目次
- 1. はじめに
- 2. 5Gシステムにおけるアイドル状態UEへの着信プロセス概要
- 3. メッセージシーケンスチャート
- 4. メッセージシーケンスの説明と分析
- 5. 考慮事項と推測される挙動
- 6. 結論
- 引用文献
1. はじめに
1.1. 目的とスコープ
本報告書は、一般的な大規模モバイルキャリアの5Gシステムにおいて、電源投入、SIB受信、初期登録を経てアイドル状態(待受中)にあるUEに対して、メッセンジャーアプリからの着信(ダウンリンクデータ)が発生した際の、メッセージシーケンスを図示し、各ステップの具体的な挙動と技術的分析を解説することを目的とします。
分析のスコープは、メッセンジャーサーバーからダウンリンクデータが送信され、UEがデータを受信して待受状態に戻るまでの一連の制御プレーンおよびユーザープレーンの相互作用に焦点を当てます。これには、User Plane Function (UPF) によるデータバッファリング、5Gコアネットワーク (5GC) によるページング、User Equipment (UE) による無線接続確立 (Radio Resource Control: RRC接続確立)、Non-Access Stratum (NAS) サービスリクエスト、そしてユーザープレーンの再活性化が含まれます。
本報告書は、3GPP (3rd Generation Partnership Project) の標準仕様書、特にTS 23.501 (5Gシステムアーキテクチャ) [1]、TS 23.502 (5Gプロシージャ) [3]、TS 24.501 (NASプロトコル) [5]、TS 29.244 (Packet Forwarding Control Protocol: PFCP) [7]、TS 38.304 (UEアイドルモード手順) [9]、TS 38.331 (RRCプロトコル) [11]、TS 38.413 (NG Application Protocol: NGAP) [13]、TS 29.502 (Session Management Services) [15] を参照し、その内容に基づいた解説と技術的考察を提供します。
1.2. 5Gシステム概要とUEの状態
5Gシステムは、大きく分けて無線アクセスネットワーク (RAN) とコアネットワーク (5GC) で構成されます。5GCは、Access and Mobility Management Function (AMF)、Session Management Function (SMF)、User Plane Function (UPF) などの主要なネットワーク機能で構成されており、それぞれが特定の役割を担っています [17]。
- UEのアイドル状態 (CM-IDLE / 5GMM-IDLE): UEがネットワークに登録されているものの、UEとAMF間のN1 NASシグナリング接続(制御プレーン接続)が存在せず、ユーザープレーン接続も非アクティブな状態を指します [5]。この状態では、UEは電力消費を最小限に抑えるため、Discontinuous Reception (DRX) サイクルに従って、Paging Occasion (PO) のみでページングメッセージを監視します [9]。本シナリオでは、UEはこのCM-IDLE状態にあると仮定し、PDUセッションは確立済みであるものの、ユーザープレーンのリソースは解放されている状況です。
- UEの接続状態 (CM-CONNECTED / 5GMM-CONNECTED): UEとAMF間のN1 NASシグナリング接続が確立されており、ユーザープレーン接続も確立されている、または確立可能である状態を指します [5]。この状態では、UEは即座にデータ送受信が可能です。
UEがCM-IDLE状態にあることは、バッテリー寿命の延長とネットワークリソースの効率的な利用に不可欠ですが、ダウンリンクデータが到着した際には、UEをCM-CONNECTED状態に迅速に遷移させるための複雑な連携プロシージャが必要となります。
2. 5Gシステムにおけるアイドル状態UEへの着信プロセス概要
アイドル状態のUEにメッセンジャーアプリからの着信(ダウンリンクデータ)があった場合、5Gシステムは以下の主要な段階を経て、UEにデータを到達させ、再び待受状態に戻ります。
2.1. ダウンリンクデータ通知のトリガー
メッセンジャーアプリのサーバーからUE宛のダウンリンクデータが、5Gネットワーク内のUPFに到着します。UPFは、当該UEのユーザープレーン接続が非アクティブであることを検知すると、受信したデータを一時的にバッファリングし、そのデータの存在をSMFに通知します。この通知は、N4インターフェース上でPFCPを介して行われます。
2.2. ページング手順
SMFはUPFからの通知を受け取ると、AMFに対し、当該UEをページングしてユーザープレーンを再活性化するよう要求します。AMFは、UEの登録情報に基づき、Pagingメッセージを生成し、UEが登録されている可能性のあるgNBにNGAP Pagingメッセージを送信します。gNBは受信したPagingメッセージを、UEのDRXサイクルとPaging Occasion (PO) に合わせて、Paging Control Channel (PCCH) を介してブロードキャストします。
2.3. サービスリクエスト手順
