はじめに
2026年9月、TypeSafe AIからJevという新しいAIモデルが公開されました。
JevはLLMのように文章を生成するモデルではなく、分類・判定・スコアリングなどの意思決定に特化したモデルです。TypeSafe AIはこの種類のモデルをSystem One Modelと呼んでいます。
この記事では、以下の4種類をどう使い分けるか整理します。
- ルールベース
- 古典的な機械学習
- Jev
- LLM
Jevとは
Jevは、入力されたテキストに対して、事前に定義した選択肢やスコアを返します。
例えば、
問い合わせ内容:
「二重に請求されています。返金してください」
質問:
billing / sales / technical のどれか?
のような処理です。
LLMと異なり自由な文章を生成せず、型付きの結果と確率・confidenceを返すことに特化しています。
現時点ではテキスト入力のみで、画像・音声・動画には対応していません。
以下の条件を満たす場合は、Jevが候補になります。
- 入力がテキスト
- 出力候補を事前に決められる
- 意味的な判断が必要
- 教師データが十分にない
- 高速・低コストに処理したい
なお、Jevは決定論的ではありません。
出力形式は厳密ですが、判断結果は確率的となります。決定論的な処理が必要なら、ルールベースを使うべきです。
ルールベース
条件をコードで完全に書ける場合に使います。
if age < 18:
reject()
最も高速・安価で、結果も決定論的です。
AIを使う必要がない処理は、普通にコードで書くのが良いでしょう。
古典的な機械学習
十分な教師データがある場合に有力です。
例えば、過去100万件の問い合わせと正解カテゴリがあるなら、専用の分類モデルを学習できます。
学習は必要ですが、推論は高速かつ安価です。
LLM
出力を事前に限定できない場合に使います。
例えば、
- 文章生成
- 会話
- 要約
- コード生成
- 複雑な推論
などです。
一方でJevは、文字列生成を捨てることで、意思決定処理に特化しています。
4種類の比較
4種類の比較を筆者の独断と偏見で表にします。例外はありますが、一般的な手法を想定しています。
| ルールベース | 古典的ML | Jev | LLM | |
|---|---|---|---|---|
| 学習データ | 不要 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 推論コスト | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 速度 | ◎ | ◎ | ◎ | △ |
| テキスト | △ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 画像など | △ | ○ | × | ○ |
| 決定論的 | Yes | ほぼYes | No | No |
| 自由文生成 | × | × | × | ◎ |
Jevの公式価格は入力100万トークンあたり$0.042、TypeSafeが公表するレイテンシは70〜500msです。いずれもTypeSafe自身による公表値です。
使い分けフローチャート
まとめ
ざっくり整理すると以下となります。
| 条件 | 選択 |
|---|---|
| ルールで書ける | ルールベース |
| 十分な教師データがある | 古典的な機械学習 |
| テキストから限定された判断をしたい | Jev |
| 自由な出力・生成が必要 | LLM |
Jevは、LLMを使うほどではないが、ルールベースでは難しい処理に新しい選択肢を追加したモデルと言えそうです。
まだ新しいモデルなので、今後どこまで実用例が増えるのか注目しています。