AI と量子コンピューティングが進化している今、高度なニューラル・ネットワークによる医療画像の精密処理はますます重要になっています。特に脳の画像診断では、腫瘍、脳卒中、神経変性疾患といった神経症状の早期発見と治療計画に、正確な領域分割 (セグメンテーション) と評価が不可欠です。しかし、従来の画像解析モデルではこうした要件に対して精度や効率が不十分であることが課題とされてきました。こうした課題を解決すべく、2024年のIntel® Student Ambassador 秋期ハッカソンでは、Intel® Student Ambassador チームが Quantum SegNet を開発。これは、量子拡張ニューラル・ネットワークを用いた脳画像解析モデルです。
Quantum SegNet ソリューションの開発にはインテル® Tiber™ AI クラウドで利用できるインテルの AI ツールとフレームワーク最適化が採用されました。この記事では、プロジェクトの概要を紹介します。
Intel® Student Ambassador プログラムについて
Quantum SegNet プロジェクトで開発を行ったのは以下の学生アンバサダーです。
- Dike Peter、ルツェルン応用科学芸術大学修士課程。専門は IT、デジタル化、サステナビリティー、ビジネス情報学
- Sreeneha Samudrala Snighdha (Neha)、ウィーン応用科学大学修士課程
- Nwankwo Chijioke、ノースイースタン・イリノイ大学修士課程。専門はコンピューター・サイエンス
チームのメンバーはインテル® Tiber™ AI クラウドとインテル® oneAPI ツールキットを活用して、Intel® Student Ambassador プログラムの一環として最適化された AI ソリューションを開発しました。
Quantum SegNet プロジェクトについて
Quantum SegNet は、量子ニューラル・ネットワーク (QNN) を用いて脳画像解析の精度向上を目的に設計された、AI 統合型ソリューションです。プロジェクトでは量子コンピューティング技術に AI 駆動の画像セグメンテーション・モデルを融合し、医療診断における精度と効率を大幅に向上させました。
このモデルの特長となる量子拡張セグメンテーションは、量子畳み込みフィルターと呼ばれる新しい量子特徴抽出技術によって、従来の畳み込み層を拡張する手法です。
モデル・アーキテクチャーの全体像
ディープラーニング・フレームワークは複数の処理層で構成されています。
- 特徴抽出: 量子化によるフィルター技術で画像の明瞭度を向上
- セグメンテーション処理: 脳構造の分類を最適化
- 推論高速化: インテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットを利用してリアルタイムの画像セグメンテーションを最適化
OpenVINO™ ツールキットによるモデルの最適化と実装
チームでは、まず PyTorch モデルを ONNX に変換し、さらに OpenVINO™ ツールキットで実装できるようにフォーマットを変換しました。この変換の工程は、インテルのアーキテクチャー上でモデルを効率的に実行し、レイテンシーを最小限に抑えて推論速度を最大限するために欠かせません。変換の手順は以下のとおりです。
import torch
import onnx
from openvino.runtime import Core
# Convert PyTorch model to ONNX
model = torch.load('model.pth')
torch.onnx.export(model, dummy_input, "model.onnx", opset_version=11)
# Load ONNX model and optimize with OpenVINO
core = Core()
model_onnx = core.read_model("model.onnx")
compiled_model = core.compile_model(model_onnx, "CPU")
OpenVINO™ ツールキットのモデル最適化と圧縮機能により、処理時間の大幅な短縮と、現実の環境に即したリアルタイムの脳画像解析が可能になりました。プロジェクトのこの最適化フェーズでは、細かな調整とテストが必要です。
使用されたインテルのツールとテクノロジー
Quantum SegNet の開発チームでは、インテルの AI と量子コンピューティング・エコシステムを使用してモデルを最適化しました。
- インテル® Tiber™ AI クラウド: 量子拡張モデルを効率的に実行するための演算リソースを提供
- インテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキット: リアルタイムの推論最適化を可能にし、セグメンテーションを高速化
- インテル® PyTorch 拡張パッケージ、インテル® TensorFlow 拡張パッケージ: モデルの学習処理と実装
またチームでは、量子ニューラル・ネットワークの開発に TorchQuantum を、複数プラットフォーム間の互換性確保に ONNX Runtime を使用しています。
プロジェクト全体については https://github.com/CPD9/Quantum-Neural-Networks-QNNs-for-Brain-Image-Analysis (GitHub) をご覧ください。
次のステップ
Quantum SegNet には、AI 駆動の医療画像処理に変革を起こす可能性があります。チームは今後、モデルの最適化をさらに進め、病院や研究機関など医療現場での応用を見据えています。
AI 開発を活性化するには、oneAPI 対応の開発者向けリソースの活用をおすすめします。
参考リソース
- インテル® Student Ambassador プログラム
- AI フレームワークとツール
- インテルとともに AI のトップ開発者に
- OpenVINO™ ツールキット
- インテルが提供する PyTorch 最適化パッケージ
- インテルが提供する TensorFlow 最適化パッケージ
- インテル® Quantum SDK
- OpenVINO™ ツールキットによる ONNX モデルの高速化
元記事
筆者: Nikita Shiledarbaxi
所属:インテル
投稿日:2025年3月17日