CM-IDLE状態のUEは、自身のPaging OccasionでPCCHを監視し、自身のIDを含むPagingメッセージを受信すると、ネットワークからの呼び出しに応答する必要があると判断します。UEは、アイドル状態からCM-CONNECTED状態へ遷移するため、RRC接続確立手順(Random Access Procedure: Msg1-Msg4)を開始します。RRC接続が確立された後、UEはAMFへNAS Service Requestメッセージを送信し、ユーザープレーンの活性化を要求します。
2.4. ユーザープレーン確立とデータ転送
AMFはUEからのService Requestを受信すると、関連するSMFにPDUセッションのユーザープレーン活性化を要求します。SMFは、UPFに対してN4セッション変更を指示し、gNBへのダウンリンクデータ転送パス(トンネル情報)を確立します。ユーザープレーンが確立されると、UPFはバッファリングしていたダウンリンクデータをUEに転送し、メッセンジャーアプリに着信が通知されます。
3. メッセージシーケンスチャート
3.1. シーケンスチャートの凡例と前提条件
メッセージシーケンスチャートは、システム内の異なる参加者間のメッセージの順序と流れを視覚的に表現するための強力なツールです。本チャートでは、以下の凡例と前提条件に基づき、5Gネットワークの挙動を図示します。
前提条件:
- UEは既に初期登録を完了し、5GMM-IDLE (CM-IDLE) 状態にあります。
- UEには少なくとも1つのPDUセッションが確立済みですが、そのユーザープレーン接続は非アクティブです。
- UEとAMFの間には有効なNASセキュリティコンテキストが存在します。
- UPFはUEのPDUセッションに関するコンテキスト(SMFアドレスなど)を保持しています。
- gNBはUEの登録エリア情報(TAI)と、AMFへのN2接続を保持しています。
- メッセンジャーサーバーはUEのIPアドレスを知っており、UPFへのデータ転送を開始できる状態にあります。
- 本チャートは、一般的な成功シナリオを示します。エラーケースや詳細な再送メカニズムは一部を除き省略します。
3.2. メッセンジャーアプリ着信時のメッセージシーケンス
4. メッセージシーケンスの説明と分析
4.1. UPFによるダウンリンクデータ受信とSMFへの通知
UEがCM-IDLE状態にある場合、UEとUPF間のユーザープレーン接続は非アクティブです。この状態では、UEは無線リソースを解放しており、直接データを受信することはできません。メッセンジャーサーバーからUE宛のダウンリンクIPパケットがUPFに到着すると、UPFは対応するPDUセッションのユーザープレーンパスが確立されていないことを認識します [21]。この状況を検知すると、UPFは受信したIPパケットを一時的に自身の内部バッファに格納します [21]。
データがバッファリングされた後、UPFは、当該PDUセッションを管理するSMFに対して、ダウンリンクデータが到着したことを通知する「N4 Session Report」メッセージを送信します [22]。このメッセージはPFCP (Packet Forwarding Control Protocol) を使用し、N4インターフェース上でUDP/IPを介して送信されます [7]。
表4.1.1: N4 Session Report (Downlink Data Report) の主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
N4 Session ID | 当該PDUセッションのN4コンテキストを一意に識別するID [22]。 |
Downlink Data Report | ダウンリンクデータが到着したことを示す情報 [22]。 |
QoS Flow ID (QFI) | データが到着したQoSフローの識別子 [22]。 |
DSCP | ダウンリンクパケットのIPヘッダーから抽出されたDSCP値。ページングポリシーの差別化に利用される場合がある [22]。 |
UPFでのデータバッファリングは、UEがアイドル状態であることの直接的な結果であり、ネットワークがUEのユーザープレーン非アクティブ状態を検知する最初のトリガーとなります。このバッファリング能力は、ユーザー体験(遅延)とネットワークリソース(メモリ)の間のバランスを取る上で重要です。UPFは単なるパケット転送装置ではなく、PDUセッションのユーザープレーン状態を監視し、必要に応じてSMFにイベントを報告するインテリジェントな機能を有しています。これは、Control and User Plane Separation (CUPS) アーキテクチャの核心であり、制御プレーンとユーザープレーンの独立性を保ちつつ、緊密な連携を可能にしています [7]。UPFのDownlink Data Report
は、ネットワークがUEに到達する必要があることを示す最初の信号であり、UEの省電力(DRX)とデータ到達性(遅延)のバランスを取るための重要なメカニズムです。DSCPの報告は、リアルタイム性の高いアプリケーション(例: 音声通話)とそうでないアプリケーション(例: バックグラウンドダウンロード)でページングの優先度や挙動を変えるPaging Policy Differentiation [22] の可能性を示唆します。
4.2. SMFからAMFへの通知とページングトリガー
SMFはUPFからのN4 Session Report
(Downlink Data Report)を受信すると、当該PDUセッションのユーザープレーンを活性化する必要があると判断します。UEがCM-IDLE状態にあるため、SMFはAMFに対し、UEをページングしてN1シグナリング接続およびユーザープレーン接続を確立するよう要求します [4]。この要求は、AMFの提供するサービスであるNamf_Communication_N1N2MessageTransfer
