はじめに
RPAとは、
- Robotic = ロボットを使って
- Process = 業務処理を
- Automation = 自動化するよ
という意味です。
ロボットといっても、SF映画に出てくるような、しゃべったり歩いたりするロボットではありません。
ではどんなロボットなのかというと、
「パソコンを指示どおりにとても早く操作してくれる透明なロボット」
とイメージするとわかりやすいと思います。
例えば以下のように、ふだんは人間がやるような画面の操作を覚えて自動でやってくれる、というようなことは、RPAの得意技のひとつです。
このイメージの透明ロボットを、しゃべったり歩いたりするロボットと区別するために、「Bot」と呼んだりします。
この記事では、実際にどんな作業がRPAで自動化できるのかをご紹介していきます。
RPAを使うと何ができる?
以下のような業務は、RPAを使って自動化できる代表例です。
それぞれの例を具体的に見てみましょう。
業務システムやWeb画面の操作
冒頭でお見せした動画のように、会計システムや受注システムなど、業務で日々使っているシステムの画面操作を自動化するのは、RPAの得意技のひとつです。
あのような自動入力が可能になるのは、RPAの「レコーダー」という機能のおかげです。
レコーダーを使うと、人間がパソコンを操作した動きを記録したり、編集することができます。
以下のような業務は、レコーダーを使った自動化で特に効果の出やすい領域です。
法令やデータなどの変化を監視する業務
たとえば以下のように、人が毎日システムを確認し、重要な変化がないかを確認している業務があるとします。
システムは、法令のデータベースや在庫のデータなど、なんでもOKです。
変化が起こる頻度は低くても、「変化があるかどうか」を監視するために、人が毎日システムにログインをして確認をしなければならない、というような業務のために、時間を使っていませんか?
RPAを使うと、システムにログインしたり、変化があるかどうかを確認する作業をBotが自動で行うことができます。
さらに、変化があったときにだけ、担当者にメールで通知をすることも可能です。
こうすれば、人は変化があったときに対応するだけでよくなります。
毎日の確認に時間をとられていた人は、その時間をもっと価値のある仕事に充てられます。
この業務の応用編
「毎日システムにログインして変化を監視する」という業務の応用編として、「毎日システムにログインしてファイル・スクリーンショットなどを保存する」という業務もRPAで自動化できます。
ファイルの保存やシステムの確認などは、1回1回の作業時間はわずかなので、効果が薄いのでは? と思うかもしれません。
ですが、1回1分の作業でも、それを忘れないように覚えておくとか、何かの作業を中断する必要がある、といったことは、人にしかできないクリエイティブな仕事や判断の妨げになります。
時間の削減だけでなく、こうした作業から人の手を解放してあげることも、RPAの重要な役割のひとつです。
もちろん、RPAでスケジュール実行などを組んでしまえば、作業を忘れることもありません。
また、人間のように、保存するときにネーミングルールを間違えることもありません。
会議資料の作成
経営会議などの資料作成に時間をとられているサラリーマンは多いですが、これもRPAで効率化できる作業のひとつです。
もちろん、資料の中には施策の提言など、人間にしか書けない部分もあります。
でも、実際には多くの会議資料が、 グラフに載せるための数字をさまざまなシステムから転記して集めてくるという「作業」 に多くの時間を費やして作られています。
この「作業」に時間がかかりすぎるせいで、肝心な施策立案・提言などの判断にほとんど時間を使えない、という人も多いのではないでしょうか。
「システムにアクセスしてデータを転記する」というのはRPAの得意技です。
そこ部分を自動化してしまえば、人は人にしかできない思考や判断にもっと時間を使えるようになります。
請求書、納品書、見積書など、書類を目で見て転記する作業(RPA x OCR)
こちらはRPAとOCRを組み合わせた場合になりますが、「書類を目で見て転記する作業」もRPAの得意技になります。
例えば製造・流通業などにおける仕入で、納品書を受け付ける業務のように、「書類を目で見て、人海戦術で入力している」というタイプの仕事があれば、RPAとOCRで自動化・効率化するチャンスです。
RPA x OCR を使った自動化では、書類をRPAが処理できるようにデジタルデータ化する部分をOCR、それに基づいてシステムに入力する部分をRPAが担います。
OCRの精度は、どんなに高くても100%には絶対にならないので、人が誤りを訂正するプロセスは必ず必要になりますが。
それでも、人海戦術でフルに転記するよりも効率的になるのであれば、RPA x OCR を使う価値はあるといえます。
メールの一斉配信
メールの一斉配信も、RPAの得意技のひとつです。
BCC送信との違いは?
