Raspberry Pi 400 は、 Raspberry Pi とキーボードとが一体化されている端末です。
このキーボードを PC で使えたら便利なのになと思って調べてみました。

何故かビルドしないとうまく動かなかったので、今回はビルドする方法から紹介します。

環境

今回の環境は下記のとおりです。

開発端末

OS： Windows 11 Pro
CPU： Intel Core i7-9750H
メモリ： 64GB
GPU： NVIDIA GeForce RTX 2070 Max-Q

Raspberry Pi

端末： Raspberry Pi 400
OS： Raspberry Pi OS with desktop
System： 64-bit
Kernel version： 6.1
Debian version： 12 (bookworm)

Raspberry Pi OS のセットアップ

まずは Raspberry Pi 400 を使うために Raspberry Pi OS のセットアップを行います。
特に特殊な作業はありませんが、よく分からない方は下記を参考にしてください。

OTGモードでの起動設定

sudo nano /boot/config.txt

末尾に追記します。

/boot/config.txt

dtoverlay=dwc2

再起動します。

sudo reboot

USB HID キーボードのビルド

前述の通り、ビルドを行う必要があります。
手順の通り行えば問題なく動くと思います。

必要なパッケージのインストール

sudo apt -y install libconfig-dev git cmake

GitHub リポジトリのクローン

git clone https://github.com/Gadgetoid/pi400kb

ディレクトリの移動

cd pi400kb

サブモジュールの更新

git submodule update --init

ビルド用のディレクトリの作成

mkdir build

ビルド用のディレクトリに移動

cd build

ビルド手順の生成

cmake ..

ビルドの実行

make

ビルドしたファイルの実行

PC と Raspberry Pi 400 を USB A to C ケーブルなどで接続します。
USB A 側を PC に接続し、 Type-C 側を Raspberry Pi 400 に接続します。

USB ケーブルで接続したら、 Raspberry Pi 400 を起動します。

モジュールの読み込み

sudo modprobe libcomposite

ビルドしたファイルの実行

sudo ~/pi400kb/build/pi400kb

PC と Raspberry Pi 400 の制御の切り替えは、 Ctrl + Raspberry でできます。
終了するには Ctrl + Shift + Raspberry を押します。

スタートアップへの登録

毎回、起動するのは面倒なので、スタートアップへ登録しておきます。

libcomposite モジュールの自動読み込み設定の追加

sudo nano /etc/modules

末尾に下記を追記して保存します。

libcomposite

設定例
環境によって異なりますが参考にしてみてください。

# /etc/modules: kernel modules to load at boot time.
#
# This file contains the names of kernel modules that should be loaded
# at boot time, one per line. Lines beginning with "#" are ignored.

i2c-dev
libcomposite

ビルドした実行ファイルのコピー

sudo cp ~/pi400kb/build/pi400kb /usr/sbin/pi400kb

サービスへの登録

下記のコマンドを実行し、 pi400kb.service の中身をコピペして保存します。

sudo systemctl edit --force --full pi400kb.service

pi400kb.service

[Unit]
Description=pi400kb USB OTG Keyboard & Mouse forwarding

[Service]
ExecStart=/usr/sbin/pi400kb
User=root
Group=root
Type=simple
Restart=on-failure

[Install]
WantedBy=multi-user.target

サービスの開始

sudo systemctl start pi400kb.service

ステータスの確認

Active: active (running) と表示されていれば問題ありません。

sudo systemctl status pi400kb.service

スタートアップへの登録

sudo systemctl enable pi400kb.service

参考文献

下記のサイトを参考にさせて頂きました。