サービス操作を介して行われます [24]。
表4.2.1: Namf_Communication_N1N2MessageTransfer (Paging Request) の主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
PDU Session ID | ダウンリンクデータが到着したPDUセッションの識別子 [23]。 |
Cause | ページングの理由(例: "Downlink Data")[23]。 |
Paging Policy Indicator (PPI) | UPFからDSCP情報が提供された場合、SMFはこれを基にページングポリシーインジケータを決定し、AMFに渡すことができる [23]。 |
Extended Buffering support | SMFがUPFに対して拡張バッファリングをサポートしていることを示す場合がある [23]。 |
SMFがAMFにページングを要求するこのステップは、5Gコアネットワークにおける制御プレーンの役割分担を明確に示しています。SMFはセッション管理の専門家であり、ユーザープレーンの状態を把握していますが、UEのモビリティ管理(アイドル状態のUEを「起こす」こと)はAMFの管轄であるため、SMFはAMFに協力を求めます。Namf_Communication_N1N2MessageTransfer
は、SMFだけでなく、SMSF (SMS Function) やLMF (Location Management Function) など、他のネットワーク機能もAMFを介してUEと通信するために利用する汎用的なサービス操作です [23]。これは、5Gのサービスベースアーキテクチャ (SBA) におけるマイクロサービス的な設計思想を反映しており、各NFが特定の機能に特化し、APIを介して連携する構造を特徴づけます。
4.3. AMFによるページングとgNBへの送信
AMFはSMFからのNamf_Communication_N1N2MessageTransfer
要求(ページングトリガー)を受信すると、当該UEが現在登録されているトラッキングエリア (TA) を把握しているため、そのTAに含まれるすべてのgNBに対して、UEをページングするよう指示します。AMFは、NGAP (NG Application Protocol) を使用して「Paging」メッセージを各gNBに送信します [13]。NGAPはAMFとgNB間の制御プレーンシグナリングプロトコルであり、UE関連サービスおよび非UE関連サービスを提供します [13]。
表4.3.1: NGAP Pagingメッセージの主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
UE Identity Index Value | UEを識別するためのインデックス値 (通常は5G-S-TMSIの一部) [3]。 |
5G-S-TMSI | UEの一時的な識別子。ページングメッセージに含まれる [3]。 |
Paging DRX | UEのDRXサイクル情報。gNBがページング機会を決定するのに利用 [19]。 |
Paging Priority | ページングの優先度。緊急サービスなどの高優先度データの場合に設定される [23]。 |
Paging Message Indication | ページングの目的(例: ダウンリンクデータ、シグナリング)(推測)。 |
AMFは、UEがCM-IDLE状態にある場合、UEが登録されているTA内の全てのgNBにページングを送信します。これは、UEの正確な位置(どのセルにキャンプしているか)が不明であるため、広範囲にブロードキャストする必要があるためです。この「広域ページング」は、UEの移動性管理(Mobility Management)機能の一部であり、UEの省電力と引き換えに、データ到達時の初期遅延を発生させる要因となります。ページングの負荷はネットワーク運用にとって重要な指標であり、オペレーターはページングリソースの適切なサイジングを行う必要があります [28]。NGAP Pagingメッセージには、UEのDRXサイクル情報が含まれており、gNBはこの情報を使用して、UEがいつページングメッセージを監視するかを決定します。これにより、UEは必要な時だけ受信機をアクティブにし、バッテリーを節約できます [19]。
4.4. gNBによるページングブロードキャスト
gNBはAMFからNGAP Pagingメッセージを受信すると、UEの5G-S-TMSIとPaging DRX情報に基づき、当該UEがPagingメッセージを監視する特定の時間スロット(Paging Occasion: PO)を計算します [19]。gNBは、Paging Radio Network Temporary Identifier (P-RNTI) を用いてスクランブルされたPagingメッセージを、PCCH (Paging Control Channel) を介して、計算されたPaging Occasionでブロードキャストします [20]。この情報はSIB1 (System Information Block 1) に含まれるページング設定に基づいて行われます [19]。
表4.4.1: Pagingメッセージ (PCCH) の主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
