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高卒文系セキュリティエンジニアが独学で電験三種に挑んだ敗戦記

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はじめに

このたび、令和8年度上期の第三種電気主任技術者試験(以下、電験三種)を受験しました。

結果としては不合格という形になりましたが、本記事では受験に至った動機やこれまでの学習プロセス、実際に挑戦してみて得られた気づきを中心にまとめています。

バックグラウンドがない状態から電験三種へ挑む方の参考や、ひとつのケーススタディとなれば幸いです。

なぜ電験三種を受けようと思ったのか

きっかけは、社内Slackで電験三種の資格保持者がPRしている投稿を見かけたことでした。

普段の私は事業会社のCSIRTとしてセキュリティ分野を専門に働いています。そのため、電験三種で得られる知識が直接日々の実務に直結するわけではありません。しかし、自社でデータセンターを保有している背景もあり、インフラを支える電気の仕組みや運用について知ることは純粋に面白そうだと感じました。

また、事前にテキストを開いてみると、そこには学生時代に苦手意識を持っていた数学や電気物理の分野が並んでいました。「大人になった今、あえて独学で本気で取り組んだらどこまで理解し、解けるようになるのだろうか」という知的な興味が湧いたことも、受験を決意した大きな理由です。

スタート時の前提知識

タイトルの通り「高卒文系」であり、数学には強い苦手意識がありました。学生時代は公式を無理やり暗記してなんとかやりくりしていたレベルで、基礎からの理解とは程遠い状態でした。

学習スタート時点での実際の知識状態は、以下のようなレベル感です。

  • 数学・物理
    • sin / cos / tan:言葉の響きを知っている程度で、何に使うのかは理解していない
    • ニュートン:力の単位として聞いたことがある程度
    • 運動エネルギー・位置エネルギー:名称は知っているが、公式は全く出てこない
  • 電気知識
    • オームの法則:「電圧と電流が分かれば抵抗が求められる」くらいのうっすらとした記憶
    • フレミングの法則:指で形を作る何か(向きを表すもの、程度の認識)
    • 発電の仕組み:完全にゼロ知識

高校物理・数学どころか、中学レベルの理数系知識すら怪しいと言わざるを得ない状態からのスタートでした。

勉強方法

今回の学習スケジュールと使用した教材、具体的な勉強方法は以下の通りです。

スケジュール・勉強時間

  • 学習期間:3月開始 〜 8月上旬受験(約5ヶ月間)
  • 総勉強時間:約150時間
  • 受験科目方針:初受験ということもあり、今回は「機械」科目を捨て、他の科目に注力(機械の参考書は軽く眺める程度)

使用教材

  1. みんなが欲しかった! 電験三種 合格へのはじめの一歩
  2. みんなが欲しかった! 電験三種 理論の教科書&問題集(ほか科目別シリーズ)
  3. 過去問をできるだけ解く

学習の進め方と工夫

  • 導入(全体像の把握)
    まず『はじめの一歩』を一読しました。その後、公開されている過去問を覗いてみましたが、最初は「まったく分からない」という状態でした。唯一「法規」だけは暗記で押していけばワンチャン行けるかもしれない、という感覚を掴むにとどまりました。

  • 電子書籍 ✕ 手書きメモのハイブリッド学習
    各科目の教科書を購入する際、持ち運びやすさを優先して電子書籍を選択しました。分厚い本を持ち歩くストレスがなく、通勤などの移動時間でも手軽に読めるメリットがありました。
    ただし、公式や複雑な解説は画面を見るだけでは頭に入りにくいため、ノートやメモ帳に自手で書き出しながら理解を深める「ハイブリッド方式」で進めました。

  • AIを使った疑問点の解消
    過去問演習で間違えた問題については、AIを家庭教師代わりにフル活用しました。「なぜ自分が間違えているのか」「どの公式の適用を誤ったのか」を徹底的に質問し、初心者のレベルまで噛み砕いて解説してもらうことで、躓きをひとつずつ潰していきました。

