例えば、購買意向や総合満足度、NPS(ネット・プロモーター・スコア)のような目標指標を高めるために、どのような領域に対するアクションを起こせばいいのかを知りたい。このような、「次に何を改善すべきか」のヒントを得るために顧客アンケートや満足度調査を実施することは少なくありません。
ところが実際には、アンケートの結果を前にしても「何を改善すべきか」を明確にするまでの道のりは、思いのほか険しいものです。
例えば、このような状況は心当たりがないでしょうか。
設問が20項目あるが、そのうちのどれが総合満足度の改善に最も効くのかが見当もつかない。関係がありそうな要素に何となく目星がついたとしても、優先順位を根拠を持って説明できません。
結果としてアンケートを取るたびに時間をかけて集計するだけで終わり、改善のための行動は起こせず「アンケートを取ったものの、何も変わらなかった」という状態に陥りがちです。
こうした問題を解消するために有効なのが、本記事で紹介する相関分析や多変量解析です。
そこで今回は、データの加工、可視化、分析、レポーティングのためのUIツールのExploratoryを使って、アンケートデータに対してこれらの手法を実践する方法を紹介します。
相関分析
そもそも「相関」とは、2つの変数のうち、1つの変数の値が変わると、もう1つの変数の値も一定の規則をもって一緒に変わる関係を表しています。
例えば、「サポート品質への満足度」が上がると、総合満足度スコアも上がるような関係があれば、それが相関関係です。
このような相関関係が確認できれば、「サポートの質を高めることで総合満足度を改善できる」という打ち手のヒントになります。
なお、職種や業種といったカテゴリーが変わることで総合満足度が変化するような関係も相関関係となり、同様に打ち手のヒントになります。
例えば、「IT業界の顧客の総合満足度が特に高い」という傾向が見つかれば、そういった顧客層へのアプローチを強化するといった戦略につなげることができます。
一方で、「製品の納品までの時間」が変わっても総合満足度はほとんど変化しないようであれば、この2つの変数の間には相関がなく、打ち手のヒントにはなりません。
そして、このような相関関係を調べるとき、一般的には散布図、バーチャート、ラインチャートなどを使って変数ごとに総合満足度を比べることになります。
ただし、アンケートから取得できるデータは多く、全ての変数に対して個別にチャートを作成して総合満足度と比較するのは非常に手間のかかる作業です。
そこで、例えば、Exploratoryの「相関モード」を利用することで、注目している変数(総合満足度)と他の全ての変数との相関関係を一度に調べることができます。
さらに「相関モード」では、総合満足度のような数値型の変数との相関の強さを表す指標「R2乗」も計算されます。
R2乗は0から1の値を取り、1に近いほど相関が強いことを意味します。R2乗が大きい順に変数を並び替えるだけで、総合満足度との相関が強い変数を一瞬で把握できます。
多変量解析
変数ごとに総合満足度を比較して相関を調べることは有効ですが、注意が必要なことがあります。それは、相関関係と因果関係は違うということです。
この相関と因果の違いについて、例を挙げて説明します。例えば、「サメの襲撃件数」と「アイスクリームの売上」を可視化すると、アイスクリームの売上が増えるとサメの襲撃件数が増えるように見えたとします。
しかし実際には、両者の間に直接の関係があるとは考えられません。「夏になり気温が上がる」という第三の要因によって、アイスクリームを食べる人も増え、海に入る人も増えるため、サメの襲撃件数も増えていることが想定されます。
「サメとアイスクリーム」の例は極端なため、常識で誤りに気づけますが、変数がビジネスやアンケートのデータに置き換わり、扱う変数が増えていくと、こういった見かけ上の相関関係に気づかず、誤った因果関係を想定して不適切な施策を打ってしまうことがあります。
例えば、オンライン会議ツールに関する顧客満足度調査を例に考えてみます。
「サポートの満足度」が高い顧客の総合満足度も高く、かつ「企業規模(従業員数)」も大きいという傾向があったとします。
しかし、このサービスは大企業の利用顧客が多く、「大企業は専任サポートチームがあり、サポート対応の速さへの評価が高い」という関係が隠れているかもしれません。
このような場合、個別のチャートだけを見ていると、「サポートへの満足度」と「企業規模」のどちらが本当に総合満足度に影響しているのか、あるいは両方が独立して影響しているのかを正確に判断できません。
では、どうすれば各変数の総合満足度への影響を正確に理解できるでしょうか。鍵となるのは、「他の変数の値を一定にしたときに、その変数だけを変化させると総合満足度が変わるかどうか」を調べることです。
例えば、企業規模を揃えた上でサポートへの満足度だけを変化させたときに総合満足度が変わるなら、サポートへの満足度は総合満足度に影響していると言えます。
逆に、サポートへの満足度を揃えた上で企業規模だけを変化させても総合満足度が変わらないなら、企業規模自体は総合満足度に直接の影響を与えていないと判断できます。
こうした分析を可能にするのが、統計学習の予測モデルを活用した多変量解析であり、総合満足度のような数値型の目標指標に対しては「線形回帰」というアルゴリズムを利用します。
Exploratoryでは、線形回帰の予測モデルも簡単に作成できます。
結果の中でも特に重要なのが、「説明変数の重要度」です。
説明変数の重要度を確認することで、どの変数が総合満足度と最も強く関係しているかを瞬時に確認することができ、この情報をもとに改善施策の優先順位を検討できます。
なお、モデルがどの程度の精度で総合満足度を予測できているかを示す指標(R2乗など)や、各変数が総合満足度にどの方向・どの程度の影響を与えているかを示す係数の情報も確認できます。これらについても、見方の説明が自動で表示されるため、専門知識がなくても内容を把握できます。
このように線形回帰を実行することで、「本当に総合満足度に影響を与えている変数はどれか」「複数ありそうな改善ポイントのうち、どれを優先すべきか」を、単純な集計では得られなかった根拠とともに示すことができます。
まとめ
今回は、アンケートデータから打ち手のヒントを見つけるための2つの分析手法を紹介いたしました。
まず相関分析では、目標指標(総合満足度)と他の全ての変数との相関の強さをR2乗で一括計算し、「どの変数が総合満足度と関係しているか」を素早く特定することができます。続いて多変量解析(線形回帰) では、相関分析で見つかった「見かけ上の相関」と「本当の影響」を区別し、説明変数の重要度をもとに改善の優先順位を根拠を持って判断することができます。
この2つの分析を組み合わせることで、アンケートデータを「ただ集計して終わり」にするのではなく、「具体的な改善施策の優先順位を決めるための根拠」として活用できるようになります。
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