もちろん、RPAがなくても、BCC送信などでもメールの一斉送信はできます。
でも、BCC送信の場合、「いかにも一斉メール」という感じの文面になりがちで、スルーされやすかったり、読み手の個別の条件に応じたきめ細やかな対応ができないなどのデメリットがあります。
RPAを使えば、同じ一斉配信でも、件名や本文に名前を埋め込んでスルーされにくくしたり、読み手に応じたきめ細やかな対応を行うことができます。
Excelの操作を自動化する
Excelの操作も、RPAの得意技です。
RPAを使って自動化できるExcelの操作には、例えば以下のようなものがあります。
Excelの一覧から申込書を自動作成
研修や健康診断などの受付で、ひとりひとりの申込書も必要だし、その内容を一覧でも管理したい! という場合があると思います。
でも、申込書と一覧に同じ内容を2回書くのは非効率ですよね。
RPAを使えば、たとえば一覧の情報だけきちんと作っておいて、申込書の情報は一覧をもとにBotが自動作成、ということもできます。
Excelの申込書から一覧を作成
もちろん、上記の逆バージョンで、申込書の情報からBotで一覧を作ることもできます。
Excelの管理簿で、書類の未提出者をチェックする
PDFやExcelなどで提出された書類のファイル名をもとに、未提出者をチェックすることも可能です。
VBAとの違いは?
Excelの自動化といえば、RPA以外にも、VBAやマクロが有名ですね。
それらの技術とRPAの違いは、大きく分けて2点あります。
①初心者へのやさしさ
VBAやマクロの開発機能に比べ、RPAの開発機能は(製品にもよりますが、一般的には)より初心者にやさしく作られています。
そのため、「VBAは難しくて挫折してしまったけれど、RPAならできた」という人も多くいます。
また、Excelの操作をした結果、それを他のシステムに入力したり、メールを出したりすることも、RPAの方が手軽にできます。
②できた手順を会社の資産として管理できる ※製品による
会社や個人の考え方にもよりますが、社員が自由にVBAやマクロを活用して業務の自動化を進めることを、IT部門は嫌がる場合もあります。
VBAやマクロは「作った本人にしかわからない」という状態になりやすく、会社から見るとブラックボックスした業務が増える原因になるからです。
これに対し、RPAにはサーバー型といって、個人がロボットを作っても、それが管理者にきちんと見えるタイプの製品もあります。
RPA製品のパターン | 特徴 |
---|---|
デスクトップ型 | 作られたBotは、作った本人のPC内で稼働 → 他の人には見えない → 属人化・ブラックボックス化の原因に |
サーバー型 | 個人が作ったBotの中身が管理者にもきちんと見える → RPAでBotを作ることが、業務の可視化にもつながる |
日本ではまだまだ「RPA = デスクトップ型」の認識が根強く、「RPAを入れると、本来BPRするべき業務が見えなくなるから入れたくない」という意見も多いです。
ですが、選ぶ製品と使い方によっては、RPAは業務の可視化のツールにもなりえます。
RPAでBotを作ることで、これまで人の頭の中にしかなかった業務の手順が可視化されるため、それをベースにより徹底的なBPRを考える、といったアプローチをとっている企業もあります。
アイディア次第でいろいろ使えるRPA
この記事でご紹介したRPAの使い道は、ほんの一例です。
RPAには「アクション」や「コマンド」(製品によって呼び方が異なる)といった自動化のための部品があり、その部品を使って、「Excelを開く」「メールを送る」などといった細かい操作を組み合わせていきます。
部品の組み合わせのアイディア次第で、さまざまな業務を自動化することができます。
ぜひ、RPAを使って業務の自動化・効率化にチャレンジしてみてください!
最後に
この記事は、はじめてのAAシリーズの1トピックです。
Automation Anywhere を使い始めたばかりの方はもちろん、これから使ってみようと思っている方や、ずっと使っているけど改めて基本を学びたい方などは、ぜひはじめてのAAシリーズをチェックしてみてください。