学習で意識したこと

文系・初学者として効率よく知識を定着させるため、また限られた時間で点数を最大化するために、以下の3点を意識して取り組みました。

AIを「専任チューター」として徹底活用する

ただ答えを聞くのではなく、理解を深めるためのパートナーとしてAIを活用しました。

  • 類題の作成:計算問題で解説を読んだ後、数字を変えた別パターンを作成してもらい、「自分の理解が本当に合っているか」をテストした。
  • 別解や選択肢の深掘り:テキストには1つの解き方しか載っていないことが多いため、別のアプローチがないか質問した。また、選択肢問題では正解以外の「外れの選択肢」についても、なぜ誤りなのかをひとつずつ解説してもらった。

「なぜ?」の背景ロジックを押さえて暗記を減らす

特に「法規」などの暗記要素が強い分野では、丸暗記に頼らない工夫をしました。

例えば「〇〇は××でなければならない」という規定があった際、単にそれを覚えるのではなく、「なぜこの規定が必要なのか?」を深掘りしました。「××は特に危険な設備だから、厳格なルールになっている」といった背景の理由やロジックを押さえることで、自然と記憶に残りやすく、暗記量を減らすことができました。

割り切りと戦略的な「解き方」

短い学習期間で合格ラインを目指すため、完璧主義を捨てて強弱をつけました。

  • 完全に捨てる分野を作る:前述の通り「機械」は丸ごと後回しにし、他科目にリソースを集中させた。
  • 苦手分野も「(1)だけ取る」スタンス:どうしても苦手意識の拭えなかった「三相交流」は、深追いせず最低限の公式暗記にとどめた。電験の計算問題は(1)(2)、場合によっては(3)と段階的に出題されるケースが多く、(1)だけであれば公式にそのまま数値を当てはめるだけで解ける場合があるため、最初の1問だけでも拾いに行く省エネ戦略をとった。

試験当日

当日は時間に余裕を持って、開始30分前には試験会場に到着しました。

私自身は今回CBT方式で受験したのですが、実際に受けてみて気づいた点や当日の様子は以下の通りです。

持ち物と電卓について

  • 持ち込み物品として「電卓」と「ペットボトル」を用意しました。
  • しかし、CBT試験では画面上に操作可能な計算機(電卓機能)が表示されるため、正直なところ物理電卓は不要だと感じました。次回受験する際は持参しないかもしれません。

試験時間と当日の立ち回り

試験時間は法規が65分、その他の科目が90分用意されていますが、結果としてどの科目も時間はかなり余りました。これは問題がどうのこうのでは無く、考えても分からないものはとっとと諦めよう、という考えのもとです。

捨てる科目と決めていた「機械」に至っては、考えても分からないものは諦めて割り切ったため、30分足らずで解き終えてしまいました。
時間に十分な余裕があったため、試験中に何度かトイレ離席をしたり、問題を解きながらぼーっと頭を休めたりしていました。そのため、科目間などに用意されている規定の休憩時間もあまり使わずに次の処理を進めました。

問題内容の詳細については割愛します。不合格の私が言うのもアレですが、勉強すれば絶対受かることが可能な範囲だと思いました。

結果と感想

試験結果は以下の通りでした(各100点満点)。

  • 理論:40点
  • 電力:30点
  • 機械:25点
  • 法規:50点

まさに「自分の勉強量と理解度がそのまま数字に反映された」という結果でした。

1科目も合格基準に届かなかったのは正直ショックで、特に力を入れていた法規だけでも科目合格しておきたかったのですが、自分の勉強不足・理解不足が素直に出てしまった形です。なお、ほぼ対策をしなかった「機械」の25点については、適当にマークしたものが運よく当たっただけで、自信を持って答えられたのは実質1〜2問程度でした。

今回の挑戦を振り返って

不合格という残念な結果にはなりましたが、今回の挑戦には大きな意味があったと感じています。

学生時代に苦手意識を抱いていた数学や物理、電気分野に大人になってから独学で挑み、基礎から学びを深められたことで、「やれば自分でもここまで理解できるようになるんだ」という確かな自信がつきました。また、当初の目的であった電気の仕組みやインフラ周りの考え方についても、実知識として身につけることができました。

せっかく時間をかけて学んだ知識を風化させてしまってはもったいないので、今後も学習習慣を維持しつつ、また次の機会にリベンジを果たしたいと思います!

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