P-RNTI | ページングメッセージを識別するための無線ネットワーク一時識別子 [20]。 |
UE-Identity | ページング対象のUEを識別する情報(例: 5G-S-TMSI)[19]。 |
Paging Record List | 複数のUEを一度にページングする場合、そのリストが含まれる [19]。 |
gNBがページングメッセージをブロードキャストするタイミングは、UEのDRXサイクルとPaging Occasion (PO) に厳密に従います。これは、UEがバッテリーを節約するために、指定された短い期間しか受信機をアクティブにしないためです [20]。このメカニズムは、UEの省電力とネットワークの効率的なリソース利用のバランスを保つ上で不可欠です。ページングは、UEがRRC_IDLE
またはRRC_INACTIVE
状態にある場合に、ネットワークがUEに到達するための唯一の手段です [12]。Paging Frame (PF) やPaging Occasion (PO) の概念は、多数のIoTデバイスがアイドル状態にあるシナリオにおいて、ネットワークの輻輳を最小限に抑えつつ、効率的にデバイスを呼び出すために重要となります [20]。
4.5. UEのページング受信とRRC接続確立
CM-IDLE状態のUEは、自身のDRXサイクルに従ってPaging OccasionでPCCHを監視します。自身の5G-S-TMSIを含むPagingメッセージを受信すると、UEはネットワークから呼び出されたことを認識し、CM-CONNECTED状態へ遷移するためにRRC接続確立手順を開始します [20]。RRC接続確立は、Random Access Procedure (RACH) と呼ばれる4段階のハンドシェイクで構成されます [25]。
- Msg1 (Preamble Transmission): UEはランダムに選択したPreambleをPRACH (Physical Random Access Channel) で送信します。gNBはMsg1を受信したリソースからRA-RNTIを計算します [25]。
- Msg2 (Random Access Response - RAR): gNBはMsg1を受信すると、PDCCH (Physical Downlink Control Channel) でRA-RNTIをスクランブルしたDCI (Downlink Control Information) を送信し、PDSCH (Physical Downlink Shared Channel) でRARを送信します。RARには、UL Grant (アップリンクリソース許可) とTemporary C-RNTIが含まれます [25]。
-
Msg3 (RRCSetupRequest): UEはMsg2で与えられたUL Grantを用いて、PUSCH (Physical Uplink Shared Channel) で
RRCSetupRequest
メッセージを送信します [25]。このRRCSetupRequest
メッセージには、NAS Service Request
メッセージがカプセル化されます [3]。 - Msg4 (Contention Resolution): gNBはMsg3を受信・処理した後、Msg4を送信してContention Resolutionを行います。Msg4にはUEの識別子が含まれ、UEは自身のIDが確認されればC-RNTI (Cell Radio Network Temporary Identifier) を取得し、RRC接続確立が完了します [25]。
RACH手順は、UEがアイドル状態から無線リソースを獲得し、ネットワークとの同期を確立するための基礎的なプロセスです。Msg1-Msg4のシーケンスは、リソースの効率的な割り当てと、複数のUEが同時にアクセスしようとした際の競合解決を目的としています。RRC接続確立は、単に無線リンクを確立するだけでなく、UEのNAS層とAMF間のN1シグナリング接続を再確立するための下位レイヤーの基盤を提供します。Msg3にNASメッセージをカプセル化することで、RRC接続確立とNASシグナリングの開始を効率的に連携させています [3]。RRC状態遷移は、UEのバッテリー寿命とデータ転送遅延に直接影響します。RRC_IDLE
からRRC_CONNECTED
への遷移は、データ着信時の遅延の主要な要因の一つとなります。
4.6. UEによるサービスリクエスト送信
RRC接続確立が完了すると、UEはAMFに対してNAS (Non-Access Stratum) 層の「Service Request」メッセージを送信します。このメッセージは、RRCSetupComplete
メッセージのペイロードとしてgNBに渡され、gNBはこれをNGAP Initial UE Message
としてAMFに転送します [3]。Service Requestメッセージの「Establishment Cause」は「Paging Response」または「Mobile Terminating Data」となり、UEがネットワークからのページングに応答して接続を再確立していることを示します [3]。また、UEは「List Of PDU Sessions To Be Activated」IEを含め、どのPDUセッションのユーザープレーンを活性化したいかをネットワークに通知します [3]。
表4.6.1: NAS Service Requestメッセージの主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
