スパムメールの判定 (2値分類)、画像分類 (多クラス分類)。 |
| クラスタリング (Clustering) | データを類似したグループに分ける教師なし学習。 | K-means | 顧客のセグメンテーション、異常検知。 |
5. Azure Machine Learning
Azure Machine Learning は、モデルのトレーニング、デプロイ、管理を行うためのクラウドベースのプラットフォームです。
ワークスペースのコンポーネント
- Compute (コンピューティング): モデルをトレーニングまたは実行するための計算リソース(Compute Instance, Compute Clusterなど)。
- Data (データ): トレーニングに使用するデータセット。
- Models (モデル): トレーニング済みのモデル。
- Endpoints (エンドポイント): モデルをWebサービスとして公開し、アプリケーションから利用できるようにする場所。
開発ツール
- Automated ML (自動ML): 専門知識がなくても、データを用意するだけで最適なアルゴリズムとハイパーパラメータを自動的に選択し、モデルを作成できる機能。
- Azure Machine Learning Designer: ドラッグ&ドロップのGUIを使用して、データフローとモデルトレーニングのパイプラインを視覚的に構築できるツール。

