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アンケートの集計分析がいつも「それで?」で終わる理由 — 対応分析が変える、データの読み方

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私たちの身の回りにある最も身近なデータのひとつが、アンケートデータです。

自社がどのように顧客に認識されているのかを知りたい、マーケットのニーズを理解したい—そういった目的で、多くの企業がアンケート調査を実施しています。

そしてアンケートの結果を分析するときには、2つの項目を組み合わせた表を作成し、傾向を読み取っていくクロス集計を作成することが一般的ですが、クロス集計表には、「全体像を掴みにくい」という課題があります。

たとえば自社と競合3社に対して「選んだ理由」を8項目で評価してもらうアンケートを例に考えてみます。

image.png

上記の2つの質問の回答割合のクロス集計表を作成した場合、1つの表に32個のセルが並ぶことになります。

評価ポイント 自社 競合A 競合B 競合C
機能性 38% 15% 35% 12%
拡張性 29% 12% 30% 10%
価格 10% 41% 8% 38%
使いやすさ 11% 19% 12% 22%
デザイン 4% 5% 7% 9%
サポート 4% 4% 5% 6%
周囲の評価 2% 2% 2% 2%
市場シェア 2% 2% 1% 1%

このような集計表から、「自社の機能性評価が38%」という個別の事実は読めます。

しかし「自社と競合Bはどれほど似た理由で選ばれているか」「使いやすさはどういった企業に支持されているか」といった、複数項目にまたがる構造的な関係を、この表から瞬時に読み取ることは簡単ではありません。

結果として、最終的な報告書には「機能性では自社が強い」「競合Aは価格訴求型」といった、誰もが薄々予想していたような結論が並ぶことになります。

しかしこれは、分析の努力が足りないのではなく、クロス集計という手法の構造的な限界から来ている問題です。

そこで、この記事では、複数の質問項目間の関係を1つの散布図で見渡す手法である対応分析(コレスポンデンス分析)の考え方と、どんな場面で有効かを紹介します。

チャートを使っても根本的な問題を解決できない理由

クロス集計表が読みにくいなら、チャートにすれば解決できるのではないか—そう思うかもしれません。

実際、バーチャートを作成することで、「この会社は機能性が突出している」「あの会社は価格が評価されている」といったパターンが直感的に読めるようになります。

image.png

ところが、評価ポイントが増え、比較対象のブランドが増えた瞬間に、同じ壁にぶつかります。

バーの数が増え、色が増え、凡例が多くなり、「このバーとあのバーを比べるべきか」という判断自体が難しくなっていき、見落としが発生する可能性も高まります。

image.png

この流れに共通する2つの構造的な限界を整理すると、次のようになります。

1. カテゴリー間の「関係性の構造」が見えない

先ほどの表やバーチャートから読み取れるのは、「自社の機能性評価がXX%」といった1対1の事実です。「自社と競合Bは似ているのか?」「機能性と拡張性という評価ポイントは同じ顧客に支持されているか」といった、複数カテゴリーにまたがる構造的な関係は、表やグラフの形式では瞬時に浮かび上がってきません。

2. カテゴリーの種類が増えると全体像の把握が困難になる

比較する企業や評価ポイントが増えるほど、表のセルやバーの数は増えていきます。4社×8項目で32セル、10社×20項目なら200セル。「どこと比べるべきか」という判断自体が難しくなり、全体を掴む作業は手に余るようになります。

さらに厄介な問題があります。集計軸を変えるたびに、新しいクロス集計表やバーチャートが増えていきます。視点を変えるたびに資料が積み上がり、比較すべき情報はどんどん増え、全体像はさらに見えにくくなります。

対応分析が直感的な理由

対応分析(コレスポンデンス分析)は、カテゴリー変数の関係を2次元の散布図上に同時に配置する分析手法です。

image-20260302003752520.png

「会社名(自社・競合A・B・C)」と「評価ポイント(機能性・価格・使いやすさなど)」を同じ平面上に点として置きます。

読み方のルールはシンプルです。

  • 近くにある点同士は関連性が強い
  • 離れている点同士は関連性が弱い
  • どの点からも等しく離れている点は、特定のカテゴリーとの関連が薄い

このルールさえ押さえておけば、散布図を一目見るだけで「どの会社がどの評価ポイントと結びついているか」「どの2社が似た顧客に選ばれているか」が視覚的に読み取れます。

次のセクションでは、より具体的な解釈方法を紹介します。

競合ポジショニング分析の例で確認する

冒頭で紹介したビデオ会議ツールのアンケートデータを使って以下のような対応分析の結果を得られたとします。

image-20260302003752520.png

自社と競合Bは「機能性」「拡張性」の近い位置に配置されています。冒頭のバーチャートでもこの2社がこれらの項目で特に高い評価を受けていることが確認できます。

image-20260302004746572.png

また競合Aは「価格」の近くに位置していて、価格への評価が他社に比べて突出していることを確認できます。

image-20260302004821114.png

競合Cは「使いやすさ」「サポート」の近くに位置していて、まったく異なる評価のされ方をしていることが読み取れます。

image-20260302004835072.png

このような結果が得られたとき、「自社が競合Bに対してどの評価ポイントで差別化を図るべきか」という問いに、具体的な根拠をもって向き合えるようになります。

「結果の解釈が難しい…」を解決する、AIとの組み合わせ

対応分析では、2つの質問項目だけでなく、3つ以上の変数を同時に分析することもできます。しかし、変数が増えるほど散布図の点も増え、解釈の難しさが増していきます。

次のチャートは、評価ポイントと社名に加えて、回答者の「勤務先の企業規模(大企業・中小企業・個人事業主)」を変数として追加した対応分析の結果です。

image-20260302003418279.png

3変数を同時に可視化することで、「どの企業規模の顧客が各社を選んでいるか」まで1枚のチャートから読み取れます。

例えば、自社と競合Bの近くに、「大企業」が配置されていることから、大企業の顧客が機能性・拡張性を重視して自社と競合Bを選んでいる傾向が読み取れます。

image-20260302005435564.png

こうした関係をひとつひとつ拾い上げることは可能ですが、変数が増えるほど手間がかかり、見落としも生じやすくなります。

そこで、AIを活用すると、各グループの特徴をより簡単かつ確実に解釈できます。

image-20260302005658940.png

まとめ

クロス集計表は1対1の事実しか示せません。バーチャートにすることでパターンが少し読めるようになりますが、選択肢や比較対象が増えると同じ限界にぶつかります。情報は存在しているのに、視覚的に読み取れない状態が生まれます。

対応分析は、カテゴリー間の関係を散布図に可視化することで、「競合との距離」「属性間のつながり」を直感的に読めるようにします。

さらにAIと組み合わせることで、統計の専門知識がなくても結果を解釈・活用できます。散布図の読み方を知らなくても、全体像を掴むことができます。

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