5G-S-TMSI | UEの現在の識別子 [3]。 |
Establishment Cause | RRC接続確立の理由。本ケースでは「Paging Response」または「Mobile Terminating Data」[3]。 |
List Of PDU Sessions To Be Activated | ユーザープレーンを活性化したいPDUセッションのリスト。ダウンリンクデータがある場合にUEが含める [3]。 |
PDU Session Status | UEが認識しているPDUセッションの現在の状態 [3]。 |
Security parameters | NASメッセージの整合性保護と暗号化に使用されるセキュリティコンテキスト情報 [3]。 |
Service Request
メッセージは、UEがアイドル状態からデータ送受信可能な状態へ戻るための中心的なNASプロシージャです。このメッセージにより、UEは自身の意図(ページング応答とデータ活性化)をAMFに明確に伝えます。「List Of PDU Sessions To Be Activated」IEは、UEが複数のPDUセッションを保持している場合に、どのセッションのユーザープレーンを優先的に活性化すべきかをネットワークに指示します。これにより、ネットワークは必要なPDUセッションのみを効率的に活性化できます。また、"always-on PDU Sessions"は、たとえ保留中のデータがなくても、常にこのリストに含まれるべきであるとされています [3]。これは、特定のサービス(例: IoTデバイスの常時接続)の要件に対応するための機能です。Service Requestプロシージャは、UEがCM-IDLE状態からCM-CONNECTED状態へ遷移する際の、N1シグナリング接続の確立とユーザープレーン接続の活性化を同時に行うことができるため、効率的なリソース利用と低遅延を実現します [4]。
4.7. AMFとSMF間のセッションコンテキスト更新
AMFはgNBからNGAP Initial UE Message
(カプセル化されたNAS Service Request
)を受信すると、UEの5G-S-TMSIを基にUEコンテキストを特定し、当該UEが持つPDUセッションに関する情報を取得します。Service Request
メッセージに「List Of PDU Sessions To Be Activated」が含まれている場合、AMFは、対応するSMFに対してNsmf_PDUSession_UpdateSMContext
サービス操作を呼び出し、PDUセッションのユーザープレーンを活性化するよう要求します [3]。この要求には、Operation Type
が「UP activate」に設定されます。
表4.7.1: Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext Request の主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
PDU Session ID | 活性化対象のPDUセッション識別子。 |
Operation Type | 「UP activate」に設定され、ユーザープレーンの活性化を指示。 |
AN Tunnel Info (DL TEID from gNB) | gNBからAMFに報告された、ダウンリンクデータ転送のためのトンネル情報。これは後続のN4セッション変更でUPFに提供される [3]。 |
UE Location Information | UEの現在位置情報。 |
AMFがSMFにセッションコンテキスト更新を要求するこのステップは、5Gコアネットワークにおける制御プレーンの水平的な連携を示します。AMFはUEのモビリティと接続を管理しますが、PDUセッションの詳細はSMFが管理しているため、両機能間の連携が不可欠です。AMFは、UEが非許可エリア(Non-Allowed Area)にいる場合でも、Service Requestを緊急サービスのために受け入れることがありますが、ユーザープレーンのセットアップ要求は拒否する可能性があります [3]。これは、ネットワークポリシーとサービス要件のバランスを示す挙動です。Nsmf_PDUSession_UpdateSMContext
サービスは、PDUセッションのライフサイクル全体(確立、変更、解放)において、AMFとSMF間の主要な連携メカニズムとして機能します [16]。
4.8. UPFのデータ転送パス確立
SMFはAMFからのNsmf_PDUSession_UpdateSMContext
要求(UP Activate)を受信すると、当該PDUセッションのユーザープレーン接続を確立するために、UPFに対してN4セッション変更(N4 Session Modification Request
)を送信します [3]。このメッセージには、gNBからAMF経由でSMFに伝達された「AN Tunnel Info」(gNB側のダウンリンクTEIDなど)が含まれます。UPFはこの情報を受信し、PDUセッションのダウンリンクデータ転送のためのGTP-Uトンネルを確立または再確立します。UPFは、N4 Session Modification Response
でSMFに確認応答を返します [3]。
表4.8.1: N4 Session Modification Request の主要な情報要素
情報要素 (IE) | 説明 |
---|---|
PDRs (Packet Detection Rules) | UPFがパケットをどのように処理するかを定義するルール [7]。 |
