この記事は、コミュニケーション Advent Calendar 2016の12日目の記事です。
はじめに
進捗管理とコミュニケーションについて書こうと思います。
プライベートでプロジェクト管理等を効率化するツール(ASP.NET C#)を開発しています。プリザンターといいます。このツールを使って、進捗を管理するやり方をご紹介します。
進捗管理について
進捗管理について普段考えている事を書きます。進捗管理は言葉のとおり**「進捗を管理する」**ことなので、進捗状況を把握するだけでなく、状況に応じて様々な対策を打つ事が求められます。例えば、進捗が悪い時、以下のような対策を行います。
- ひたすらがんばる
- 助っ人を追加する
- 計画を見直して仕事を先送りする
- 自動化などの工夫をして仕事量を減らす
どの対策もメリット、デメリットがあるので、状況に併せて判断する必要があります。そして判断をみんなに納得してもらう必要があります。
進捗確認 → 判断 → みんなが納得 → みんなで行動
みんなが納得するにはデータが必要
「みんな」とは、お客様、上司、プロジェクトメンバーなどを指します。立場上、利害が一致しない事が多々ありますので、全員が納得する判断を下すのは難しい仕事です。それでも日々、状況が変化しますので、毎日のように判断が求められます。みんなが納得できる判断を行うためにはデータが必要です。以降は、進捗管理においてどのようなデータを管理するべきか、説明したいと思います。
バーンダウンチャート
バーンダウンチャートは、進捗の全体感を把握するのに優れたチャートです。進んでいるタスクと遅れているタスクとでプラス、マイナスがあるので、トータルの進捗量が計画量を上回っているか確認する事ができます。プリザンターのバーンダウンチャート画面では以下のような事が分かります。
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プロジェクト全体の予実差
トータルで8.8時間遅れている事を示しています。このくらいの遅れなら、頑張ればとりもどせそうな感じですが、マイナスが日に日に大きくなる場合は、早めに手を打つ必要があります。 -
1日単位、個人単位の進捗実績
加藤さんは昨日、6.5H分の作業を消化しました。この数字が多すぎても少なすぎても、問題をかかえている可能性があるので確認が必要です。多すぎる場合は、作業内容を勘違いしているか、工数の見積もりに誤りがあります。 -
トータル作業量の推移
緑の線は仕事量の変化を表しています。一昨日に50H程度の仕事が追加されたようです。プロジェクトによっては、この線が増え続ける事があります。緑の線が上がり過ぎないようお客様と適宜調整します。 -
期限超過タスクの件数
計画された期限を超過したタスクが2件ある事を示しています。期限の見直し等、速やかに対処し、この数字が常にゼロになるよう対処します。いつも超過していると誰も気にしなくなるので。 -
残作業量
プロジェクト完了までに消化しなければいけないタスクの総量を示しています。残り1ヶ月で594.6Hをこなせる工数があるか確認します。 -
個人毎の残作業量
個人毎に割り当てられたタスクの総量を示しています。鈴木さんに135.6Hが割り当てられていて、他のメンバーよりも負担が大きい事がわかります。このような場合はタスクの平準化を検討します。 -
クリスマスに急な下り坂
グレーの計画線に急な下り坂があります。これは仕事が集中している時期を示しています。クリスマスの週は全員徹夜で頑張るか、正月に先送りするか計画を見直す必要がありそうです。
バーンダウンチャートのブレークダウン
全体像の把握ができたら、次にフィルタ機能を使用してチーム別や工程別の状況を確認します。下図を見るとサーバチームの進捗は+14.4Hなので、良好と判断することができます。
ブレークダウンを可能にするために分類を追加しておく
ブレークダウンを行うには、予め分類を追加しておきます。分類はプロジェクト管理の方針に基づき、必要な切り口を追加しておくと良いでしょう。下の動画では、WBSに機能毎の分類を追加しています。
ガントチャートで個別のタスクの遅れを把握
バーンダウンチャートの値が正常でも、個々のタスクに遅れが無いか確認する必要があります。「遅延」チェックボックスをオンにして、進捗率よりもスケジュール消化率が高いタスク(遅れているタスク)を抽出します。
遅れているタスクの対処
遅れが出ているタスクは放置せず、期限の見直しなどを行います。また、外部的な要因等でタスクが進められない場合には、課題を記録し関係者と共有します。課題やレビューといったタスクの関連情報は、リンクという機能を使用し、1:nで紐付けて管理します。
進捗の入力は担当者が行う
進捗状況の入力は各作業の担当者が行います。「進捗率」をパーセンテージで入力し、「状況」を変更します。コメントをこまめに残すようにするとコミュニケーションが良くなります。また成果物へのリンクは各チケットに貼っておきましょう。レビューなどが行いやすくなります。リンクにはUNC形式のパスも使用できるので、ブラウザからファイルサーバのフォルダを開く事も可能です。(ブラウザの機能に依存します)
毎日のコミュニケーションが大切
これらのデータの確認は、お客様も含めて毎日見ることが大切です。できれば、朝・夕などの時間を決めて一緒に確認してもらうようにしましょう。全員で毎日数字を見るようになると、一人一人に自律的な改善意欲が芽生えてきます。プラスの数字が出ると嬉しい気持ちになります。このようにデータを起点にしたコミュニケーションは、チームを強くするのに有効です。
はじめは数字がおかしかったりして、ぎくしゃくする事もありますが、慣れてくると快適になります。ぜひ試してみてください。みなさんの進捗が良くなりますように!メリークリスマス!
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