もくじ(?)
はじめに
皆さん、こんにちは!この記事では、大人気のカードゲーム「ポケポケ」に登場するさまざまな確率分布について解説していきます。カードゲームで勝利を目指す上でも、確率の理解は大きな武器となります。それでは早速見ていきましょう!
ポケポケ公式サイト
カード一覧
本記事で紹介する確率分布
1. カスミ、ベロリンガ 〜 幾何分布 Geo(p)
カード効果の説明
カスミの効果:
自分の水ポケモンを1匹選ぶ。コインをウラが出るまで投げ、オモテの数ぶんの水エネルギーを自分のエネルギーゾーンから出し、そのポケモンにつける。
ベロリンガの技「れんぞくペロペロ」の効果:
ウラが出るまでコインを投げ、オモテの数×60ダメージを与える。
幾何分布との関係
これらのカードは、「ウラが出るまでコインを投げ、オモテの数」という共通の特徴があります。これは確率統計における幾何分布に対応しています。
幾何分布とは、初めて成功(この場合はコインのウラ)が出るまでの試行回数を扱う確率分布です。成功確率を p、失敗確率を q = 1 - p とすると、初めて成功するまでの失敗回数k の確率は次のように表されます:
P(X = k) = q^{k} p
今回の場合、コインを投げるので成功確率(ウラが出る確率)は p = 1/2、失敗確率(オモテが出る確率)も q = 1/2 となります。
※ウラが成功、オモテが失敗に対応することに注意。
カスミの場合
カスミの効果で得られるエネルギー枚数(オモテの数)は、幾何分布の失敗回数に対応します。
確率表
ただし、実際のゲームではエネルギーは3枚もあれば十分なことが多いため、3枚以上をまとめて考えることもあります。
まとめた確率表
ベロリンガの場合
ベロリンガのダメージ量も同様に幾何分布に従います。オモテの数に応じてダメージが増加します。
ダメージ量と確率
ベロリンガの場合も、現状では240ダメージもあれば十分なため、240ダメージ以上をまとめて考えることができます。
まとめた確率表
2. サンダーex、ガルーラ 〜 二項分布 Bin(n, p)
カード効果の説明
サンダーexの技「ハリケーンサンダー」の効果:
コインを4回投げ、オモテの数×50ダメージを与える。
ガルーラの技「ピヨピヨパンチ」の効果:
コインを2回投げ、オモテの数×30ダメージを与える。
二項分布との関係
これらのカードは、一定回数コインを投げて、そのオモテの数に応じて効果が変わります。これは二項分布に対応しています。
二項分布とは、独立した試行を n 回行い、それぞれで成功(オモテ)が起こる確率を p としたとき、成功回数 k の分布です。確率は次のように表されます:
P(X = k) = {}_n C_k \, p^k (1 - p)^{n - k}
コイン投げの場合、成功確率 p = 1/2 です。
サンダーexの場合
確率表
サンダーexの場合、n = 4 となります。
ガルーラの場合
ガルーラの場合、n = 2 となります。
確率表
3. カイリュー 〜 多項分布 Multi(n, p1, p2, ..., pk)
カード効果の説明
カイリューの技「りゅうせいぐん」の効果:
相手のポケモンがランダムに4回選ばれ、選ばれたポケモン全員に、選ばれた回数×50ダメージを与える。
多項分布との関係
カイリューの効果は、複数の対象(相手のポケモン)に対して、独立した試行を複数回行い、その結果に応じて効果が決まります。これは多項分布に対応しています。
多項分布とは、n 回の試行で、各カテゴリへの割り当て回数を扱う分布です。カテゴリ数を k、各カテゴリが選ばれる確率を ( p_1, p_2, ..., p_k ) とすると、各カテゴリが選ばれる回数 ( x_1, x_2, ..., x_k ) の同時確率は:
P(X_1 = x_1, \ldots, X_k = x_k) = \frac{n!}{x_1! x_2! \cdots x_k!} p_1^{x_1} p_2^{x_2} \cdots p_k^{x_k}
今回の場合、相手のポケモンの数を k、試行回数を n = 4 とします。
具体例
相手のポケモンが2匹いる場合(バトル場とベンチに1匹ずつ)、各ポケモンが選ばれる確率は p_1 = p_2 = 1/2 となります。
各ポケモンへのダメージの期待値は:
E[\text{ダメージ}] = 50 \times E[\text{選ばれた回数}] = 50 \times n \times p_i
したがって、各ポケモンへのダメージの期待値は 50 × 4 × 1/2 = 100 ダメージとなります。
確率計算の例として、ポケモンAが3回選ばれ、ポケモンBが1回選ばれる確率は:
P(X_A = 3, X_B = 1) = \frac{4!}{3!1!} \left( \frac{1}{2} \right)^3 \left( \frac{1}{2} \right)^1 = 4 \times \left( \frac{1}{2} \right)^4 = \frac{1}{4}
4. 博士の研究、レッドカード 〜 超幾何分布 HGM(N, K, n)
カード効果の説明
博士の研究の効果:
自分の山札を2枚引く。
レッドカードの効果:
相手の手札をすべて山札にもどす。相手は山札を3枚引く。
超幾何分布との関係
山札からカードを引く行為は、カードを復元せずに引くため、超幾何分布に従います。
超幾何分布は、有限母集団から復元せずにサンプルを取る際、成功数を扱う分布です。母集団のサイズを N、成功と見なす要素の数を K、サンプルサイズを n、成功数を k とすると、確率は:
P(X = k) = \frac{{}_K C_k \, {}_{N - K} C_{n - k}}{{}_N C_n}
博士の研究の場合
例えば、山札の残りが N = 10 枚あり、その中に欲しいカード(有益札)が K = 5 枚あるとします。博士の研究で n = 2 枚引いたとき、欲しいカードを k 枚引く確率は次のようになります。
確率計算
このように超幾何分布を使って成功確率を求めることができます。
レッドカードの場合
レッドカードも同様に、相手が手札を山札に戻し、n = 3 枚引く行為は超幾何分布に従います。相手のデッキ枚数や有益札の枚数を考慮して、相手が有益札を引く確率を推測することができます。
おわりに
以上、「ポケポケ」に登場する確率分布について解説しました。カードゲームと確率統計は密接な関係があり、確率を理解することで戦略的にゲームを進めることができます。これを機に、確率統計の学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。
(記事では紹介しなかったですが、ベイズ統計も役に立つかも?)