FARs (Forwarding Action Rules) | マッチしたパケットを転送、バッファリング、ドロップなど、どのように扱うかを定義するルール。これには、ダウンリンクGTP-UトンネルのF-TEID (Fully Qualified Tunnel Endpoint Identifier) も含まれる [7]。 |
QERs (QoS Enforcement Rules) | QoS制御に関するルール [7]。 |
AN Tunnel Info | gNB側のダウンリンクGTP-UトンネルのTEIDとIPアドレス [3]。 |
N4インターフェースにおけるPFCPの役割は、制御プレーン(SMF)がユーザープレーン(UPF)の動作を動的に制御することを可能にします。これにより、ネットワークはUEの状態変化(アイドルから接続へ)に応じて、ユーザープレーンのリソースを柔軟に管理できます。PFCPは、PDR (Packet Detection Rules)、FAR (Forwarding Action Rules)、QER (QoS Enforcement Rules) などのルールセットをUPFにプロビジョニングすることで、高度なパケット処理と転送動作を可能にします [7]。これは、5Gの柔軟なネットワークスライシングやMEC (Multi-access Edge Computing) の基盤となる重要な機能です。UPFは、ユーザープレーンのトラフィックを処理するだけでなく、SMFからの指示に基づいて、パケットのバッファリング、転送、課金レポート(Usage Reporting Rules: URR)、QoS適用など、多岐にわたる機能を提供します [7]。
4.9. ユーザープレーン確立完了とデータ転送
UPFがN4セッション変更を通じてgNBへのダウンリンクデータ転送パスを確立すると、UPFはそれまでにバッファリングしていたダウンリンクデータを、新しく確立されたGTP-Uトンネルを介してgNBに転送を開始します [3]。gNBは受信したデータを無線でUEに送信し、UEはこれを受信してメッセンジャーアプリにデータを配信します。これにより、メッセンジャーアプリの着信通知がUEに表示されます。
ユーザープレーンの確立は、制御プレーンの複雑なシグナリングプロシージャの最終的な目的であり、UEへのデータ到達を可能にします。ユーザープレーンの確立後、UEはCM-CONNECTED状態に留まり、アクティブなユーザープレーン接続を維持します。一定期間データ転送がない場合、ネットワークはUEを再びCM-IDLE状態に遷移させ、ユーザープレーンリソースを解放することで、リソースの最適化とUEの省電力化を図ります。これは、UEのアイドルモードタイマーやPDUセッションの不活動タイマーによって制御されます。この一連のプロシージャは、5Gが提供する「いつでもどこでも接続」という体験の裏側にある複雑な技術的連携を示しています。低遅延と高効率を実現するためには、制御プレーンとユーザープレーンの機能が密接に連携し、UEの状態変化に迅速に対応する必要があります。
5. 考慮事項と推測される挙動
5.1. セキュリティコンテキストの再利用
UEが初期登録を完了し待受状態にある場合、UEとAMFの間には既に有効な5G NASセキュリティコンテキスト(KAMF、NAS暗号化/整合性キーなど)が確立されています [30]。サービスリクエスト手順では、通常、新たな完全な認証(Primary Authentication)は行われず、既存のセキュリティコンテキストが再利用されます [30]。AMFは、UEから受信したService Request
メッセージの整合性保護を検証し、有効であれば、Security Mode Command
プロシージャを介して既存のセキュリティコンテキストを「使用中」の状態に移行させるか、または、Service Accept
メッセージで直接セキュリティコンテキストを有効化します [30]。これにより、再接続時のオーバーヘッドが削減され、遅延が最小限に抑えられます。
セキュリティコンテキストの再利用は、5Gシステムにおける効率的なモビリティ管理の鍵です。毎回完全な認証を行うと、遅延が増加し、UEのバッテリー消費も増えるため、ユーザー体験が著しく損なわれる可能性があります。このメカニズムは、セキュリティと効率性のバランスを考慮した設計です。
5.2. PDUセッションの状態管理
UEとネットワーク(特にSMF)は、PDUセッションの状態を同期して管理しています。UEがCM-IDLE状態にある場合、PDUセッションは論理的に「確立済み」ですが、ユーザープレーンは「非アクティブ」です。サービスリクエスト手順の目的の一つは、この非アクティブなユーザープレーンを「活性化」することです [4]。UEはService Request
メッセージ内で「PDU Session Status」IEを送信し、自身のPDUセッションの現在の状態をネットワークに通知します [3]。AMFはこれを受け、SMFと連携してネットワーク側のPDUセッション状態を更新し、ユーザープレーンの再活性化を調整します。
PDUセッションの状態管理は、リソースの効率的な利用に直結します。ユーザーがデータを送受信しないアイドル時にはユーザープレーンリソースを解放し、必要になった時に迅速に再活性化することで、ネットワーク全体の負荷を軽減し、同時にUEのバッテリー寿命を延ばすことが可能になります。
5.3. QoSフローの活性化
5Gでは、PDUセッション内で複数のQoSフローが確立され、それぞれ異なるQoS特性(遅延、帯域幅、パケットロス率など)を持つことができます。メッセンジャーアプリの着信は、通常、低遅延が求められるシグナリングデータ(通知)と、それに続くユーザーデータ(メッセージ内容)を含むと考えられます。サービスリクエスト手順によりユーザープレーンが活性化される際、メッセンジャーアプリの通信に必要なQoSフローも同時に活性化されます。UEはService Request
メッセージの「List Of PDU Sessions To Be Activated」IEを通じて、どのPDUセッション(ひいてはそのPDUセッション内のQoSフロー)のユーザープレーンを活性化したいかを間接的に示します [3]。SMFは、PDUセッションに関連付けられたQoSプロファイルに基づき、UPFに適切なQoS Enforcement Rules (QERs) を設定します [7]。
QoSフローの動的な活性化は、5Gが提供する多様なサービス要件(eMBB, uRLLC, mMTC)に対応するための柔軟性を提供します。メッセンジャーアプリのような一般的な用途では、通常、デフォルトのQoSフローが使用されますが、ビデオ通話などではより高いQoSを要求するフローが動的に割り当てられる可能性があります。
5.4. タイマーと再送メカニズム
5Gの各プロシージャには、信頼性と効率性を確保するために様々なタイマーと再送メカニズムが組み込まれています。
- Paging Timer (T3513): AMFがPagingメッセージを送信した後、UEからのService Request応答を待つタイマーです。このタイマーが満了すると、AMFはUEが到達不能であると判断し、関連するPDUセッションのユーザープレーンを解放するなどの措置を取る可能性があります。
- Service Request Timer (T3560): UEがService Requestメッセージを送信した後、AMFからの応答(Service Acceptなど)を待つタイマーです。このタイマーが満了すると、UEはService Requestメッセージを再送します [32]。
- RRC Connection Establishment Timers (T300, T302, T304): RRC接続確立プロセス中にUEが使用するタイマーです。例えば、Msg3を送信した後にMsg4を待つT300などがあります [11]。これらのタイマーの満了は、再試行やRRC接続再確立のトリガーとなります。
これらのタイマーと再送メカニズムは、無線環境の不安定性やネットワークの輻輳といった課題に対応し、プロシージャの堅牢性を高めるために不可欠です。適切なタイマー設定は、ユーザー体験(遅延)とネットワークのシグナリング負荷のバランスに大きく影響します。
6. 結論
本報告書では、5Gシステムにおいてアイドル状態のUEがメッセンジャーアプリの着信を受けた際の、メッセンジャーサーバーからUEへのデータ到達までのメッセージシーケンスを、3GPP標準仕様に基づき解説しました。UPFによるダウンリンクデータバッファリングとSMFへの通知から始まり、AMFによるページング、gNBによる無線ブロードキャスト、UEによるRRC接続確立(RACH)、NAS Service Requestの送信、そしてSMFとUPFによるユーザープレーンの再活性化に至るまでの一連のプロセスを、各ネットワーク機能間の連携とメッセージ内容に焦点を当てて詳述しました。
この複雑なシーケンスは、5GネットワークがUEの電力効率を最大化しつつ、必要に応じて迅速にデータ接続を再確立するための精巧なメカニズムを有していることを示しています。特に、制御プレーンとユーザープレーンの分離(CUPS)や、各ネットワーク機能のサービスベースアーキテクチャ(SBA)は、柔軟性とスケーラビリティを提供し、多様な5Gサービス要件に対応する基盤となっています。セキュリティコンテキストの再利用やQoSフローの動的な活性化といった要素は、効率性とユーザー体験の向上に貢献しています。
本分析が、5Gシステムの動作原理の理解を深め、将来のネットワーク設計や最適化に資することを期待します。
引用文献
[1] Specification # 23.501 - 3GPP, https://www.3gpp.org/dynareport/23501.htm (2025年6月14日アクセス)
[2] inside TS 23.501: 5GS References - Tech-invite, https://www.tech-invite.com/3m23/toc/tinv-3gpp-23-501_a.html (2025年6月14日アクセス)
[3] 3GPP TS 23.502, https://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/wg2_arch/TSGS2_144E_Electronic/INBOX/DRAFTS/draft%20S2-2102512r02.doc (2025年6月14日アクセス)
[4] TS 23.502 - 5GS Service Request procedures - Tech-invite, https://www.tech-invite.com/3m23/toc/tinv-3gpp-23-502_e.html (2025年6月14日アクセス)
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[6] 3GPP TS 24.501, ftp://www.3gpp.org/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_126e/Inbox/Drafts/C1-20iaea-was-C1-206331-v02-lc.doc (2025年6月14日アクセス)
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[10] Draft_38304-f80.docx - 3GPP, https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/Specifications/202109_draft_specs_after_RAN_93/Draft_38304-f80.docx (2025年6月14日アクセス)
[11] 38.331_CRxxxx(Rel-16)_R2-200xxxx - CR for 38.331 for CA_DC_enhancements_after_RAN2-109e_updated_phase2_v2.docx - 3GPP, https://www.3gpp.org/ftp/Email_Discussions/RAN2/%5BRAN2%23109-e%5D/%5BPost109e%2337%5D%5BDCCA%5DRRC%20open%20Issues%20(Ericsson)/phase2/38.331_CRxxxx(Rel-16)_R2-200xxxx%20-%20CR%20for%2038.331%20for%20CA_DC_enhancements_after_RAN2-109e_updated_phase2_v2.docx (2025年6月14日アクセス)
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[13] NGAP/NAS Server - Black Duck, https://www.blackduck.com/fuzz-testing/defensics/protocols/ngap-server.html (2025年6月14日アクセス)
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[17] Access and Mobility Management Function - Magma India Documentation!, https://docs.magmaindia.org/Magma_5gCore/amf/amf.html (2025年6月14日アクセス)
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[19] 5G/NR - Paging - ShareTechnote, https://www.sharetechnote.com/html/5G/5G_Paging.html (2025年6月14日アクセス)
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[25] RACH Background Knowledge - HackMD, https://hackmd.io/@irphotoarts/ryDVVoaP6 (2025年6月14日アクセス)
[26] 5G NR RACH - 5G | ShareTechnote, https://www.sharetechnote.com/html/5G/5G_RACH.html (2025年6月14日アクセス)
[27] inside TS 38.413: Content Part, 6 out of 16 - Tech-invite, https://www.tech-invite.com/3m38/toc/tinv-3gpp-38-413_f.html (2025年6月14日アクセス)
[28] S5-203089rev2 R16 CR TS28.552 Add Paging Measurement.docx - 3GPP, ftp://www.3gpp.org/tsg_sa/WG5_TM/TSGS5_131e/Inbox/Drafts/S5-203089rev2%20R16%20CR%20TS28.552%20Add%20Paging%20Measurement.docx (2025年6月14日アクセス)
[29] Service Setup - 5G | ShareTechnote, https://www.sharetechnote.com/html/5G/5G_ServiceSetup.html (2025年6月14日アクセス)
[30] inside TS 24.501: NAS Security - Tech-invite, https://www.tech-invite.com/3m24/toc/tinv-3gpp-24-501_d.html (2025年6月14日アクセス)
[31] www.3gpp.org, https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_131e/Inbox/drafts/Rev01_C1-214343_MISC02_SMC_correction.docx (2025年6月14日アクセス)
[32] 3GPP TS 24.501, https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_130e/Inbox/drafts/C1-21xxxx-rev1-of-212848-N1-conn-rel-24501-h21-v1.doc (2025年6月14日アクセス)